ドル円 ドル高傾向は変わらず、当局の介入姿勢注視(週報6月第4週)

先週のドル/円相場は、ドルが一段高。週末には一時159.80円台を記録、4月末高値160.22円を意識した展開をたどっている。

ドル円 ドル高傾向は変わらず、当局の介入姿勢注視(週報6月第4週)

ドル高傾向は変わらず、当局の介入姿勢注視

〇先週のドル円、週末に向けておおむねドル高・円安の展開で「寄り付き安・大引け高」
〇6/21に159円台まで続伸、口先介入相次ぐも、実弾介入に動くことが出来るのか今週の相場に注目
〇金融市場では日銀の「7月利上げ期待」が強まりつつある
〇ポジションの偏り気掛かりだが、下値かなり切り上がり、短期的には158円割れも簡単ではない
〇今週、6月コンファレンスボード消費者信頼感指数や5月コアPCE価格指数等の米経済指標が発表予定
〇ドル高円安方向、159.87めぐる攻防に注目。超えれば160円、160.22が意識される
〇ドル安円高方向、158.67が最初のサポート、割り込んでも実弾介入なければ158円割れまでか
〇今週のドル円予想レンジ:158.00-161.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが一段高。週末には一時159.80円台を記録、4月末高値160.22円を意識した展開をたどっている。

前週末は、イタリアでG7サミット。そしてそれに続けてスイスで「ウクライナ平和サミット」が開催された。一方、日本では支持率低迷に喘ぐ岸田内閣に対して、いよいよ政局の動きが本格してきた感があり思惑を呼んでいた。
そうした状況下、週明けのドル/円は157.35-40円で寄り付いたのち、早い段階で週間安値の157.15円を示現。以降、週末に向けてはおおむねドル高・円安の展開をたどり、ざっくり言えば先週は「寄り付き安・大引け高」の様相だった。前週高値158.25円を超えるのにやや手こずるも、上抜けるとその勢いをかい、一気に159円台後半まで値を上げた。週末NYは高値圏の159.80-85円で取引を終えている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「為替介入など」と「露朝の接近」について。
前者は、20日に米財務省が半期に一度の為替報告書を発表し、日本を再び「監視対象」に指定したことが物議を醸す。ただし、為替介入については、「毎月実績を公表しており透明性がある」とも指摘しており、市場筋の見解も二分していたようだ。そうしたなか、週末21日にドル/円は159円台まで続伸したことで、それまであまり積極的でなかった口先介入が相次ぎ観測されている。先で取り上げた米為替報告との整合性も気になるところだが、神田財務官は「過度な変動あれば適切な対応を取ることに変わらない」、鈴木財務相は「過度の為替変動は経済に悪影響」、林官房長官「米国が日本の為替政策を問題視しているといった意味ではないと理解している」−−と述べていた。果たして実弾介入に動くことが出来るのか、今週の相場に注目だ。

それに対して後者は、24年ぶりとされるロシアのプーチン大統領による北朝鮮訪問が思惑を呼ぶ。19日にはロシアと北朝鮮、両首脳による会談が行われ、「包括的戦略パートナーシップ条約」が締結されていた。いずれかが攻撃を受けた場合、相互に支援する条項などを盛り込んだ内容で、西側諸国から懸念の声が広がっているようだ。実際、米国防総省は「朝鮮半島の平和と安定の維持に関心を持つ者にとって懸念すべきこと」とする声明を発表したほか、日本の林官房長官は「我が国を取り巻く地域の安全保障環境に与える影響の観点からも深刻に憂慮している」と述べていた。なお、プーチン氏は北朝鮮の次にベトナムも訪問。そちらではラム国家主席と会談したという。

<< 今週の見通し >>

ドル/円相場はここ数週間、発表される米指標が波乱要因となり右往左往となるも、結局のところドル高をキープ。先週末のNYは159.80円台で取引を終え、4月末に示現した年初来高値160.22円も現実的な上値メドとして意識されているようだ。ドル/円は、そんな4月末などに観測された日本当局の実弾介入レベルを超えており、当然当局の円買い介入には要注意だが、流れが簡単に変わるとも思えないだろう。年初来高値の更新も頭に入れておいて損はなさそうだ。

日米中銀はそれぞれ6月の金融政策決定会合をすでに開催し、結果を公表している。また日銀は先週、4月会合の議事録要旨を公開し、何人かの委員が「為替は経済・物価に影響、リスク変化なら対応」との見解を明らかにしていた。それらを総合し、金融市場では日銀の「7月利上げ期待」が徐々に強まりつつあるようだ。対して、米国は現在のところ「9月利下げ」観測が最有力。ただ、まだ日程的な猶予が幾分あるため、それに向けて今週も発表される米指標に一喜一憂する展開が見込まれている。なお、今週は6月最終週ということで、材料もさることながら月末・四半期末での需給要因を警戒する声も少なくなかった。

テクニカルに見た場合、ドル/円相場は先週末にかけてついに159円台へ。目立った抵抗のないなか、年初来高値160.22円が具体的な上値メドとして意識されている。そうしたなか注視されているのは、日本当局の円買い介入姿勢。先で取り上げた米為替報告もあり、日経新聞では「為替再介入は制約多く」−−などと報じていたが、果たして如何に。いずれにしても、円安けん制発言だけでは流れが変わらないと予想する声が大勢。
対してドル安方向は、ポジションの偏りこそ気掛かりだが、下値がかなり切り上がっている。短期的には158円割れも簡単ではなさそうだ。
そうしたなか今週は、6月のコンファレンスボード消費者信頼感指数や5月のコアPCE価格指数といった米経済指標が発表される。先週も5月の米小売売上高など、発表される米指標が相場のかく乱要因なっていただけに、今週も引き続き注意を払いたい。また政治ファクターとして、週末30日に予定されているフランス総選挙の去就を注視している向きも少なくないようだ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、158.00-161.00円。ドル高・円安については、先週高値159.87円をめぐる攻防にまずは注目。超えれば当然160円、そして160.22円が改めて意識されそうだ。また、当局円買い介入も当然要注意だろう。
対してドル安・円高方向は、以前レポートした連日ドルの下値を切り上げるという展開が依然として継続。それからすると、先週末安値158.67円が最初のサポートか。割り込んでも実弾介入が観測されなければ、158円割れあたりが精々という気もしている。

ドル高傾向は変わらず、当局の介入姿勢注視

ドル円日足


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