ドル円見通し 154円割れを買われて再び155円の壁に挑戦(24/4/19)

ドル円は154円割れを買われて一段高を伺う位置に付けている印象だ。

ドル円見通し 154円割れを買われて再び155円の壁に挑戦(24/4/19)

ドル円見通し 154円割れを買われて再び155円の壁に挑戦

〇ドル円、市場介入警戒感強まる中で仕切り直しの下落となり、4/18午前153.95まで下げる
〇しかし4/16夜安値153.90割れに至らず、円安基調継続の期待感から買い戻され4/19未明154.67へ戻す
〇ドル円は154円割れを買われて、一段高を伺う位置に付けている印象
〇日米韓財務相会合等を経て、市場介入に対する根回しと地ならしが進んでいる印象
〇昨日発表の米経済指標はまちまちの結果
〇米長期債利回りは通貨当局者のタカ派的発言で上昇反発、NYダウ下げ渋るもナスダックは続落
〇154.30以上での推移中は一段高余地ありとし、154.78超えからは155円試しとみる
〇154.30割れからは4/18午前安値153.95試しとし、153.95割れからは153.50前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は4月17日未明に154.78円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降及び2011年10月31日安値75.57円以降の最高値を更新したが、155円前後での市場介入警戒感が強まる中でいったん仕切り直しの下落となり、18日午前には153.95円まで下げた。しかし4月16日夜の一時的な下落で付けた安値153.90円割れには至らず、円安基調も継続するとの期待感から買い戻されて19日未明には154.67円まで戻した。
4月18日にニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が「利下げを急ぐ必要はない」「必要に応じて追加利上げの可能性を排除しない」と述べ、タカ派で知られるアトランタ連銀のボスティック総裁も「年末まで利下げできる状況にならない」と述べたことや、米新規失業保険申請件数が市場予想を下回り労働市場の強さが示されたこと等もあり、米国の利下げ開始の先送り感が優勢となって米長期債利回りが総じて上昇したことも19日未明へのドル高円安要因となった。

4月18日に日銀の野口審議委員が講演等で「追加利上げのタイミングについて私自身はかなりゆっくりになるというのがメインシナリオ」と述べて金融緩和状態がしばらく続く見通しを示したことに対する市場の反応は限定的だった。財務省筋等による円安けん制と市場介入への警戒感は強まっているものの、市場介入では円安基調そのものは変わらないのではないかとの見方も根強いためにドル円は154円割れを買われて一段高を伺う位置に付けている印象だ。

【市場介入への地ならし進む】

鈴木財務相は4月18日の会見で現状の円安について「金利差だけで今の水準を作っているわけではない」として投機的で急激な円安を抑制すべきとの姿勢を改めて示した。財務相はG20では為替自体について発言した国はなかったとしたが、米国の金利高の影響を受けた資金流出やドル建て債務の膨張への懸念を述べた国はあったとし、日米韓財務相会合や日韓及び日米の財務相会談で「緊密な意思疎通を行うことができた」と成果を強調した。日韓会談で円安とウォン安への懸念を表明し、日米会談でイエレン財務長官に円安に対する日本の姿勢を説明したことで市場介入に対する根回しと地ならしは進んでいる印象だ。

日銀の植田総裁もG20財務相・中銀総裁会議後の会見において、「急速な円安進行は基調的な物価上昇率に影響を与える可能性がある。無視できない大きさの影響が発生すれば金融政策の変更もありうる」と述べて懸念している認識を示したが、かつて黒田前総裁が「これ以上の円安は考えられない」と述べたような為替市場に対するけん制姿勢は相変わらず見られなかった。総裁は日銀による円安に対する認識については4月25-26日の金融政策決定会合及び「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示すと述べており、どのような記述になるのか注目される。

【米経済指標はまちまち】

4月18日に発表されたフィラデルフィア連銀による4月製造業景況指数は総合で15.5となり市場予想の2.3を上回り3月の3.2から大幅に改善し、2022年4月以来の高水準となった。ただ、雇用はマイナス9.6からマイナス10.7へ悪化し、6か月後の見通しも38.6から34.3へ低下した。支払価格は3.7から23.0へ上昇、受取価格は4.6から5.5へ上昇した。
米労働省による新規失業保険申請件数は4月13日までの週間で前週と同じ21万2000件だったが市場予想の21万5000件を下回った。4週平均は21万4500件で前週と変わらなかった。失業保険受給者総数は4月6日までの週間で181万2000人となり前週から2000人増加した。

米CB(コンファレンス・ボード)による3月の米景気先行指数は102.4となり2月から0.3%低下して市場予想の0.1%低下よりも悪かった。一致指数は0.3%上昇、遅行指数は前月と変わらずの119.0だった。CB担当者は「2月の改善は一過性」とし「消費者の債務増加、金利高、根強いインフレ圧力が引き続き今年の経済活動のリスクになっている」と述べた。
米NAR(不動産業者協会)による3月中古住宅販売件数(年換算)は前月比4.3%減の419万戸となり市場予想の420万戸を下回った。前年同月比は3.7%減だった。住宅ローン金利の高さで買い控えも見られる。

【米長期債利回りは反発、ダウ下げ渋るもナスダックは続落】

4月18日の米長期債利回りはNY連銀やアトランタ連銀総裁らのタカ派的発言で上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは4月15日から16日へ連騰したところから17日に0.08%低下と反落したが、18日は0.05%上昇の4.64%へ戻した。4月16日に4.70%に迫ってからの反落を切り返したことで上昇基調が続いている印象となった。
30年債利回りは一時4.68%まで低下してから戻して前日比0.03%上昇の4.73%となった。2年債利回りは0.05%上昇の4.99%となり4月11日に5.01%をつけて年初来高値とした後の高止まりを続けている。
一方でNYダウは前日比22.07ドル高と小反発したが3月21日の史上最高値以降は下落基調にある。ナスダック総合指数は前日比81.87ポイント安で4月12日から5営業日続落して3月21日の史上最高値以降の安値を更新し、S&P500指数も11.09ポイント安で4月12日から5営業日続落した。米国の株安感が徐々に強まっておりアジア、欧州の株式市場に対する下落圧力も強まってきている印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は4月12日夜安値152.58円を起点として4月17日未明高値154.78円へ上昇したところで目先のピークを付けて下落期に入ったが、12日夜安値から3日半となる18日午前安値153.95円から反騰入りしている。17日未明高値を基準として目先の高値形成期は20日未明から24日未明にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとし、市場介入を試しながら急伸する可能性もあるところと考えるが、17日未明とのダブルトップに終わる可能性もあると注意し、18日午前安値割れからは新たな下落期入りとして23日午前から25日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、4月18日午前からの反騰により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパンから再び転落する場合は下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月18日午前の下落時に30ポイントを試してから60ポイント台へ切り返したため、50ポイント以上を維持するか一時的に割り込んでも早々に回復するうちは70ポイント台への上昇余地ありとみる。ただし相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、その後に50ポイントを割り込むところからは下落期入りとして30ポイント前後への低下へ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月18日午前安値153.95円を下値支持線、4月17日未明高値154.78円を上値抵抗線とする。
(2)154.30円以上での推移中は一段高余地ありとし、154.78円超えからは155円試しとみる。155円前後は市場介入ないし介入警戒感からの反落に注意するが、介入なく155円を突破する場合には155円台中盤への続伸を想定する。
(3)154.30円割れからは4月18日午前安値153.95円試しとし、153.95円割れからは153.50円前後への下落を想定する。153.50円以下は買われやすいとみるが、153.95円を割り込んでの推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。市場介入で急落する場合は2022年9月と10月の介入時と同様に直前高値から5円前後規模の下落幅を想定する。

【当面の予定】

4/19(金)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 0.0%、予想 0.3%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 -0.4%、予想 1.0%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 0.2%、予想 0.4%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 -0.5%、予想 1.0%)
15:00 (独) 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 -0.4%、予想 0.0%)
23:15 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
23:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答

4月20日
06:00 (日) 植田日銀総裁、講演(米ワシントン)



注:ポイント要約は編集部

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