ドル円見通し 米PPI鈍化で一時下落、157円を挟んだ揉み合いで日銀会合結果を待つ(24/6/14)

一時156.58円へ急落したものの早々に157.20円台へ戻し、14日未明に156.66円まで再び反落したところも買われて14日朝時点は157円を挟んだ揉み合いで推移している。

ドル円見通し 米PPI鈍化で一時下落、157円を挟んだ揉み合いで日銀会合結果を待つ(24/6/14)

米PPI鈍化で一時下落、157円を挟んだ揉み合いで日銀会合結果を待つ

〇ドル円、6/13夕刻157.31へ上昇しCPI発表後の急落幅をほぼ解消したが、6/11高値157.39には届かず
〇6/13夜は米5月PPIが予想よりも鈍化したことで一時156.58へ急落したものの、早々に157.20台へ戻す
〇6/14未明156.66まで再び反落したところも買われ、6/14朝時点は157円挟みの揉み合い推移
〇本日の日銀会合結果公表・植田総裁会見、国債購入減額へ踏み込み円安をけん制するか注目される
〇昨日発表の米PPIは大幅に鈍化、前月比は昨年10月以来最大の低下
〇米長期債利回りは連続低下、NYダウ続落の一方、ナスダックは4営業日連続の史上最高値更新
〇156.50を上回る内は157.47試しとし、157.47超えからは5/30未明高値157.70前後への上昇を想定する
〇156.50割れから続落する場合は戻り一巡による下落期入りとみて、156円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月12日夜の米5月CPI上昇率が予想以上に鈍化したことをきっかけに発表前の157.30円台から12日深夜安値155.68円へ急落したが、13日未明の米FOMCが年内利下げ想定回数を3月時点の3回から1回へ減らしたことで13日早朝に156.89円へ反騰し、13日夕刻には157.31円まで高値を伸ばして米CPI発表後の急落幅をほぼ解消したが6月4日夜安値154.54円以降の高値である6月11日夕高値157.39円には届かなかった。
6月13日夜は米5月PPIが予想よりも鈍化したことで一時156.58円へ急落したもののFOMC通過後だったために反応は限定的で早々に157.20円台へ戻し、14日未明に156.66円まで再び反落したところも買われて14日朝時点は157円を挟んだ揉み合いで推移している。

FOMCが予想よりもタカ派的だったことがドル円を支える一方、12日夜の米CPIと13日夜の米PPIがともに顕著な鈍化を示したことで米国の9月利下げへの期待度もまだ高く米長期債利回りが12日から13日へ低下傾向をたどったことがドル円の上値を重くしているが、仏総選挙での与党敗北・極右右派政党躍進見通しでユーロドルが急落したことによるドル高がドル円を支えた印象もある。
本日は日銀会合及び植田総裁会見内容次第でドル円の急伸も急落もあり得るところであり臨機応変に対処したいが、5月30日未明高値157.70円を超えて5月3日夜安値151.85円以降の最高値を更新する場合は円安継続感がかなり優勢となり、逆に12日夜安値155.68円を割り込んで6月4日夜以降の底上げ基調が崩れると円高期入りの印象が強まると思われる。いずれへ進むのかにより夏相場への方向性も決まるのではないかと注目したい。

【日銀会合、国債購入減額へ踏み込み円安をけん制するか注目】

日銀は6月13−14日の金融政策決定会合結果を昼頃に公表、午後に植田総裁会見を開く。
日銀は3月会合でマイナス金利解除を決定するとともにYCC(長短金利操作)を撤廃し、前回の4月会合では国債買い入れの減額について議論をし始め、日銀当局者による減額決定への姿勢や今回会合で決定に踏み込むとの観測報道も繰り返されている。
今回会合で短期金利誘導目標は現行の「0.0〜0.1%程度」に据え置くとみられるが、国債の買い入れ額については現行の月間6兆円程度から減額される可能性があり、減額決定なら2013年以降の異次元金融緩和開始以降で初めて量的引き締めの移行となる。減額ペースが緩やかとして長期金利抑制を継続する姿勢が強調されて円安へのけん制姿勢もそれほど真剣ではないと市場が受け止めれば円高反応も鈍いと思われ、減額決定が先延ばしなら円安が勢い付く可能性もある。逆に量的引き締め開始を強調して円安へのけん制も従来よりも厳しくなるようなら円高反応が勢い付くことも考えられる。

【米PPIは顕著な鈍化】

6月13日夜に米労働省が発表した5月生産者物価指数(PPI)上昇率は前月比マイナス0.2%となり4月の0.5%から大幅に鈍化して市場予想の0.1%も大きく下回り昨年10月以来最大の低下となった。前年同月比も2.2%で4月の2.3%から鈍化して市場予想の2.5%を下回った。コア指数の上昇率は前月比で0.0%となり4月の0.5%から大幅に鈍化して市場予想の0.3%を下回り、前年同月比は2.3%で4月の2.5%及び市場予想の2.4%を下回った。

6月12日の米5月CPIが予想よりも鈍化したことも踏まえ、インフレ鈍化傾向が顕著になり始めたことにより、今後の5月PCE(個人消費支出)デフレータが鈍化を示せばFOMCの9月利下げ開始確率も上昇すると市場は受け止めている。FOMCメンバーの年内予想は利下げ無しが4人、1回利下げが7人で1回以下が予想中央値とされたが、2回利下げも8人いた。
米労働省による新規失業保険申請件数は6月8日までの週間で前週比1万3000件増の24万2000件となり3週連続で悪化した。失業保険受給者総数も6月1日までの週間で182万人となり前週から3万人増加した。労働市場関連の緩みが出始めたこともFOMCへの利下げ催促要因となりえる。

【米長期債利回りは連続低下、ダウ続落の一方でナスダックは連日最高値更新】

6月13日の米長期債利回りは総じて低下した。FOMCが年内利下げ想定回数を減らしたものの5月の米CPIとPPIがともに顕著な鈍化を示したことを優先していること、13日の米30年債入札が堅調だったこと、仏総選挙での極右右派大勝見通しによる欧州長期債利回り低下の影響も見られる。
長期金利指標の米10年債利回りは前日比0.08%低下の4.24%となり、6月11日から3営業日連続低下したが、一時4.22%をつけて4月25日に付けた昨年末以降のピークである4.74%以降の最低とした。
30年債利回りも0.08%低下の4.40%、2年債利回りも0.05%低下してともに連日の低下となっている。

一方でNYダウは前日比65.11ドル安と下落して3営業日続落したが、ナスダック総合指数は59.12ポイント高で4営業日連続の史上最高値更新となり、S&P500も12日の取引時間中最高値更新には至らなかったものの終値ベースの最高値を更新した。ダウは金融引き締めの長期化による先行きへの悪影響を警戒することを優先しているが、ナスダックは米長期債利回り低下を見ながら株高基調はさらに続くとの楽観が優勢となっている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は6月12日夜の急落から反騰したため、6月7日夕安値から3日目となる12日夜安値で目先の底を付けて上昇期に入ったとし、目先の高値形成期を6月11日夕高値を基準として14日午後から18日夕にかけての間と想定した。
6月13日夕へ高値を伸ばしてからやや乱調な展開となったものの156.50円以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとし、日銀会合結果次第では急伸もあり得ると考えるが、156.50円割れからは下落期入りを疑い、日銀会合後に急落する場合は戻り一巡後の下落期入りとして17日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月12日夜からの反騰とその後の高止まりにより遅行スパン好転して先行スパンを上抜いた状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は6月12日夜の急落時に10ポイント台へ低下してから13日午後に60ポイント台へ上昇し、13日夜に50ポイントを割り込んだところから持ち直しているのでまだ上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下落期入りとして20ポイント前後を試すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、156.50円を下値支持線、157.47円を上値抵抗線とする。
(2)156.50円を上回るか一時的に割り込んでも回復する内は157.47円試しとし、157.47円超えからは5月30日未明高値157.70円前後への上昇を想定する。日銀会合から急伸の場合は158円台序盤へ上値目途を引き上げる。
(3)156.50円割れから続落する場合は戻り一巡による下落期入りとみて156円前後への下落を想定する。日銀会合後にドル円が急落する場合は6月12日夜安値155.68円から155円前後にかけての水準へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

6/14(金)
G7首脳会議(6/15迄)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 0-0.1%、予想 0-0.1%)
13:30 (日) 4月 第三次産業活動指数 前月比 (3月 -2.4%、予想 0.4%)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 -0.1%)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (3月 -1.0%)
13:30 (日) 4月 設備稼働率 前月比 (3月 1.3%)
15:30 (日) 植田日銀総裁、記者会見
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調済 (3月 173億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調前 (3月 241億ユーロ )
18:00 (欧) レーンECB理事、講演

21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.9%、予想 0.1%)
21:30 (米) 5月 輸出物価指数 前月比 (4月 0.5%、予想 0.0%)
23:00 (米) 6月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (5月 69.1、予想 72.0)
26:30 (欧) ラガルドECB総裁、講演
27:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、談話会


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