トルコリラ円週報:『リラを巡る外部環境は着実に好転。来週は下げ一巡後の反発リスクに要警戒』(6/15朝)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は週を通して上値の重い展開となりました。

トルコリラ円週報:『リラを巡る外部環境は着実に好転。来週は下げ一巡後の反発リスクに要警戒』(6/15朝)

『リラを巡る外部環境は着実に好転。来週は下げ一巡後の反発リスクに要警戒』

〇今週のトルコ円、週初4.88まで上昇後、FOMC後のトルコの対ドルでの急落に4.80前後まで下落
〇テクニカルには日足が主要テクニカルポイント下抜け地合いの悪化懸念される
〇ファンダメンタルズは円キャリー継続期待、トルコ中銀追加利上げ観測
〇外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入期待、外貨準備の増加等がトルコリラ円をサポート
〇リラ買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00

今週のレビュー(6/10−6/14)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.84円で寄り付いた後、(1)トルコ商務省による「中国製ハイブリッド車と従来型ガソリン車に40%の追加輸入関税を課す」との発表(国内メーカーを保護し、経常収支悪化を食い止める狙い)や、(2)トルコ4月経常収支(結果52.9億ドル赤字、予想61.0億ドル赤字)の市場予想を上回る結果、(3)トルコ4月失業率(結果8.5%、前回8.6%)の前回比改善が支えとなり、週明け早々に、週間高値4.88円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)対ドルでのトルコリラ急落(米FOMCおよびパウエルFRB議長記者会見のタカ派的な結果を受けて対主要通貨で米ドル急伸→トルコリラの対ドル相場が史上最安値更新→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、週間安値4.79円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/15午前4時30分現在)では、4.80円前後で推移しております。

来週の見通し(6/17−6/21)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は週を通して上値の重い展開となりました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線)を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます(今週は辛うじて一目均衡表雲上限がサポートとして機能)。

但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)トルコリラと日本円の金利差に着目した円キャリートレードの継続期待(トルコリラの10年債利回り26.8%、日本の10年債利回り0.91%)や、(2)トルコ中銀による追加利上げ観測(先週発表されたトルコCPI・トルコPPIは伸び率加速→トルコ中銀による追加利上げ観測再燃)、(3)外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入期待(米JPモルガンは5/31にトルコ国債の投資判断を「オーバーウエート」に引き上げることを発表→トルコ政府・トルコ中銀による正常化政策を好感する形で外国人投資家によるトルコアセットへの資金流入が活発化。トルコ憲法裁判所による「中央銀行総裁を任期中に解任する大統領権限を無効とする判断」も、エルドアン・リスク低減に繋がることから市場は好感)、

(4)トルコ中銀の外貨準備増加(為替介入余力の大幅回復)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、リラ買い・円売りトレンドの再開をメインシナリオとして予想いたします(トルコリラに関してはテクニカルよりもファンダメンタルズ主導の動きを想定→比較的早期に心理的節目5.00円を突破する公算大)。尚、来週はトルコ6月消費者信頼感指数や、トルコ5月財政収支、トルコ5月中央政府債務などが予定されております。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00

注:ポイント要約は編集部

『リラを巡る外部環境は着実に好転。来週は下げ一巡後の反発リスクに要警戒』

トルコリラ円日足

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