トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻すも上値重く、4月15日午後からジリ安続く(24/4/19)

トルコリラ円の4月18日は概ね4.76円から4.72円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.75円で4月16日及び17日と変わらなかった。

トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻すも上値重く、4月15日午後からジリ安続く(24/4/19)

トルコリラ円見通し ドル円の反発で戻すも上値重く、4月15日午後からジリ安続く

〇トルコリラ円、4/18午前の円高局面で4.72まで下げ、その後のドル円反騰を見て4.76まで戻す
〇しかし4/19午前序盤はドル高リラ安継続に圧迫され4.73を割り込むなど、上値の重い展開が続く
〇対ドル、4/18は概ね32.54から32.25の取引レンジ、3日ぶりのリラ安となる
〇4/19午前序盤に32.57を付け、リラ安継続感優勢の印象
〇トルコ外貨準備高は小幅増加、減少傾向から抜け出せるか次週の統計が待たれる
〇4.77超えからは、4.78、4.79を順次試す上昇を想定する
〇4.72割れからは、4.70前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月18日は概ね4.76円から4.72円の取引レンジ、19日早朝の終値は4.75円で4月16日及び17日と変わらなかった。
ドル/トルコリラが3月31日のトルコ統一地方選での与党敗北をきっかけとしたリラ買いが一巡して4月5日からドル高リラ安基調を再開しているもののジリ安程度の動きに留まっていることと、ドル円が市場介入警戒感で155円手前で上値が重くなっている中でトルコリラ円は決め手に欠いた状況での小動きを続けているが、円安による押し上げが鈍っていることで上値が重く4月15日午後以降はジリ安の様相だ。

ドル円は4月17日未明に154.78円を付けてこの間の最高値を更新したもののG20財務相・中銀総裁会合中の日韓及び日米財務相階段で鈴木財務相が円安けん制姿勢を強調したことで市場介入への警戒感が一段と高まったとして4月18日午前安値で153.95円まで下げた。しかし、円安基調そのものは継続して市場介入では抑えられないとの見方から154円割れを買われ、NY連銀総裁やアトランタ連銀総裁が早期利下げに否定的な姿勢を示したことによる米長期債利回り上昇で19日未明には154.67円まで戻して再び155円到達へ挑戦する気配を見せている。

トルコリラ円は4月18日午前の円高局面で4.72円まで下げ、その後にドル円が反騰したのを見て4.76円まで戻したものの、統一地方選の結果を反映して急伸した4月1日高値4.77円超えには至らず、19日午前序盤はドル高リラ安の継続に圧迫されて4.73円を割り込むなど上値の重い展開が続いている。
当面はドル円が155円の壁を超えて一段高へ進むのか、市場介入警戒感ないし実弾介入で下落に転じるのか見極める局面が続くと思われる。2022年の市場介入は9月22日(金曜日)、10月21日(3連休前日)だったため、週末は介入されやすいタイミングかもしれない。

【ドル/トルコリラ 3日ぶり下落、4月5日以降のドル高リラ安基調続く】

ドル/トルコリラの4月18日は概ね32.54リラから32.25リラの取引レンジ、19日早朝の終値は32.52リラで前日終値の32.38リラからは0.14リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとして4月1日に32.48リラから31.36リラへドル安リラ高となり、1日終値で32.08リラまでいったん下げたところから4月4日までリラ高で推移していたが、市場の反応が一巡して4月5日からドル高リラ安が再開して4月9日から15日まで5営業日連続のドル高リラ安となり、12日朝には一時32.56リラを付けて3月19日安値32.50リラを超え史上最安値を更新した。4月16日から17日まで終値ベースで小幅なドル安リラ高となったものの18日は3日ぶりのリラ安となり、19日午前序盤も32.57リラを付けてリラ安継続感が優勢の印象だ。

トルコのエルドアン大統領は4月16日に中期的な経済プログラム強化策を近く公表するとし、「プログラム強化に当たっては公共部門の支出節約、投資の優先、構造改革の加速が主な優先課題となる」と述べた。今年の経済成長率については輸出の好影響で4%に近づき、年末時点の経常赤字は対GDP比で2.5%になるとの予想を示した。またユルマズ副大統領は「財務省と予算当局が公共部門の支出を節約するために15項目以上を調査している」とし、「財政支出をより効率化して社会福祉への貢献度を高めたい」と述べた。
先の統一地方選での大敗を受けて民衆支持を回復するための経済対策を行う姿勢だが、大敗の原因は高インフレ・リラ安・高金利・増税・低成長であり、地道に正常化した金融・経済政策を続けてゆくことが望まれる。

【トルコ外貨準備高は小幅増加】

4月18日に発表されたトルコの外貨準備高は4月5日時点のグロスで701.9億ドルとなり3月29日時点の687.5億ドルから若干増加した。昨年5月に565.2億ドルまで減少していたところからトルコ中銀のエルカン前総裁が外貨準備高増加に努めて昨年12月末時点では975.6億ドルまで増加したが、その後は減少に転じて3月29日時点まで減少傾向が続いてきた。若干の増加にとどまっているため減少傾向から抜け出せるか次の統計が待たれる。
ネットの外貨準備高については4月15日に発表された3月29日時点で197.5億ドルとなり3月22日時点の154.5億ドルから大幅に増加していたが4月18日に発表された4月12日時点では209.3億ドルまで増加した。外貨準備高を取り崩してリラ安抑制のための市場介入を繰り返していたことで昨年6月時点でマイナス57億ドルまで悪化し、エルカン前総裁体制で増加に転じて昨年末には400.9億ドルまで拡大が続いたものの、その後は一時的な増加も見られたものの減少傾向をたどっている。3月22日時点の154.5億ドルから持ち直しているが、その流れを継続できるか次週の統計が待たれる。

外貨準備高は大手格付け機関の評価と外資のトルコ投資の評価上で重要だ。エルカン総裁が辞任したことでリラ安阻止のために外貨を取り崩して市場介入を行うことが再開する場合には減少傾向から抜け出せなくなる可能性もあり、その場合は格付け機関による評価も下がりかねない。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月15日午後に4.77円まで戻した後のジリ安推移により4月15日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして18日午前から22日午前にかけての間への下落を想定した。
4月18日午前に下落してから19日未明へ戻したため、18日午前安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて18日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして18日午後から22日午後にかけての間への上昇を想定する。
4月19日午前序盤に反落しているのですでに弱気転換注意期とし、4月18日午前安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして23日午前から25日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月15日午後以降をややジリ安で推移しているものの方向感に欠けるため、4.77円超えからは一段高に入るため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、4.72円割れからは下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月15日午後からの低下が落ち着いているものの40ポイント前後から60ポイント手前の範囲にとどまっているので、60ポイント超えからは上昇期入りとみて70ポイント台への上昇を想定するが、次の40ポイント割れからは下落期入りとして20ポイント台への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.72円を下値支持線、4.77円を上値抵抗線とする。
(2)4.77円超えからは4.78円、4.79円を順次試す上昇を想定する。4.78円以上は反落注意とするが、4.74円を上回っての推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.72円割れからは4.70円前後への下落を想定する。4.70円前後は買われやすいとみるが、4.72円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。ドル円が急落する場合は4.60円台中盤へ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

4月19日
 16:00 4月 トルコ中銀ビジネスサーベイ
4月22日
 16:00 4月 消費者信頼感指数 (3月 79.4)
 23:30 3月 中央政府債務 (2月 7兆2381億リラ)
4月24日
 16:00 4月 製造業信頼感指数 (3月 104.4)
 16:00 4月 設備稼働率 (3月 76.2%)
4月25日 
 20:00 トルコ中銀MPC 政策金利 (現行 50.0%)
 20:30 週次 外貨準備高



注:ポイント要約は編集部

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