4月から4.70円台前半中心の持ち合い、ドル円が155円の壁を超えるか注目
〇トルコ円、イスラエルのイラン空爆報道によるドル円急落局面で4/19昼4.61まで大幅下落
〇全面戦争化回避との楽観によるドル円反騰を受け、4/20未明4.74を超える
〇4/1以降の4.76以上を繰り返し売られ4.70台前半中心の持ち合い範囲にとどまっている印象
〇対ドル、4/19は概ね32.85から32.30の取引レンジ、4/20早朝終値は32.49
〇4/5以降のリラ安再燃の動き続く、4/19は一時的に32.85を付け4/12の史上最安値に迫る
〇エルドアン大統領、支持回復の努力始めた印象だが、高インフレ・リラ安等の改善には時間かかるか
〇中銀調査、年末1ドル40リラ見通しは変わらず、4/25の政策金利は据え置き見通し
〇4.78超えからは4.80前後への上昇を想定
〇4.72割れからは下落期入りとみて4.70前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の4月19日は概ね4.78円から4.61円の取引レンジ、20日早朝の終値は4.76円で前日終値の4.75円からは0.01円の円安リラ高で、週間では4月12日終値4.74円から0.02円の円安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党敗大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に4.77円へ急伸した後は高値更新へ進めず、4月12日午前の一時的急落から4月15日午後に4.77円まで切り返した後はややジリ安の推移が続いていた。4月19日昼にイスラエルによるイランへの空爆報道でドル円が急落した局面で4.61円まで大幅下落し、空爆被害が軽微で両国の全面戦争化は回避されるとの楽観でドル円が元の水準へ反騰したことで20日未明には4.74円を超え、20日早朝の取引終了時のリラ買いでドル/トルコリラでドル安リラ高となったために20日早朝には一時4.78円を付けて4月1日高値をいったん超えた。
4月1日高値を一時的に超えてから反落した状況で週を終えているので、4月1日以降の4.76円以上を繰り返し売られる4.70円台前半を中心とした持ち合い範囲にとどまっている印象だ。ドル/トルコリラは4月5日以降をドル高リラ安基調で推移しており、4月12日に史上最安値を更新するなドル高どリラ安基調はさらに続く見通しだが、一時的な騰落を除けば値動きは緩慢のため、トルコリラ円の当面はドル円が155円の壁を超えて一段高へ進むのか、壁超えに失敗して円高期に入るのかを見極めながらドル円の騰落を追いかける展開と思われる。
【ドル/トルコリラ 4月5日以降のリラ安再燃の動き続く】
ドル/トルコリラの4月19日は概ね32.85リラから32.30リラの取引レンジ、20日早朝の終値は32.49リラで前日終値の32.52リラからは0.03リラのドル安リラ高だった。週間では4月12日終値32.35リラから0.14リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いで4月1日に32.48リラから31.36リラへ一時急伸し、日足終値ベースでは4月4日までリラ高が続いたものの4月1日高値超えには至らず、4月5日からはドル高リラ安が再燃して12日朝には一時的な急落で32.56リラを付けて3月19日安値32.50リラを超え史上最安値を更新した。4月16日と17日は終値ベースで小幅なドル安リラ高となったものの17日に安値32.62リラへ安値を切り下げ、19日は午後の一時的なリラ売りで32.85リラを付けて4月12日安値に迫ったものの、20日早朝の取引終了時にかけてのリラ買い戻しで前日比ではマイナスに終わった。
トルコのエルドアン大統領は4月16日に中期的な経済プログラム強化策を近く公表するとし、ユルマズ副大統領は「財政支出の効率化により社会福祉への貢献度を高めたい」と述べており、統一地方選での大敗から民衆の支持回復へ向けた努力をし始めている印象だが、高インフレ・リラ安・増税と高金利の改善には時間もかかる。
【中銀調査、年末1ドル40リラ見通しは変わらず、4月25日の政策金利は据え置き見通し】
4月19日にトルコ中銀による月例のビジネスサーベイ(エコノミストや企業トップに対する市場見通し調査)結果が発表された。同調査における参加者予想中央値では、2024年末CPI上昇率見通しは44.16%で3月調査時の44.19%からわずかに低下し、政策金利見通しは3か月後で50.0%で現状と変わらず12か月後は38.18%で3月の36.96%から上昇した、2024年末の為替レート見通しは1ドル40.0098リラで3月調査の40.5344リラから若干低下した。
4月3日に発表されたトルコ統計局による3月CPIは全体の前年比が68.5%で2月の67.07%から加速し、コア指数は75.2%で2月の72.9%から加速している。中銀や財務省は年前半に70%台でピークを付けて年末にかけて低下すると見込んでいるが、1ドル40リラへリラ安が進行してゆくことを踏まえれば通貨インフレによる影響で年末にかけて期待通りに低下するというのはやや楽観的と思われる。
4月25日にトルコ中銀金融政策委員会があり政策金利が発表されるが、市場の事前予想は週間レポレートが50.0%で現状維持と見込まれている。一部には2.5%ないし5.0%の追加利上げ予想も見られるもののトルコ中銀のカラハン総裁は4月16日に利上げサイクルは終了して年末のインフレ率は36%台へ低下するとの見通しを述べており、現状維持に終わりそうだ。3月21日の前回会合では現状維持予想に反して5%の追加利上げを決定したために市場はサプライズとしてリラ高反応を示したもののその後に史上最安値を更新している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月15日午後高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして18日午前から22日午前にかけての間への下落を想定してきた。
4月19日午前時点では18日午前安値を直近のサイクルボトムとして底割れからは新たな弱気サイクル入りとしたが、19日昼に急落してから下げ幅を解消する反騰となり20日早朝には4月1日高値を一時超えたため、19日昼安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は20日早朝高値を含み22日の日中から23日にかけての間までとするが、4月15日午後高値から4日半を経過しているのですでに反落注意期とし、4.72円割れからは弱気サイクル入りとして24日午前から26日昼にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月20日早朝への反騰により遅行スパンは好転しつつあり、先行スパンも上抜けたため、遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、4.72円割れからは戻り一巡による下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月19日昼の急落で20ポイントを割り込んでから20日早朝に50ポイント台へ戻しているので、60ポイント超えからは70ポイント前後への上昇を想定するが、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント台への低下へ向かうとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.72円を下値支持線、4.78円を上値抵抗線とする。
(2)4.78円超えからは4.80円前後への上昇を想定する。4.80円以上は反落注意とするが、4.74円を上回っての推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急伸する場合は4.83円前後へ上値目途を引き上げる。
(3)4.72円割れからは下落期入りとみて4.70円前後への下落を想定する。4.70円前後は買われやすいとみるが、4.72円を下回っての推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は4.60円台中盤へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
4月22日
16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 79.4)
23:30 3月 中央政府債務 (2月 7兆2381億リラ)
4月24日
16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月 104.4)
16:00 4月 設備稼働率 (3月 76.2%)
4月25日
20:00 トルコ中銀MPC 政策金利 (現行 50.0%、予想 50.0%)
4月26日
11:30 週次 外貨準備高
4月29日
16:00 4月 経済信頼感指数 (3月 100.0)
注:ポイント要約は編集部
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