豪ドル高につられ、史上最高値97円88銭更新を意識へ
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、第1四半期GDPが市場予想を上振れたことや、経済的なつながりが強いオーストラリアの中央銀行(豪中銀)がタカ派な姿勢を示し豪ドルが上昇したことなどから、円安NZドル高が加速した。
20日に発表された第1四半期GDPは、前期比0.2%と前回の(−0.1%)、市場予想(0.1%)ともに上回る結果となった。前年比も市場予想を上回り、統計局によると、16あるセクター中8セクターが拡大。発電が最も大きな伸びを示す一方、建設、ビジネスサービス、製造業などは縮小した。必ずしも強い内容というわけではないが、3四半期ぶりにプラスのGDPとリセッションからの回復が確認できたことで市場は安心感が強まった。
発表後のNZドルは上下に振れたのち、じりじりと上昇した。経済的なつながりが強いオーストラリアの豪中銀が政策金利発表時にタカ派姿勢を示したことで豪ドルが上昇していたことが、影響したと考える。
NZドル・円(東京時間:6月17日―6月21日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:96円50銭
高値:97円43銭
安値:96円08銭
終値:97円32銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
6月19日
7時45分、第1四半期経常収支、前回:−79.75億NZドル、市場予想:−46.50億NZドル、結果:−43.59億NZドル
6月20日
7時45分、第1四半期実質GDP(前期比)、前回:−0.1%、市場予想:0.1%、結果:0.2%
7時45分、第1四半期実質GDP(前年比)、前回:−0.2%、市場予想:0.2%、結果:0.3%
6月24日
7時45分、5月貿易収支、前回:0.91億NZドル
6月27日
10時00分、6月ANZ企業信頼感、前回:11.2
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、自国の経済指標よりも隣国の豪ドルの動向に関心が向かいそうだ。NZドルも足元の高値を上抜いており上が意識されやすいなか、豪ドルの強い上昇がNZドルをけん引すると考える。
ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)は、「インフレとインフレ期待を抑制するには経済成長の鈍化が必要だ」「インフレ抑制に取り組む中、来年もしばらくは利下げする可能性は低い」と5月に表明していることから、豪中銀同様、NZ中銀もタカ派姿勢である。米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)にて、2024年1回の利下げ見通しを示しているドル、6月の欧州中央銀行(ECB)理事会にて利下げを実施したユーロなど主要通貨に対して、NZドルや豪ドルが強含むと考える。
一方、GDPを見る限り必ずしもニュージーランド経済が強いとは言いにくいことから、高いインフレと弱い経済状況のなか、NZ中銀は難しい金融政策の判断が求められている。NZドルよりも豪ドルの方が相対的に強い動きを見せるだろう。
ただ、テクニカル面は引き続き堅調だ。日足の一目均衡表では、下値を切り上げ、年初来高値を更新していることから短期的なトレンドは強い。97円30銭台で3日連続上影(上ヒゲ)を残したが、今週末にこれらの上ヒゲを吸収。上値を意識した地合いはしばらく続くと想定し、2007年7月につけた史上最高値97円88銭更新も意識されよう。
NZドル円日足
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