『来週はトルコ中銀会合に注目。連続利上げなら一段高の可能性も』
〇今週のトルコ円、トルコ指標好調、ドル円上昇に週明け4.78まで上昇
〇買い一巡後は米金利の上昇、中東情勢緊迫化に一時4.61まで急落、やや持ち直し4.7台で越週
〇トルコ円テクニカルには売りシグナル消失、地合い好転期待される
〇ファンダメンタルズもトルコ経済復調期待や、中銀の再利上げ観測等がトルコ円を支援
〇来週は4/25に開催されるトルコ中銀会合に注目
〇トルコリラ円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.65ー4.90
今週のレビュー(4/15−4/19)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.73円で寄り付いた後、(1)トルコ2月失業率(結果8.7%、前回9.1%)の大幅改善や、(2)トルコ2月経常収支(結果32.7億ドル赤字、予想37.0億ドル赤字)の市場予想を下回る赤字幅、(3)ドル円相場の急上昇(約34年ぶり高値更新→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、週明け早々に、週間高値4.78円まで上昇しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(パウエルFRB議長、ジェファーソンFRB副議長、ウォラーFRB理事、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁などより「利下げを急がない姿勢」が明確化)や、(5)上記4を背景とした米長期金利の急上昇(新興国から米国への資金流出圧力)、(6)中東情勢緊迫化(イスラエルがイランに報復攻撃を開始したとの報道)に伴うリスク回避志向の高まりが重石となり、週末にかけて、週間安値4.61円まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、引けにかけて急速に持ち直し、本稿執筆時点(日本時間4/20午前1時00分現在)では、4.74円前後で推移しております。尚、エルドアン大統領は今週、中期経済プログラム強化(公共部門の支出節約、投資優先、構造改革加速)に向けた手続きを進めることを表明しましたが、市場の反応は限られました。
来週の見通し(4/22−4/26)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は3/13に記録した史上最安値4.52円をボトムに切り返すと、ここ数週間は4.70円台を中心とした底堅い動きが続いています。日足ローソク足が一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線の上側で推移している他、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転が期待されます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の復調期待(先月以降に発表されたトルコ経済指標は総じて良好な結果。今週発表されたトルコ2月失業率も大幅改善)や、(2)トルコ中銀の追加利上げ観測(実質金利のマイナス幅縮小期待)、(3)外貨準備減少傾向に歯止めがかかるとの期待感(外貨準備残高は3/29時点のネット154.5億ドルから、4/5時点でネット209.0億ドルへ急増)、(4)日本政府・日銀による介入警戒感の後退(米国はインフレ抑制に寄与するドル高を当面の間容認する公算大→米国への配慮から政府・日銀はドル売り介入を行いづらいのではないかとの思惑再浮上→ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)など、トルコリラ円相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。
こうした中、来週は上記2を見極める目的で4/25に開催されるトルコ中銀会合に注目が集まります。トルコ中銀は先月、市場の据え置き予想に反して政策金利を45.0%から50.0%へ引き上げる措置を決定しました。先般発表されたトルコ3月消費者物価指数および同コア指数の伸び率加速を踏まえれば、トルコ中銀が来週の会合でも再びサプライズ的な利上げに踏み切る公算は相応に大きく、当方では引き続き、トルコリラ円相場の上昇(追加利上げ決定→リラ高の波及経路)をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.65ー4.90
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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