トルコリラ円見通し ドル円の一段高により5月3日以降の高値を更新(24/5/14)

トルコリラ円の5月13日は概ね4.85円から4.81円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.84円で先週末終値4.81円から0.03円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段高により5月3日以降の高値を更新(24/5/14)

トルコリラ円見通し ドル円の一段高により5月3日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、5/13深夜のドル円一段高を見て、5/14未明高値4.852を付け、5/3夜安値以降の高値更新
〇トルコリラ円は、政府・日銀の市場介入を警戒しつつドル円の上昇を追いかける展開続けるか
〇対ドル、5/13は概ね32.40から31.95の取引レンジ、31リラ台後半を繰り返し試す展開
〇トルコ3月経常収支は赤字が拡大、6か月連続の赤字となる、3月小売売上高も悪化
〇4.82を上回るうちは一段高余地ありとし、4.86から4.87への上昇を想定する
〇4.82割れを弱気転換注意とし、4.81割れからは下落期入りとみて4.79前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の5月13日は概ね4.85円から4.81円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.84円で先週末終値4.81円から0.03円の円安リラ高となった。
ドル円が二度の市場介入を挟んで4月29日高値160.16円から5月3日夜安値151.85円まで大幅下落した局面でトルコリラ円は4月29日午前高値4.92円から5月3日夜安値4.69円まで大幅下落したが、5月3日夜の米雇用統計後は当面のドル売り円買い材料を消化したとして反騰入りしたため、トルコリラ円もドル円の上昇を追いかけて6日から9日まで4連騰とし、9日夜には4.846円まで高値を伸ばした。
5月10日はドル円の上げ渋りでトルコリラ円は9日高値超えへ進めずに11日早朝に4.81円まで反落したが、週明けの13日はドル円が深夜に156円台へ一段高したのを見て14日未明高値で4.852円を付けて9日夜高値を超えて5月3日夜安値以降の高値を更新した。

【政府・日銀の市場介入を経過しつつドル円の上昇を追う】

ドル円は4月29日高値から5月3日安値までの下落幅8.31円に対する半値戻しラインの156.00円を超えた。今夜の米PPIや明日夜の米CPI内容次第では波乱もあり得るが、13日夜はNY連銀消費者調査での1年先期待インフレ率が3月から大幅に上昇したことや、イエレン米財務長官が市場介入へのけん制ともとれる発言を行い、ジェファーソンFRB議長が利下げ判断はまだ先としたことがドル円を押し上げている。
三度目の市場介入への警戒感でドル円の上昇も慎重ではあるが、連日高値を切り上げており、米CPI等から一段高する可能性もあるところであり、トルコリラ円としては波乱に注意しつつドル円の上昇を追いかける展開を続けると思われる。

【ドル/トルコリラは1ドル32リラを挟んだ攻防】

ドル/トルコリラの5月13日は概ね32.40リラから31.95リラの取引レンジ、14日早朝の終値は32.27リラで先週末終値32.20リラから0.07リラのドル高リラ安だった。
4月12日に取引時間中の史上最安値を33.03リラへ更新し、終値ベースでは4月24日終値32.54リラへ史上最安値を更新したが、4月25日にトルコ中銀が政策金利の週間レポレートを50%で据え置きインフレ抑制のための利上げ状態を継続するとしたことや5月3日に大手格付け会社S&Pがトルコ格付けを引き上げたこと等によりリラの買い戻しが優勢となり、5月9日には高値で31.92リラを付け、10日にも31.97リラ、11日も前日比ではリラ安に終わったものの高値で31.95リラを付けるなど31リラ台後半を繰り返し試している。

3月31日のトルコ統一地方選における与党大敗で付けた4月1日高値31.36リラを超えないうちは史上最安値更新後の調整的なリラ高の範囲となるが、31リラ台での推移を続けて徐々に高値を切り上げる場合はリラ買い優勢の流れが勢い付いて4月1日高値を試す可能性もあるところと注目したい。ただし、13日発表のトルコ3月経常収支では赤字額が拡大しており、ファンダメンタルズ面でしっかりしきれていない印象が残る。

【トルコ3月経常収支は赤字が拡大】

5月13日に発表されたトルコの3月経常収支は45.44億ドルの赤字となり赤字額は2月の36.44億ドルから悪化して市場予想の38億ドルを上回った。
経常収支は昨年9月に24.4億ドルの黒字を計上したものの、10月から6か月連続赤字となり3月の赤字はこの間で最大となった。昨年1月に102億ドルまで赤字が拡大してから昨年9月まで縮小傾向に入り黒字転換に達したのだが、構造的な赤字体質からの脱却は難しい。2021年も10月に39.2億ドルの黒字を計上してから赤字に転落しており、短期間の黒字を計上するところをピークとして周期的な悪化を繰り返している。経常収支の根本的な改善基調が見られれば外資の評価も高まるところだが、ひとまず仕切り直しに入っている印象だ。
3月のトルコ小売売上高は前月比0%で2月の3.6%増から悪化し、前年同月比は2月の25.2%増から19.4%増へ鈍化した。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、5月8日夜高値をサイクルトップとして高値更新から新たな強気サイクル入りとし、5月9日夜へ一段高したために10日午前時点では9日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして13日夜から15日夜にかけての間への上昇を想定した。
5月10日午前に反落したところからの上昇を続けて14日未明に一段高したため、直近のサイクルボトムを10日午前安値へ改めてトップ形成期を14日夕から16日夕にかけての間とする。ただし、4.82円割れからは弱気転換注意とし、4.81円割れからは弱気サイクル入りとして15日朝から17日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では5月14日未明への上昇で遅行スパンが好転し、11日早朝に先行スパンから一時転落したものの上抜き返した状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避する内は遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落からは下落期入りの可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は5月14日未明に60ポイント台後半へ上昇した後も50ポイント台を維持しているので70ポイント超えへ上昇する可能性ありとみる。ただし、50ポイント割れから続落する場合は下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.82円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.86円から4.87円への上昇を想定する。4.87円以上は反落警戒とするが、4.83円を上回っての推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.82円割れを弱気転換注意とし、4.81円割れからは下落期入りとみて4.79円前後への下落を想定する。4.79円以下は反騰注意とするが、4.82円を下回っての推移なら15日も安値試しへ進みやすいとみる。

【当面の主な予定】

5月15日
 17:00 4月 財政収支 (3月 -3090億リラ)
5月16日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 5月10日時点 (5月3日時点 691.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 5月10日時点 (5月3日時点 210.8億ドル)
5月23日
 16:00 5月 消費者信頼感指数 (4月 80.5)
 20:00 トルコ中銀政策金利発表



注:ポイント要約は編集部

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