フランスの政局不安定からユーロ一段安へ
〇先週のユーロドル、ECBもサプライズなく動きが鈍いままの一週間
〇4月以降のレンジは1.0600〜1.0915、米雇用統計通過で上昇トレンド失われる
〇欧州議会選挙でフランスは極右が大勝、政局不安定化でユーロドルは一段安の動きにつながるおそれ
〇仏総選挙の世論調査をみて、レンジの半値押し1.0758、61.8%押し1.0720、78.6%押し1.0668視野に
〇ユーロ円、12月安値からの上昇チャンネルの中での動き継続中だが、下値に注意すべき流れに
〇5月安値と6月高値の38.2%押しで先週は下げ止まるも、更に半値押し167.44レベルも想定される
〇今週は1.0670レベルをサポート、1.0810レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もユーロドルは動きが鈍いままの一週間となり、注目のECB理事会も特にサプライズはなくすべてが事前予想通りの織り込み済みとなったことで、当日のレンジはわずか40pipsと過去に例を見ないレベルの静かなイベント通過となりました。これで注目イベントは今週のFOMCということになりますが、波乱要因として欧州議会選挙が出てきました。
欧州議会選挙においてフランスは極右が大勝したこと(マクロン大統領率いる与党連合の倍以上の得票率)を受け、マクロン大統領が下院の解散総選挙を行うという演説を行いました。1回目の投票が6月30日、2回目の決選投票が7月7日です。現在のフランス議会(下院)は577議席で、こちらでは極右の国民連合の議席はマクロン大統領が率いる再生の半分の議席しかありませんが、欧州議会選挙の結果から考えると、状況次第では下院総選挙でも極右が勝つ可能性があります。
そうなるとフランスの政局が不安定になり、ただでさえドル高地合いが続く中で、ユーロドルは一段安の動きにつながるおそれがあります。FOMCに加え、選挙まで期間が短いことから今週来週あたりのフランスの世論調査がどのような動きになるのか、当面はユーロにとっての最大の新材料が出てきたということになるでしょう。
なお、FOMCの結果によるユーロドルの動向についてはドル円週報に示したドルの動きをそのままユーロドルにもあてはめていただければ大きくは外さないと考えています。テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。
4月以降のレンジが1.0600〜1.0915と狭いのですが、金曜雇用統計後のドル買いの動きで大きめの陰線が出て、それまでの上昇トレンドは完全に失われたところにフランス総選挙のニュースで、まずはこの間のレンジの半値押しとなる1.0758、そして61.8%押しとなる1.0720、78.6%押しとなる1.0668を視野に入れて一段のユーロ売りが出やすい流れになってきたと言えるでしょう。
いっぽうで上値は1.08水準では戻り売りが出やすくなってくるでしょうから、今週は1.0670レベルをサポートに、1.0810レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週もユーロ円の日足チャートです。
12月安値からの上昇チャンネルの中での動きを継続中ですが、フランス総選挙のニュースでユーロドルが一段安となる可能性が高まってきたことから、ユーロ円も下値に注意すべき流れになってきたと言えます。
5月安値と6月高値の38.2%押しで先週は下げ止まりましたが、改めて同水準を試しやすく更に半値押しとなる167.44レベルも想定しながらフランスの状況を見て行くこととなりそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
6月10日(月)
20:00 オーストリア中銀総裁講演 ☆
6月11日(火)
15:00 英国5月失業率
16:10 フランス中銀総裁講演 ☆
20:05 レーンECB理事講演 ☆
6月12日(水)
15:00 ドイツ5月CPI
15:00 英国4月鉱工業生産、貿易収支
22:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆
27:00 FOMC結果公表 ☆
6月13日(木)
18:00 ユーロ圏4月鉱工業生産
6月14日(金)
12:00頃 日銀会合結果発表 ☆
15:45 フランス5月CPI
18:00 ユーロ圏4月貿易収支
26:30 ラガルドECB総裁講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
6月3日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず欧州市場序盤には売りが先行、欧州昼頃に一時1.0828レベルの安値をつけました。その後はドル円同様にドル売りの動きが強まりユーロドルは上昇、1.0905レベルでの高値引けとなりました。
6月4日(火)
ユーロドルはユーロ円がドル円とともに大幅に調整が入ったこともあり、NY市場までは売りが先行、その後やや戻しての引けとなりました。
6月5日(水)
ユーロドルは1.08台後半の狭いレンジでの取引に終始し、1日のレンジも38pipsにとどまりました。
6月6日(木)
ユーロドルは東京市場では買い先行後に下げ、欧州市場序盤はECB理事会を前に上値が重くなっていましたが、予想通り0.25%の利下げとなり、イベント通過による買い戻しから一時1.09台乗せを見ました、しかし値幅は狭く終日レンジもわずか40pipsにとどまりました。
6月7日(金)
ユーロドルもNY市場までは1.08台後半の狭いレンジでもみあいを続けていましたが、米国雇用統計を受けて1.08台前半へと下落。その後も戻りは見られず、1.0798レベルへと続落し安値引けとなりました。
注:ポイント要約は編集部
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