来週の為替相場見通し:『日米金利差に着目したドル買い・円売りが続く見通し』(4/20朝)

ドル円(USDJPY)は一時154.79(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)まで上昇するなど力強い動きが続いています。

来週の為替相場見通し:『日米金利差に着目したドル買い・円売りが続く見通し』(4/20朝)

『日米金利差に着目したドル買い・円売りが続く見通し』

〇今週のドル円、米小売売上高の好調、FRB関係者のタカ派発言に週前半154.79まで上昇
〇その後も日米韓のドル高懸念の共同声明等に一時的に反落するも底堅く、154円台後半で越週
〇ユーロドル、ECB関係者のハト派発言や、米金利の上昇に週前半1.0602まで下落
〇その後英ポンドの持ち直し等に1.0690まで持ち直すも上値は重く、1.06台半ばでの越週
〇ドル円、テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズも日米金利差拡大、介入警戒感の後退が支持
〇来週は4/26の日銀政策決定会合と米3月PCEデフレータに注目
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):152.50ー156.50、(EURUSD):1.0500−1.0750

今週のレビュー(4/15−4/19)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初153.09で寄り付いた後、早々に週間安値152.98まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)米3月小売売上高(結果+0.7%、予想+0.4%)および、米3月小売売上高・除く自動車(結果+1.1%、予想+0.4%)の市場予想を上回る結果や、(2)サンフランシスコ連銀デイリー総裁による「利下げを急ぐ必要はない」「急いで行動することは最悪の行為」とのタカ派的な発言、(3)ジェファーソンFRB副議長による「インフレが予想通り減速しない場合は現行の金融引き締め姿勢をより長期間維持することが適切」とのタカ派的な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力(日米金利差に着目した円キャリートレードの本格再開)が支援材料となり、翌4/16にかけて、週間高値154.79(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)まで急伸しました。

その後も、(5)パウエルFRB議長による「インフレが根強くインフレ2%回帰を確信するにはこれまで予想していたよりも長い時間が必要になる可能性が高い」とのタカ派的な発言や、(6)神田財務官による「為替はG7の議題ではなかった」との肩透かし発言、(7)ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁による「利下げの緊急性は感じていない」とのタカ派的な発言、(8)米新規失業保険申請件数(結果21.2万件、予想21.5万件)の良好な結果、(9)米4月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果+15.5、予想+2.0)の市場予想を上回る結果、(10)アトランタ連銀ボスティック総裁による「米国のインフレは高すぎる」「年末まで利下げは出来ないだろう」とのタカ派的な発言、(11)シカゴ連銀グールズビー総裁による「過去3カ月のインフレは無視できない」とのタカ派的な発言、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支えとなり、本稿執筆時点(日本時間4/20午前1時30分現在)においても、154.60前後での底堅い動きが続いています。

尚、今週は、政府・日銀による介入警戒感(G20での日米韓による「最近の急速な円安及びウォン安に関する日韓の深刻な懸念を認識」「外国為替市場の動向に関して引き続き緊密に協議する」との共同声明発表)や、中東情勢緊迫化(イスラエルのミサイルがイランの拠点を直撃したとのヘッドライン)など、ドル売り・円買いを連想させる材料が複数回見られましたが、ドル円相場の反応は限られました(一時的に急落するもすぐに持ち直す往って来い相場)。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0637で寄り付いた後、(1)リトアニア中銀シムカス総裁による「2024年の利下げ回数は50%以上の可能性で3回以上になると予想している」とのハト派的な発言や、(2)スロバキア中銀カジミール総裁による「ECBは6月に利下げする可能性がある」とのハト派的な発言、(3)米3月小売売上高の市場予想を上回る結果、(4)上記4を背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、翌4/16にかけて、週間安値1.0602(昨年11/2以来の安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(5)心理的節目1.0600を背にした押し目買い圧力や、(6)ドイツ4月ZEW景況感指数(結果+42.9、予想+35.5)の市場予想を上回る結果、(7)英ポンドの持ち直し(英3月消費者物価指数が市場予想を上回ったことで、BOEによる早期利下げ観測後退→英ポンド上昇→ユーロ連れ高)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.0690まで反発しました。

もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(8)米当局者による相次ぐタカ派的な発言(利下げを急がないスタンスが明確化)や、(9)上記8を背景とした米長期金利の反転上昇、(10)EU3月新車登録台数(結果▲5.2%、前回+10.1%)の大幅悪化、(11)ラガルドECB総裁による「大きなサプライズがない限りECBは近く利下げするだろう」とのハト派的な発言、(12)デギンドスECB副総裁による「現在のインフレ低下トレンドは利下げを許容するかもしれない」とのハト派的な発言、(13)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「6月の初回利下げは適切である可能性」とのハト派的な発言、(14)オランダ中銀クノット総裁による「利下げに対する市場の価格設定に違和感はない」とのハト派的な発言、(15)フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「6月の後は毎回の会合で利下げにオープン」とのハト派的な発言、

(16)ラトビア中銀カザークス総裁による「6月利下げの可能性は非常に高い」とのハト派的な発言、(17)オーストリア中銀ホルツマン総裁による「ECBメンバーの大多数が6月利下げを望む可能性あり」とのハト派的な発言、(18)フィンランド中銀レーン総裁による「現在の水準を長期間維持する必要性はもはやないと考える」とのハト派的な発言、(19)リトアニア中銀シムカス総裁による「年内3、4回の利下げはあり得る」とのハト派的な発言、(20)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「ECBとFRBの金利差は拡大する可能性がある」とのハト派的な発言が重石となり、本稿執筆時点(日本時間4/20午前1時30分現在)では、1.0647前後まで反落する動きとなっております。

来週の見通し(4/22−4/26)

<ドル円相場>
ドル円(USDJPY)は一時154.79(1990年6月以来、約34年ぶり高値圏)まで上昇するなど力強い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上限)の遥か上側で推移している他、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立しており、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる利下げ観測の大幅後退(今週はパウエルFRB議長、ジェファーソンFRB副議長、ウォラーFRB理事、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁をはじめ、多くの米当局者より「利下げを急がない(no rush)」姿勢が明確化→米利下げ観測が大幅に後退)や、(2)日銀による年内追加利上げ観測の後退(円安に伴う輸入インフレの影響で物価高に賃金が追い付かない状況が顕在化するリスク浮上→日銀が追加利上げを当面の間見送るとの見方が再燃)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差拡大とそれに伴う円キャリートレードの長期化期待、(4)政府・日銀による為替介入警戒感の後退(急ピッチな円安が進んでいるにも係わらず実弾介入は今週も入らず→神田財務官や鈴木財務相は「為替はG7およびG20の議題ではなかった」と発言→米国はインフレ抑制に寄与するドル高を当面の間容認する公算が大きいことから、政府・日銀は米国に配慮する形でドル売り介入に踏み切りづらい)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で4/26に予定されている米3月PCEデフレータに注目が集まる他、上2を見極める目的で、4/26に開催される日銀金融政策決定会合に注目が集まります。米3月PCEデフレータが市場予想(前年比+2.6%)を上回る場合には、米利下げ開始時期の後ずれ観測→米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円に強い上昇圧力が加わると推測されます。一方、日銀金融政策決定会合は政策変更が見込まれていないため、市場の関心は展望レポートに移っています。当方は2024年度の上方修正と、今回新たに発表される2026年度の2%設定の組み合わせを見ていますが、これらは既に市場に織り込まれているため、日銀による追加利上げ観測→円金利上昇→円買いの流れには繋がらないと考えられます。

結果として、日米金利差拡大に伴う円キャリートレード再開の流れは続くと見られ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目155.00を突破し、上値をもう一段広げるシナリオを想定)。尚、来週は上記以外にも、米第1四半期GDP速報値や、本邦4月東京都区部CPI等の重要イベントが予定されています(※既にブラックアウト期間に入っているため、米当局者発言の予定はなし)。

来週の予想レンジ(USDJPY):152.50ー156.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は3/8に記録した戻り高値1.0982をトップに反落に転じると、今週前半にかけて、約5カ月半ぶり安値となる1.0602(昨年11/2以来の安値圏)まで急落しました。この間、日足ローソク足が全てのテクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲下限)を下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する「短期線と中長期線のデッドクロス」「一目均衡表三役逆転」「ダウ理論の下落トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化が警戒されます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECBによる早期利下げ観測の高まり(先週開催されたECB理事会でハト派的な見解が示された他、今週は多くのECB当局者よりハト派な見解が相次ぎ発表)、(3)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測、(4)上記2、3を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(ユーロ売り・ドル買い安心感)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

来週発表される欧州経済指標(ユーロ圏4月消費者信頼感指数、ユーロ圏4月製造業PMI、ユーロ圏4月サービス業PMI、ドイツ4月IFO景況感指数など)が市場予想を下回る場合や、欧州当局者(フランス中銀ビルロワドガロー総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁、チポローネECB専務理事、シュナーベルECB専務理事、クロアチア中銀ブイチッチ総裁、イタリア中銀パネッタ総裁、ポルトガル中銀センテノ総裁など)よりハト派的な見解が示される場合には、欧米金融政策の方向性の違いが改めて意識される形で、ユーロドルがもう一段値を崩すシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(心理的節目1.0600や1.0500を割り込み、昨年安値1.0448に向かって下げ足を速めるシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0500−1.0750

注:ポイント要約は編集部

『日米金利差に着目したドル買い・円売りが続く見通し』

ドル円日足

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