『対ドルで史上最安値更新するも対円はレンジ継続。来週は中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、ドル円上昇、トルコ主要株価指数の堅調推移に週後半にかけ週間高値4.88まで上昇
〇買い一巡後はトルコ指標不冴え、トルコ中銀による追加利上げ観測後退に週末は4.85前後で推移
〇日足ローソク足が主要テクニカルポイントを挟んで上下、テクニカル的に見て気迷いムード示す
〇ファンダメンタルズは外国人投資家の資金流入期待、トルコ中銀の外貨準備急回復等がサポート
〇リラ買い・円売りトレンドの早期再開をメインシナリオとして予想
〇来週はトルコ中銀会合(6/27)が開催されるも現状維持予想で影響は限定的か
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
今週のレビュー(6/17−6/21)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.80円で寄り付いた後、早々に週間安値4.78円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)犠牲祭(6/17ー6/19はトルコの金融市場が休場)に絡むポジション調整や、(2)ドル円相場の堅調推移(日米金融政策格差と政府・日銀による介入警戒感の後退を背景にドル円相場が急上昇→トルコリラ円連れ高)、(3)トルコ主要株価指数の堅調推移(外国人投資家による資金流入期待)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値4.88円まで上昇しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(4)トルコ6月消費者信頼感指数(結果78.3、前回80.5)の冴えない結果や、(5)シムシェキ財務相による「来年のインフレ率は10%台半ばになり、その後は一桁台になる可能性がある」とのハト派的な発言(トルコ中銀による追加利上げ観測後退→トルコリラ下落)、(6)対ドル相場の史上最安値更新(トルコリラ円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/22午前4時00分現在)では、4.85円前後で推移しております(トルコリラと円の双方が売られているため、トルコリラ円相場は身動き取れず)。
来週の見通し(6/24−6/28)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は週を通して方向感に欠ける値動きとなりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、一目均衡表転換線、基準線、ボリンジャーミッドバンド)を挟んで上下するなど、テクニカル的に見て、気迷いムードが確認できます(買いシグナルも売りシグナルも点灯しておらず、売買のタイミングを見つけにくい相場環境)。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの再開期待や、(2)トルコ中銀による追加利上げ観測(シムシェキ財務相は「来年のインフレ率は10%台半ばになり、その後は一桁台になる可能性がある」と発言しているものの、先週発表されたトルコCPI・トルコPPIは予想外に伸び率加速→インフレ退治を目的にトルコ中銀が追加利上げに追い込まれる可能性あり)、
(3)外国人投資家による資金流入期待(市場参加者はトルコ政府・トルコ中銀による正常化政策を好感→格付け会社各社がトルコを格上げしている他、米JPモルガンもトルコ国債の投資判断を「オーバーウエート」へ引き上げ決定→トルコ憲法裁判所による「中央銀行総裁を任期中に解任する大統領権限を無効とする判断」も、エルドアン・リスク再燃防止に繋がることからトルコリラのサポート要因)、(4)トルコ中銀の外貨準備・急回復(リラ買い介入余力の回復)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、リラ買い・円売りトレンドの早期再開をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目5.00円を試すシナリオを想定)。尚、来週はトルコ中銀会合(6/27)が開催されますが、既に現行政策の現状維持(政策金利も50.0%に据え置き)が見込まれているため、余程大きなサプライズが見られない限り、トルコリラ円相場への影響は限られそうです。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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