円安で反騰するもドル高リラ安で4.87円前後に抵抗感
〇トルコ円、ドル円大幅上昇を追いかけ、6/22早朝に6/20高値4.86を超える
〇ドル/トルコリラの2日連続史上最安値更新により円安活かしきれず、4.87到達にとどまる
〇市場介入なく円安継続なら4.90台回復を目指す可能性も
〇ドル高リラ安が勢いを増す場合、失速の可能性に注意
〇対ドル、6/21は概ね32.92から32.58の取引レンジ
〇トルコ外相のBRICS加盟希望発言、政局不安等を受けてリラ売りが再燃した印象
〇6/27トルコ中銀MPCは政策金利据え置き見通し(50.0%)
〇4.84を上回るうちは4.88から4.89にかけての水準を試す上昇を想定
〇4.83割れからは下落期入りとみて4.81、4.80を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の6月21日は概ね4.87円から4.82円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.84円から0.03円の円安リラ高だった。
ドル円が6月22日早朝に159円台後半へ大幅続伸したことにトルコリラ円は6月21日夕刻の4.83円近辺から22日早朝高値4.87円へ上昇して6月20日高値4.86円を超えたが、ドル/トルコリラが2日連続で終値ベースの史上最安値を更新したために円安を活かしきれず、6月4日に4.73円へ反落してから持ち直した後の上値抵抗線である4.87円に到達するにとどまった。
週間では6月14日終値4.80円から0.07円の円安リラ高、月間では6月21日時点で5月31日終値4.88円から0.01円の円高リラ安水準でありプラス圏にはまだ届いていない。
【市場介入なく円安継続なら4.90円台回復を目指す可能性も】
ドル円は6月14日の日銀金融政策決定会合後の乱高下で付けた高値158.25円を6月20日に超えて一段高に入り、21日は午前に159.12円へ続伸してから158.66円まで小反落していたものの、6月の米PMIが製造業と非製造業で共に予想を上回ったことによるドル高とクロス円全般の上昇により22日早朝に159.83円を付けて160円に迫った。
6月20日に米財務省が半期に一度の為替報告で日本を監視対象国に再指定したことにより政府・日銀が今年三度目の市場介入をしづらくなったと市場は受け止めて政府の円安阻止へ向けた姿勢を挑発するように円売りが勢い付いている。
4月29日高値160.16円を超えていないものの、6月21日終値159.77円は4月26日終値158.29円を超えて終値ベースとして2023年1月以降の最高値を更新するとともに2011年10月以降の最高値も更新している。
仮に160円到達で三度目の実弾介入がなければ165円を目指す声も高まり、クロス円全般の上昇とともにトルコリラ円も4.90円台へ押し上げられることを期待したいが、ドル高リラ安が勢いを増す場合は円安を活かせずに上げ渋るかリラ安に圧されて失速する可能性もあると注意したい。
【ドルトルコリラは終値の史上最安値を2日連続で更新】
ドル/トルコリラの6月21日は概ね32.92リラから32.58リラの取引レンジ、22日早朝の終値は32.83リラで前日に付けたこれまでの終値としての史上最安値32.81リラから0.02リラのドル高リラ安となり2日連続で終値の史上最安値を更新し、この日の安値32.92リラは4月12日に付けた取引時間中の最安値33.03リラ以来の安値水準となった。週間では6月14日終値32.63リラから0.20リラのドル高リラ安で5週連続のドル高リラ安で2週連続で週末値ベースの史上最安値を更新し、月間では6月21日時点で5月31日終値32.23リラから0.60リラのドル高リラ安となった。
4月12日安値33.03リラから5月14日高値31.89リラへ上昇したところでは歴史的なリラ安に歯止めがかかったとの見方が優勢となり、大手金融機関によるトルコ株や国債への買い推奨も見られたが、31リラ台の高値を繰り返し付けたものの高値更新へ進めずにリラ買いの勢いが停滞する中、トルコ外相によるBRICS加盟希望発言をきっかけに6月4日にその時点での終値ベースの最安値更新へとリラ売りが再燃し、いったん落ち着いたものの欧州の政局不安等によるユーロやポンド等の下落によるリスク回避的な動きがリラ買いポジション解消によるリラ安を再燃させている印象だ。
6月最終週も終値ベースの最安値を更新するようだと4月12日の取引時間中最安値を更新して33リラ台、34リラ台へと進む可能性もあるのではないかと注意したい。
【6月27日のトルコ中銀MPCは政策金利据え置き見通し】
6月27日にトルコ中銀MPC(金融政策委員会)があるが、政策金利の週間レポレートは現行の50.0%で据え置かれると衆目が一致している。
トルコ中銀は今年3月に政策金利を50.0%とした後は現状維持を続けており、インフレが収まらないうちは引き締め姿勢を継続するとしている。トルコのインフレ率は6月3日発表の5月CPIの前年比で75.45%となり4月の69.8%から伸びが加速しており、前月比も4月の3.18%から5月は3.37%へ加速したため、7月3日に発表予定の6月CPI前年比も6月を上回るのではないかとみられるため、顕著なインフレ低下が確認されない限りは政策金利の据え置きが続くとみられる。
インフレ抑制のための利上げや外貨準備高増強、増税や緊縮予算による財政収支改善への努力等は大手金融機関は格付け機関による評価を高めてきたが、高インフレと高金利に増税緊縮はいずれもトルコ景気を圧迫するものであり、リラ安が再燃してきたことによる先行き不透明感がトルコに対する投資意欲を削ぐことも懸念される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月20日夜への下落で弱気転換目安とした4.82円を割り込んだために21日午前時点では20日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を20日夜安値を含めて25日朝にかけての間として20日午後高値超えからは新たな強気サイクル入りとした。
6月22日早朝に20日午後高値を超えたため、20日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして25日午後から27日夕にかけての間への上昇を想定する。持ち合い型の騰落を繰り返しているので、4.84円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.83円割れからは弱気サイクル入りとみて25日夜から27日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月22日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は6月20日の30ポイント台序盤からの上昇で60ポイント台へ戻しているので50ポイントを上回るうちは70ポイント台中盤への上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落の場合は戻り一巡による下落期入りとして30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.83円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは4.88円から4.89円にかけての水準を試す上昇を想定する。4.89円前後は反落警戒とするが4.85円を上回っての推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.83円割れからは下落期入りとみて4.81円、4.80円を順次試す下落を想定する。4.80円前後は反騰注意とするが、4.83円を下回っての推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
6月24日
16:00 6月 製造業信頼感指数 (5月 105.4)
16:00 6月 設備稼働率 (5月 76.3%)
6月25日
17:00 5月 海外観光客数 前年同月比 (4月 8.7%)
6月27日
16:00 6月 経済信頼感指数 (5月 98.2)
20:00 トルコ中銀 政策金利 週間レポレート (現行 50.0%、予想 50.0%)
20:30 週次 外貨準備高 6月21日時点
6月28日
16:00 5月 貿易収支確報 (4月 -99億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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