ドル円見通し 6月14日の乱高下から持ち直すも158円に届かず(24/6/18)

6月17日夜高値157.95円へ上昇したが158円には届かず、18日朝は157.60円台へジリ安の推移となっている。

ドル円見通し 6月14日の乱高下から持ち直すも158円に届かず(24/6/18)

ドル円見通し 6月14日の乱高下から持ち直すも158円に届かず

〇ドル円、6/17夜6月ニューヨーク州製造業業況指数が予想を上回ったこと等を背景に、157.95へ上昇
〇158円には届かず、6/18朝は157.60台へジリ安の推移
〇NY連銀景況指数は持ち直すもマイナス圏、総じて強めだった為、長期債利回り上昇とドル高円安に寄与
〇米10年債利回りは5日ぶり上昇、NYダウは5日ぶりの反発、ナスダックは最高値更新続く
〇157.30以上での推移中は、158円超えから6/14午後高値158.25を試す上昇を想定する
〇157.30割れを弱気転換注意とし、157.15割れからは下げに入るとみて156円台中盤への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月14日の乱高下が落ち着く中で先週末まで連日低下していた米長期債利回りが反発したことで6月17日夜高値157.95円へ上昇したが158円には届かず、18日朝は157.60円台へジリ安の推移となっている。
6月14日の日銀金融政策決定会合で国債買い入れ減額方針が示されたものの具体的な額が示されなかったことを量的引き締めへのハト派姿勢と受けとめて発表前の156.80円台から158.25円へ急伸し、植田日銀総裁が国債買い入れの減額については相当な額となると市場の楽観をけん制したことをきっかけに急落に転じて14日19時台安値156.88円へ続落して当初の急騰幅をほぼ解消したが、乱高下が落ち着いて15日早朝にかけては157円台前半へ戻していた。

6月17日に植田日銀総裁が「円安や輸入物価の動向には注視が必要」と述べ、岸田首相も円安に対して「日銀と密接に連携を図り機動的な政策運営を行っていく」などと述べたが市場の反応は鈍かった。
6月17日夜に発表された6月ニューヨーク州製造業業況指数が予想を上回ったことと米長期債利回りが上昇したことで17日23時過ぎに157.95円まで高値を伸ばしたが158円には届かなかった。
本日は午前に植田日銀総裁の国会答弁、夜に米小売売上高や鉱工業生産の発表がある他、多数のFRB高官や地区連銀総裁らの講演や討論会での発言が予定されている。

【NY連銀景況指数は持ち直すもマイナス圏】

6月17日にニューヨーク連銀が発表した6月ニューヨーク州製造業景況指数はマイナス6.0となり5月のマイナス15.6から改善して市場予想のマイナス9.0を上回ったが、昨年12月から7か月連続でマイナス圏にとどまっている。内訳では新規受注がマイナス16.5からマイナス1.0へ改善、出荷がマイナス1.2から3.3へ改善した。支払価格は28.3から24.5へ、受取価格は14.1から7.1へそれぞれ低下した。6か月後見通しは14.5から30.1へ改善した。総じて強めだったことで米長期債利回り上昇とドル高円安に寄与した。

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は6月17日の講演でECBの利下げについてFRBも「同じ方向」にあるとし、ECBとの違いは「タイミングとペースだ」と述べた。総裁は「(利下げ時期は」正確には分からないものの経済動向が予想通りなら年末までに1回の利下げが適切」とし、利上げは想定外としたものの指標次第では「年末まで2回の利下げも、利下げゼロも大いにあり得る」とした。
同総裁発言についての受け止め方はまちまちであり、2回利下げにより9月利下げ開始への期待を持たせるものとして株式市場はやや楽観を優先、米長期債利回りは利下げはまだ先として上昇反応を見せた。
今夜はバーキン・リッチモンド連銀総裁、コリンズ・ボストン連銀総裁、ローガン・ダラス連銀総裁、クーグラーFRB理事、ムサレム・セントルイス連銀総裁、グールズビー・シカゴ連銀総裁の講演やパネル討論会等が多数ある。

【米10年債利回りは5日ぶり上昇、ダウは5日ぶり反発、ナスダック最高値更新続く】

6月17日の米長期債利回りは先週末にかけて連日低下した流れが落ち着いたことで総じて上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは先週末比0.06%上昇の4.28%となった。6月11日から4営業日連続低下で14日に一時4.19%をつけて4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低を更新したが、17日は一時4.30%まで戻した。
30年債利回りも5日ぶりの上昇で先週末比0.06%上昇の4.41%となり、2年債利回りも先週末比0.06%上昇の4.77%となった。
FOMCで年内利下げ想定回数が3月時点の3回から1回へ減ったものの、利下げ無し4人と1回利下げの7人に対して2回利下げが8人いたことと、12日の米5月CPIと13日の米5月PPIがともに予想より鈍化したことで9月利下げ開始による年内2回利下げへの期待度は5割を超えている。このために先週の米長期債利回りは低下したのだが、連日の低下一服で今夜の米小売売上高等を見たいということで修正的に上昇した印象だ。

一方で6月17日のNYダウは先週末比188.94ドル高と上昇して5日ぶりの反発となり、ナスダック総合指数は168.14ポイント高と上昇して6日連続の史上最高値更新となった。株式市場は年2回の利下げはあり得るとの楽観を優先している印象であり、景気減速感を警戒して下げていたNYダウが戻したことで株式市場全般の先高期待も継続しやすくなった印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月14日午後に158.25円へ上昇して5月3日安値151.85円以降の高値を更新してから反落し、157円割れを買われて17日夜に158円に迫ったものの6月14日午後高値には届かなかった。
6月17日午後の反落時安値(157.15円)を上回るうちは14日夜からの底上げ基調を維持するために158円超えから6月14日午後高値を試し、あるいは上抜く可能性があると考えるが、17日午後安値を割り込む場合は底上げ基調が崩れるのでいったん仕切り直しの下落期に入るとみて18日午後から19日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月17日夜への上昇で遅行スパン好転して先行スパンへ潜り込んだところから上抜けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月17日よるに60ポイント台後半へ上昇したもののその後はジリ安のため、50ポイント台を維持するか一時的に割り込んでも早々に回復する内は上昇余地ありとするが、50ポイント割れから下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月17日午後安値157.15円を下値支持線、158円を上値抵抗線とする。
(2)157.30円以上での推移中は158円超えから6月14日午後高値158.25円を試す上昇を想定する。158.25円前後はダブルトップ形成の可能性ありとみてその後の反落注意とするが、158.25円を超えて続伸の場合は158.50円から158.70円台へ上値目途を引き上げる。
(3)157.30円割れを弱気転換注意とし、157.15円割れからはいったん下げに入るとみて156円台中盤(156.65円から156.35円)への下落を想定する。156.50円以下は反騰注意とするが、157.30円以下での推移が続く場合は19日の日中も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の予定】

6/18(火)
休場 トルコ、インドネシア
10:30 (日)植田日銀 総裁、参院財金委・半期報告
13:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 4.35%、予想 4.35%)
18:00 (独) 6月 ZEW景況感 (5月 47.1、予想 50.0)
18:00 (欧) 5月 HICP(調和消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.6%、予想 2.6%)
18:00 (欧) 5月 HICPコア指数・改定値 前年同月比 (速報 2.9%、予想 2.9%)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.0%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 0.2%、予想 0.2%)
22:15 (米) 5月 鉱工業生産 前月比 (4月 0.0%、予想 0.3%)
22:15 (米) 5月 設備稼働率 (4月 78.4%、予想 78.6%)
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 -0.1%、予想 0.3%)
23:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

24:40 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
25:00 (欧) ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
26:00 (米) ローガン・ダラス連銀総裁、質疑応答
26:00 (米) クーグラーFRB理事、講演
26:20 (米) ムサレム・セントルイス連銀総裁、講演
27:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、パネル討論会



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