上昇傾向ながらも短期的には下押し先行か
〇先週のユーロドル、米CPI後のドル売りの動きから一時1.0895レベルまで上昇、4月高値上抜ける動き
〇レジスタンスを明確に上抜け、4月後半からの上昇チャンネルの中での動き継続中
〇先週高値、3月高値と4月安値78.6%戻しと4月安値起点161.8%フィボナッチエクスパンションと重なる
〇テクニカルにはいったん下げ方向の調整を見た上で、再度上昇トライという動きが自然か
〇ユーロ円、介入警戒感無く、ユーロドル上昇の際には170円の大台と年初来高値を視野に入れるか
〇今週は1.0800レベルをサポート、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見る
今週の週間見通しと予想レンジ
先週もユーロはドル円に比べると値幅は狭かったのですが、材料的(ECBの早期緩和は織り込み済み、強い欧州株)にもテクニカルにも抜けるとすれば上方向という見通しを立てていました。先週のユーロは底堅い動きとなり、一時1.0895レベルまで上昇したことで、4月高値を上抜ける動きにつながりました。
今週は明日のラガルドECB総裁講演、またPMI速報値など月曜を除いて連日イベントはありますが、現時点でECBの金融政策に関してタカ派的にもハト派的にも振れるようなものは無いと言えます。引き続き、ユーロが底堅い動きの中で、再び騰勢を強め始めたユーロ円の影響も考慮しつつ、どこまで上がるのかを考えることとなりそうです。
特段新規の材料も無いため、テクニカルに見て行きます。いつもの日足チャートをご覧ください。
これまでのレジスタンスを明確に上抜けたことで、4月後半からの上昇チャンネルの中での動きを継続中と見ることが出来ます。しかし短期的には、3月高値と4月安値の78.6%戻しが1.0899、4月安値を起点とした上昇N波動の161.8%フィボナッチ・エクスパンションが1.0897と先週高値と重なっています。
いったん下げ方向の調整を見た上で、再度上昇をトライという動きがテクニカルには自然に思えます。その場合の下方向の目途としては1.0800前後、その後の再度上値をトライする場合の目途は1.09台前半という水準になります。
今週は1.0800レベルをサポートに、1.0925レベルをレジスタンスとする週を見ておきます。
今週のコラム
今週はユーロ円の日足チャートをご覧ください。
12月安値からの上昇チャンネルの中での動きを継続中です。ドル円が底堅い動きを示す中で、ユーロが上昇したことで改めて170円の大台を視野に入れる展開となってきました。ユーロ円では介入警戒感も無いことが買いやすくしているという面もあります。次の波でユーロドルが上昇する動きの際には年初来高値を視野に入れる動きとなりそうです。
今週の予定
今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
5月20日(月)
(特になし)
5月21日(火)
15:00 ドイツ4月PPI ☆
17:00 ラガルドECB総裁 ☆、イエレン財務長官講演 ☆
18:00 ユーロ圏3月貿易収支、建設支出
26:00 英中銀総裁講演 ☆
5月22日(水)
15:00 英国4月CPI ☆
23:00 米国4月中古住宅販売
27:00 FOMC議事要旨公表 ☆
5月23日(木)
16:15 フランス5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
16:30 ドイツ5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:00 ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 英国5月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:00 ユーロ圏5月消費者信頼感速報値 ☆
**:** G7(〜25日)☆
5月24日(金)
08:01 英国5月消費者信頼感
15:00 英国4月小売売上高
15:00 ドイツ1〜3月期GDP改定値
15:45 フランス5月企業景況感
16:00 シュナーベルECB理事講演 ☆
前週のユーロレンジ
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。
為替の高値・安値は東京午前9時ーNY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
5月13日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入り米金利が低下する動きに沿ってユーロ買い(ドル売り)が先行しました。NY市場朝方に1.0807レベルの高値をつけましたが、その後はドル円でのドル買いに引っ張られてやや押して引けました。
5月14日(火)
ユーロドルは底堅い動きを続けましたが、強い欧州株によるユーロ買い要因、ユーロ円での円売りによる円要因などが絡み合っている結果で、値幅自体はそれほど大きくはありませんでした。テクニカルに前日高値を上抜けたことがユーロ買いの最大の要因となりました。
5月15日(水)
ユーロドルはNY市場までもみあい、米国CPIを受けてのドル売りの動きから1.0886レベルまで上昇し、そのまま高値引けとなりました。
5月16日(木)
ユーロドルは東京前場に1.0895レベルの高値をつけて以降はじり安、NY前場に1.0854レベルの安値をつけたもののドル円に比べると値動きは少なく、ユーロ円の動きが目立った一日でした。
5月17日(金)
ユーロドルは米金利上昇の動きとともにNY市場までは上値が重たい流れが続いていましたが、NY市場では弱い米国経済指標をきっかけとしたドル売りからユーロドルは1.0879レベルまで買い戻されました。しかし一日の値幅は43pipsにとどまりました。
注:ポイント要約は編集部
ディスクレーマー
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