ユーロドル:12月5日からの先週
イタリアの国民投票で憲法改正案が否決されレンツィ首相が辞任を表明したことで1.0505まで下落した後、イタリア発の金融危機懸念からユーロ圏の金融機関が外貨建て資産を売却したレパトリやECB理事会で政策金利が据え置かれたことで1.0872まで上昇。しかし、ECBの資産購入プログラムが月800億ユーロから600億ユーロに減額されたものの9カ月間延長されたことで1.05台まで反落して週を引けました。
5日は、前週引けの1.0661で始まるも、イタリアの国民投票で憲法改正案が否決されたことを理由にレンツィ首相が辞任を表明したことで5日の安値の1.0505まで下落しました。その後はショートカバーと思えるユーロの買いで、じりじりと上昇を続け、殆ど押しらしい押しなく、NY時間に入り5日の高値の1.0796まで上戻し、1.0763で引けました。
6日は、前日引けの1.0763ではじまり、日中6日の高値の1.0785を付けた後は、8日のECB理事会を控え、緩和策維持を決定するとの思惑からじりじりと下降を続け、6日の安値1.0698をつけて1.0716で引けまた。
7日は、前日引けの1.0716で始まり、日中7日の安値1.0709から7日の高値1.0768へ上昇し1.0752で引けました。翌日のECB理事会を控え、動意待ちの一日でした。
8日は、前日引けの1.0752で始まり、1.0805までややユーロが強いままECB待ちでした。ECBは、政策金利の据え置きを決定しましたが、2017年4月から債券買い入れは月額600億ユーロに、17年12月まで継続し延長もと発表。これで一時8日の高値の1.0872まで上昇しユーロ買いになった後、ユーロ売りに転じ、1.0596まで下落して1.0613で引けました。
9日は、前日引けの1.0613で始まり、日中9日高値の1.0630から9日安値の1.0530まで下落し1.0554で引けました。ECBが経営難に陥っているイタリア3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(モンテ・パスキ)からの増資延期要請を拒否したとの報道を受け、イタリア懸念からリスク・オフの動きが強まりました。
ユーロドル:12月12日からの今週
ポイント:ユーロはユーロ圏の経済的にも政治的にも売り圧力が強い中、なかなか下抜けない1.0500を試す流れ
でしょう。
CME通貨先物ポジション状況:12月6日時点
(12月6日) (11月29日) (11月22日)
円 ▲33937 ▲269 10900
ユーロ ▲114556 ▲119240 ▲119348
ポンド ▲77238 ▲78135 ▲74318
シカゴIMM:短期投機・投資家によるユーロの売り持ち高は前週からやや減少。
過去最高の買い持ち高は、2007年5月15日 +119,538、
過去最高の売り持ち高は、2010年2月9日 -57,152
シカゴVIX指数:投資家の恐怖心理の度合いを示す指数、
11.75(-0.89) VIX指数は下落しての引け。株価が上値を拡大したことでリスク志向の動きが意識されました。
2016年最大は32.09、過去最大は2014年の31.06、過去最安は1993年の8.89、直近では2006年の9.39
予想レンジは1.0400~1.0800
ユーロドルは下落を予想します。
まず先週のECB理事会で、現状の金融緩和の方向が確認された事。
注目されていた2017年3月に終了する月800億ユーロの資産購入プログラムは、600億ユーロに減額されたものの12月まで9カ月間延長となりましたし、預金金利を下回る利回りの資産も購入すると発表されました。
一方で今週の13〜14日のFOMCでは、米追加利上げが市場ではほぼ確実視されています。
結果として、欧州と米国の金利の方向は反対であるので、少なくとも足元しばらくの間は、ユーロとドルの金利差は拡大する方向と想定されるからです。
加えて、イタリアの国民投票で憲法改正案が否決され、現レンツィ首相は辞任を表明。
イタリアの政局は混迷し、イタリアの経済への悪影響の懸念が高まり、ひいてはユーロ圏の経済、政治にも懸念が拡大し、ユーロは売り優勢となると想定します。
そのほか、15日には
英国中央銀行金融政策決定会合:予想:政策金利0.25%、資産購入目標4350億ポンドに据え置き
スイス国立銀行金融政策決定会合:予想3ヶ月LIBOR目標レンジ‐1.25%〜 ‐0.25%で据え置き
と予想されています。
予想レンジは、1.0400~1.0800 と見ます。
オーダー/ポジション状況
関連記事
-
南アフリカランド(ZAR)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.04.20
南アランド週報:『米利下げ観測後退と中東情勢緊迫化の二重苦で約3週間ぶり安値圏へ下落』(4/20朝)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初8.12円で寄り付いた後、早々に週間高値8.18円まで上昇しました。
-
トルコリラ(TRY)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.04.20
トルコリラ週報:『来週はトルコ中銀会合に注目。連続利上げなら一段高の可能性も』(4/20朝)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は3/13に記録した史上最安値4.52円をボトムに切り返すと、ここ数週間は4.70円台を中心とした底堅い動きが続いています。
-
米ドル(USD)の記事
Edited by:照葉 栗太
2024.04.20
来週の為替相場見通し:『日米金利差に着目したドル買い・円売りが続く見通し』(4/20朝)
ドル円(USDJPY)は一時154.79(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)まで上昇するなど力強い動きが続いています。
-
ユーロ(EUR)の記事
Edited by:山中 康司
2016.12.09
ECB理事会後のユーロ(2016年12月9日)
今週初のイタリア国民投票後には「酷い値動きの一日となりました」と書きましたが、昨日のECB理事会後の動きは
- 「FX羅針盤」 ご利用上の注意
- 当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
- FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
- 当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
- 当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
- 当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
- 当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
- 当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
- 当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
- 当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。