中東情勢の緊迫化は厄介だが、サプライズ利上げで反発強まるか
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、中東情勢の緊迫化や米利下げの後ずれ観測がより高まったことなどが影響して横ばい推移となった。
15日の2月失業率は8.7%と前月よりも改善したほか、16日の2月小売売上高は25.1%と前月を大幅に上回る結果となった。また、17日の2月経常収支では3.27億ドルの赤字と市場予想よりも赤字幅が縮小するなど好調な経済指標が確認できたものの、トルコリラへの影響は限定的となった。
なお、16日、エルドアン大統領は、中期的な経済プログラム強化に向け手続きを進めると発表した。閣議後に、経済チームが準備に入っており「極めて近いうちに公表したい」と説明。「プログラム強化に当たり、公共部門の支出節約、投資の優先、構造改革の加速が主な優先課題となる」と述べたほか、24年経済成長率は、輸出の好影響で4%に近づくとともに、年末時点の経常赤字は対国内総生産(GDP)比で2.5%になるとの予想も示した。ただ、トルコ経済指標同様、発表後、トルコリラにポジティブな動きは観測されなかった。
トルコリラ・円(東京時間:4月15日―4月19日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.7320円
高値:4.7858円
安値:4.6807円
終値:4.7555円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
4月15日
16時00分、2月失業率、前回:9.0%、結果:8.7%
4月16日
16時00分、2月小売売上高、前回:13.7%、結果:25.1%
4月17日
16時00分、2月経常収支、前回:−2.52億ドル、市場予想:−3.7億ドル、結果:−3.27億ドル
4月24日
16時00分、4月製造業景況感指数(季節調整済)、前回:103.5
16時00分、4月設備稼働率、前回:76.2%
4月25日
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:50.00%、市場予想:50.00%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、中東情勢を横目に見つつ、25日のトルコ中央銀行(トルコ中銀)による追加利上げの有無に焦点が集まろう。サプライズの利上げとなれば、トルコリラ買いの動きが強まると考える。
3月会合で、トルコ中銀はサプライズ利上げを実施したが、4月3日に発表された3 月CPIは前年比+68.50%(前月:同+67.07%)、食品とエネルギーを除いたコアが同+75.21%(前月:同+72.89%)とともに市場予想を上回り、前月よりも伸びが加速。同じく3日に発表された3月生産者物価指数(PPI)も前年比+51.47%と前月(同+47.29%)を上回り11カ月ぶりの高い伸びとなった。
先行性がある川上のPPIが強かったことから、川下である4月のCPIは強含む可能性が高いと推測。5月上旬に発表される4月CPIの結果を受けて、5月会合での追加利上げの可能性は非常に高いと考えるが、エルドアン大統領が「中期的な経済プログラム強化」を既に発表したことから、先手を打つ意味合いで、4月会合にて追加の利上げを実施する可能性も高いとみる。
一方、中東情勢は緊迫化を強めている。東京時間21日20時時点で、イスラエルは公式発表をしておらず、イランは国営テレビによる「3機のドローンを破壊」報道や、「ドローンによる攻撃だが、被害は無く死傷者もいない」とのアブドラヒアン外務大臣のコメントをイランメディアが報じた程度に留まっている。今のところ双方ともに全面戦争に対する抑制的な反応を示しているが、予断を許さない状況は変わらない。
また、トルコ政府は、9日にパレスチナ自治区ガザでの停戦が実現するまでイスラエルへの輸出を制限すると発表している。この制裁措置による経済への直接的な影響は限られるそうだが、イスラエルを支援する米国などとの関係悪化につながるような展開となれば、資金逃避などが生じる可能性もある。中東情勢の沈静化が待たれるところだ。
日足ベースでは、3月13日の史上最安値4.5227円から下値をじりじりと切り上げており、50日移動平均線を上回った後、日足の一目均衡表の雲上限水準で推移している。短期的なリバウンドが強まっているという形状ではないが、4.81円水準の100日移動平均線も上回ると反発が強まる可能性もあろう。中東情勢や日本当局による円買い介入警戒など外部環境を睨んだ展開ではあるが、25日のサプライズ利上げに伴うトルコリラ反発の地合いに期待したい。
トルコリラ円日足
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