トルコリラ円見通し 日銀会合後のドル円動向で夏相場への方向性も見えるか
〇トルコ円、6/13午後にかけてドル円が高値を切り上げたところで4.87を付けて、6/7夜高値と並ぶ
〇6/13は4.82前後を試す動き見られ、6/14午前序盤は4.82から4.84のレンジ推移、戻り一巡感も
〇対ドル、6/13は概ね32.41から32.05の取引レンジ、6/14午前序盤32.58へ下落、リラ売り優勢の動き
〇32.50台へ下落したことで、6/4からの三角持ち合いから下放れ始めた印象も
〇外貨準備高は引き続き増加傾向
〇4.81を上回るうちは一段高余地ありとし、4.87超えからは4.90前後を試す上昇を想定する
〇4.81割れからは、4.79前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の6月13日は概ね4.87円から4.82円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.85円で前日と変わらなかった。
6月12日夜の米CPI鈍化による米長期債利回り急低下をきっかけにドル円が急落した局面でトルコリラ円は直前の4.86円から12日深夜安値4.81円へ急落し、13日未明の米FOMCを通過した後のドル円反騰を追いかけて4.86円まで切り返し、13日午後にかけてドル円が高値を切り上げたところで4.87円を付けて6月7日夜高値と並んだ。
6月13日からは一時的な飛び値として4.82リラ前後を繰り返し試す動きも見られ、14日午前序盤はドル/トルコリラでリラ安優勢の動きがみられることで4.82円から4.84円のレンジで推移しているため、戻り一巡感も見られる。
ドル円は6月12日夜の米5月CPIが予想よりも顕著に鈍化したことで直前の157.30円台から12日深夜安値155.68円へ急落し、13日未明のFOMCが年内利下げ想定(参加者による予想中央値)を1回としたことで13日早朝に156.89円へ反騰し、13日午後には157.31円まで高値を伸ばした。13日夜は米5月PPIが予想より鈍化したことでいったん156.58円まで下げたもののその後は157円を挟んだ揉み合いで推移して確りしている。
本日は日銀金融政策決定会合があり、長期金利抑制のための国債大量購入を減額して量的引き締めに入るのか、植田日銀総裁会見で円安に対するけん制姿勢が従来よりもタカ派的となるのか注目されており、結果次第ではドル円の急伸も急落もあり得るところだ。
トルコリラ円としてはドル/トルコリラでリラ売りがやや優勢となりつつあることに注意しつつ、日銀会合後のドル円の騰落を冷静に追いかける局面と考え、ドル円とともに上昇する場合は4.87円超えから4.90円前後への上昇を想定し、ドル円とともに下落する場合は4.70円台中盤への下落を想定する。
【ドル/トルコリラは6月4日からの三角持ち合いから下放れ始める】
ドル/トルコリラの6月13日は概ね32.41リラから32.05リラの取引レンジ、14日早朝の終値は32.28リラで前日終値の32.31リラから0.03リラのドル安リラ高だったが、14日午前序盤は32.58リラへ下落してリラ売り優勢の動きがみられる。
6月4日にトルコ外相のBRICS加盟希望とロシア大統領府の歓迎発言や新興国通貨安がトルコ投資へのリスク回避感を強めたとして一時32.63リラへ急落し、終値を32.57リラとして4月24日に付けた終値ベースの最安値32.54リラを更新した。6月5日に32.67リラへ安値を切り下げてからいったん急落幅を解消して6日に高値で31.95リラへ戻したが、その後はこの間の高安の範囲でレンジを徐々に縮小する三角持ち合いの様相を呈してきた。
4月後半からのリラ買いが一巡して31リラ台の高値が繰り返し売られて日足終値では32リラ台が続いたことでリラ買い意欲が後退したことで市場心理としてはリラ売り材料に反応しやすくなっており、6月14日午前序盤に32.50リラ台へ下落して三角持ち合いから下放れ始めた印象もある。
フランス総選挙での極右・右派勢力が躍進する見通しとの報道によるEU政情不安への懸念がユーロドルの急落を招いていることによるドル高も影響している印象だ。
【外貨準備高の増加続く】
6月13日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は6月7日時点のグロスで863.6億ドルとなり5月31日時点の839.1億ドルから増加し、ネットでは475.2億ドルとなり5月31日時点の454.6億ドルから増加した。
グロスの外貨準備高はエルカン中銀総裁時代の2023年6月の565.2億ドルから2023年12月に975.6億ドルまで大幅増加したところをピークとして減少に転じ、ネットの外貨準備高も2023年6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから2023年12月の400.9億ドルへ増加したところをピークとして低下してきたが、グロスでは5月序盤の649.7億ドルを最低として増加に転じ、ネットではすでに昨年末の水準を超えている。
カラハン中銀総裁に代わってからもトルコの金融政策正常化が続いていること、S&Pによるトルコ格付け引き上げ、リラ安にやや落ち着きがみられることによる海外からの投資意欲回復、欧米の金融大手のトルコ国債買い推奨等による海外からの投資回復が最近の外貨準備高増加に反映されていると思われる。
ただし、ドル/トルコリラの中長期的な下落は継続するとのコンセンサスは変わらず、年末にかけて1ドル40リラには届かないものの30リラ台後半へ下落するとの見方は健在だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、6月12日夜に4.81円へ急落してから直前の下げ幅を解消する反騰となったために13日午前時点では12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日夜から18日深夜にかけての間への上昇を想定した。
6月13日午後へ高値を伸ばした後は上値の重い展開が続いているためすでにサイクルトップを付けた可能性もあると思われるが、日銀会合後にドル円が大きく動く可能性もあるので4.81円を上回るうちは一段高余地ありとし、連続的な下落で4.81円を割り込む場合は弱気サイクル入りとして17日夜から19日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では6月13日から4.82円前後を支持帯とした持ち合いのため方向感に欠けるので、4.87円超えからは一段高入りにより上昇が勢い付くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とし、連続的な下落で4.81円を割り込む場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は13午後に60ポイント手前へ戻してから40ポイント割れへ失速しているので50ポイント以下での推移中は下向きとし、ドル円とともに急落する場合は20ポイント前後への低下を想定するが、50ポイント超えからは上昇再開とし、ドル円とともに急伸する場合は70ポイントを目指すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.81円を下値支持線、4.87円を上値抵抗線とする。
(2)4.81円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.87円超えからは4.90円前後を試す上昇を想定する。4.90円以上は反落警戒とするが、ドル円が急伸する場合は4.92円へ上値目途を引き上げる。
(3)4.81円割れからは4.79円前後への下落を想定する。4.79円以下は反騰注意とするが、ドル円とともに急落する場合は4.77円前後へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
6月14日
16:00 トルコ中銀ビジネスサーベイ
6月20日
16:00 6月 消費者信頼感指数 (5月 80.51)
17:00 5月 財政収支 (4月 -1778億リラ)
20:30 週次 外貨準備高 グロス 6月14日時点 (6月7日時点 863.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 ネット 6月14日時点 (6月7日時点 475.2億ドル)
23:30 5月 中央政府債務 (4月 7兆4926億リラ)
注:ポイント要約は編集部
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