FOMC結果のポイント:「想定外の利下げ見通し1回となったが、米長期金利は低下傾向」(24/6/18)

米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月11日−12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と7会合連続で据え置いた。

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FOMC結果のポイント:「想定外の利下げ見通し1回となったが、米長期金利は低下傾向」(24/6/18)

FOMC結果のポイント: 「想定外の利下げ見通し1回となったが、米長期金利は低下傾向」

【今回のポイント】

〇 政策金利は7会合連続で下限5.25%、上限5.5%を据え置き
〇 2024年の金利引き下げ見通しは3回から1回に修正
〇 ドルは往って来いだが、欧州政治不安台頭でドル・円は方向感出ないか

【FOMCの結果】

米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月11日−12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利を下限5.25%、上限5.5%と7会合連続で据え置いた。

公表された FOMC 参加者の経済見通し(SEP)については、実質GDP成長率見通しが据え置きとなり、失業率も小幅な上方修正(悪化)に留まる一方、物価見通しは上方修正された。景気が堅調に推移するなか、インフレ率の減速が緩やかなものに留まるとの見立てが示された。こうしたSEPを前提に、FOMC参加者のFF金利見通し(ドットチャート)は、2024 年の中央値が上方修正され、2024年内の利下げ幅の想定が3月時点の合計0.75%(3回の利下げ) から0.25%(1回の利下げ)に引き下げられた。一方、2025年末の中央値も上方修正されたものの、2025年の利下げ幅については3月時点の合計0.75%から、1.00%(4回の利下げ) に拡大された。なお、2026年末のFF金利水準は3.1%と前回予想(3月時点)と変わらなかった。

パウエルFRB議長は「経済が堅調に推移し、高インフレが継続する場合には、適切な限りFF金利の誘導目標レンジを維持する用意がある」と述べた一方、「労働市場が予想以上に軟化したり、インフレが予想よりも減速したりした場合には、利下げといった対応を行う用意がある」と述べた。ラガルドECB総裁の発言同様、「今後のデータ次第」という方針を引き続き示した。

【市場の反応】

FOMC声明の直前に発表された5月消費者物価指数が市場予想を下回る内容だったことから、ドルは売られ、一時155円台に入った。その後、FOMC声明で、2024年金利引き下げ見通しが想定以上の修正(3回→1回)となったことで、FRBのタカ派姿勢がドル買戻しを呼び、156円台後半までドルは値を戻した。

その後、パウエルFRB議長が、今後の情勢は「データ次第」という従来通りのスタンスを示したことで、過度なタカ派を意識する動きは入らず。米10年物国債利回りも今年4月初旬の水準である4.2%台まで低下するなど長期金利は低下傾向を強めつつある。結局、ドットチャートは2024年の利下げ見通しは1回と示されたものの、市場では2回利下げを見込む関係者がまだまだ多いようだ。

【今後、ドルはどう動く?】

14日の日銀金融政策決定会合で、日銀は国債買い入れ額を減らす方針を決定した。具体的な金額やスケジュールは市場関係者にヒアリングをした後、7月会合にて公表すると発表したことから、日銀のハト派な決定に市場は円売りの反応を示し、ドルは158円台に突入した。

その後、欧州政治不安の高まりからドルが買われる地合いとなったが、リスクオフで円もやや買われており、ドル・円は157円台での小動きとなっている。米長期金利の低下に日本もつられており長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは、0.92%台で推移しており、ドル・円の方向感は乏しい。チャート形状では、円安ドル高が進みそうな構図ではあるが、市場は欧州政治不安を警戒視していることから、投機筋が円売りポジションを積み上げる展開は難しいと考える。

フランス下院選では極右政党の躍進する公算が大きい。6月末から投票開始となることから、しばらくはフランスを中心に欧州情勢をにらんだ展開となるだろう。欧州通貨が下落した場合、相対的にドル、円が買われると想定するため、ドル・円は動きにくくなると考える。

【2024年スケジュール】

※米国は現地時間を記載しているので、金利発表及び記者会見は日本時間翌日未明

日銀金融政策決定会合(日銀会合)
1月22日−23日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持
3月18日−19日・・・マイナス金利の解除、YCC終了、ETF等の買い入れ終了
4月25日−26日(経済・物価情勢の展望)・・・現状の金融政策を維持、展望レポート見通し引き上げ、記者会見後は円全面安の展開
6月13日−14日・・・国債買い入れ額を引き下げる方針を決定、詳細は7月に公表
7月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
9月19日−20日
10月30日−31日(経済・物価情勢の展望)
12月18日−19日

米連邦公開市場委員会(FOMC)
1月30日−31日・・・4会合連続で金利据え置き
3月19日−20日・・・5会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長は、年内利下げの可能性を再表明
4月30日−5月1日・・・6会合連続で金利据え置き、パウエルFRB議長はややハト派な発言
☆6月11日−12日・・・7会合連続で金利据え置き、24年利下げ回数は3回から1回に修正
7月30日−31日
9月17日−18日
11月 6日− 7日
12月17日−18日


欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
1月25日・・・現状の金融政策を維持、利下げの議論は時期尚早
3月 7日・・・現状の金融政策を維持、6月利下げ開始を示唆する発言
4月11日・・・現状の金融政策を維持、大きなサプライズが無い限り6月利下げ開始か
6月 6日・・・想定通り政策金利を0.25%引き下げ、追加利下げは明言せず
7月18日
9月12日
10月17日
12月12日

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