上値重い展開に、日米中銀会合の結果待ちの地合い
【今週の豪ドル】
今週は、中国経済指標が判断難しい状況となったなか、弱い豪経済状況が確認されたことなどからオーストラリア準備銀行(豪中銀)による追加利上げ観測が大幅に後退。豪ドルは上値の重い展開となった。
3日と5日に民間企業の財新が発表した5月の中国製造業、サービス業、コンポジットPMIはいずれも前月を上回る強い結果となったが、5月31日に中国国家統計局が発表した5月製造業PMIは49.5と、市場予想(50.5)、好不況の境目となる50をそれぞれ下回った。政府と民間の同時期のPMIがまちまちとなったことから、中国経済指標は豪ドルの追い風とはならなかった。
一方、国内では、4日、オーストラリア統計局が発表した第1四半期の経常収支が、49億豪ドルの赤字と市場予想(51億豪ドルの黒字)に反して赤字となった。輸入の急増と商品輸出価格の下落が影響した。また、2023年第4四半期黒字額も118億豪ドルから27億豪ドルに大きく下方改定された。同日に発表された第1四半期の企業在庫は市場予想を上回る増加となったことから、GDPに対する経常収支の影響はほぼカバーできた。
ただ、5日に発表された第1四半期GDPは前期比0.1%増と市場予想(0.2%増)を下回った。前年比も1.1%増にとどまったことで、実体経済への影響が現実的な数字として顕在化したことを受けて、豪中銀による利上げ実施観測は大幅に後退。豪ドルは一時102円60銭と2円近く下落する場面が見られた。売り一巡後は103円台後半まで値を戻したが、上値の重い展開となった。
豪ドル・円(東京時間:6月3日―6月7日(終値は9時台終値を参照))
※Investing.comの日足を参照
始値: 104円66銭
高値: 104円78銭
安値: 102円60銭
終値: 103円83銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
6月4日
10時30分、第1四半期経常収支、前回:118億豪ドル、市場予想:60億豪ドル、結果:−49億豪ドル
6月5日
10時30分、第1四半期実質GDP(前期比)、前回:0.3%、市場予想:0.2%、結果:0.1%
10時30分、第1四半期実質GDP(前年比)、前回:1.6%、市場予想:1.3%、結果:1.1%
6月6日
10時30分、4月貿易収支、前回:48.41億豪ドル、市場予想:54.00億ドル、結果:65.48億豪ドル
6月11日
10時30分、5月NAB企業景況感、前回:7.0
6月13日
10時30分、5月雇用者数、前回:3.85万人
10時30分、5月失業率、前回:4.1%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週の豪ドルは、中国景気回復期待という追い風が止まったなか、豪中銀による追加利上げ観測が後退したこともあり、上値の重い展開となりそうだ。米長期金利が約2カ月ぶりの水準まで低下していることで、対米ドルはしっかりとなりそうだが、対円は微妙なところだ。
豪経済及び中国経済を材料に豪ドルを積極的に買う地合いではなくなっていることで、105円台更新を目指すには別の材料が必要だ。材料としては、来週11-12日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、13−14日の日銀金融政策決定会合でハト派な話がでれば、対円、対ドルで豪ドルは強含む可能性はある。もっとも、ドル、円ともに下落というややこしい地合いとなった場合、投機筋のポジション調整も進むことから為替市場は荒い地合いとなりそうだ。
テクニカルでは、20日移動平均線水準でもみ合っている。日足の一目均衡表では、雲上限より上で推移しているが、基準線水準まで下落するなど強いトレンドとは言えない。4月29日の上影(上ヒゲ)が位置する高値104円91銭を完全に抜け切ることができなかったことも上値が重くなる要因だ。
月足では、20年3月安値59円87銭をボトムとした上昇のなか、14年高値102円89銭を上回っており、2013年5月以来の105円台を意識した展開が続いているが、材料難も加わり、豪ドルの上値は重くなろう。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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