短期的な調整は一巡、92円台での値固めをこなす展開に
【今週のNZドル】
今週のNZドルは、ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)が政策金利を据え置き、利下げに関する話がでなかったことから92円台まで買われたが、3月米消費者物価指数(CPI)予想上振れに伴うドル上昇の反動で91円台まで押し下げられた。
10日、NZ中銀は、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを6会合連続で5.5%に据え置いた。NZ中銀は声明で「生産能力への圧力とインフレをさらに押し下げるため、抑制的な金融政策スタンスがなお必要」「2024年中に消費者物価指数(CPI)上昇率が1−3%の目標レンジに戻ると金融政策委員会(MPC)は確信している」とコメントした。
ニュージーランド経済は、第4四半期GDPが第3四半期に次ぐ前期比マイナスとなったことから、テクニカルリセッション(景気後退)に入っており、市場ではNZ中銀は下期に利下げを開始するとの見方だ。
ただ、同国の前年比インフレ率は4.7%と高い水準を維持していることから、金融緩和への政策転換は慎重なままだ。今回のNZ中銀の声明、議事要旨でも利下げ開始時期に関する記載等はなかった。
NZ中銀の声明等は市場コンセンサスの範囲内だったことで、発表後のNZドルは92円台としっかりの展開だったが、3月の米CPIが市場予想よりも強かったことから米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利下げ観測が大幅に後退しドル独歩高の展開に。NZドルは対円で下落し91円台での推移となった。
NZドル・円(東京時間:4月8日―4月12日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:91円14銭
高値:92円38銭
安値:90円91銭
終値:91円84銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
4月10日
11時00分、NZ中銀政策金利、前回:5.50%、市場予想:5.50%、結果:5.50%
4月17日
7時45分、第1四半期消費者物価指数(前期比)、前回:0.5%
7時45分、第1四半期消費者物価指数(前年比)、前回:4.7%
※予定は変更することがございます。
【今週末から来週の見通し】
今週末から来週のNZドルは、目立った経済指標の発表が予定されていないなか、反発継続で92円処での値固めの展開を想定する。
ニュージーランド経済は、リセッション入りとなる一方、高いインフレが継続しておりファンダメンタルズは厳しい。今後のインフレの状況を見極める必要があるものの、市場では早ければ8月利下げが想定されている。主要中銀は、3月にスイス中央銀行が9年ぶりの利下げに動き、欧州中央銀行(ECB)も6月利下げの公算が大きい。一方、FRBは6月利下げの可能性が大幅に後退するなど主要中銀の政策金利の情勢は賑やかだ。
日本銀行は、3月の金融政策決定会合以降、「追加の利上げは急がず当面は緩和的な環境を続ける方針」を掲げているが、金融政策の見通しを強く反映する2年債利回りは4月11日、一時0.265%まで上昇し、09年11月以来の高水準をつけた。5年など他の中期債利回りも上昇が続いているが、10年債利回りは一時0.860%と5カ月ぶりの高水準まで上昇したものの、23年11月の0.97%より低い水準で推移するなど、短期、中期利回りは上昇するも、長期利回りの上昇ピッチは遅いといった難しい状況にある。
日本とニュージーランドの金利差を考慮すると、徐々に縮小する、という状況だが、大幅に縮小する地合いではないため、足元のNZドルの方向性を考える上で、金利差縮小はさほど気にしなくていいだろう。
長期的なトレンドは、一目均衡表にて「三役好転」が示現していることから、14年12月以来の94円台をターゲットとした強いトレンドは継続したままと考える。短期的には2月26日高値93円56銭をつけた後は、90円割れを回避し持ち直している。
日足の一目均衡表では、雲上限より上で推移しており、遅行スパンも実線を上回っている。100日移動平均線、50日移動平均線ともに上回ったことから、2月26日以降の調整局面は一巡したと考える。10日の92円38銭を意識した展開を想定する。
なお、日本当局による円買い介入への警戒感が高まっている点は当然ながらNZドルの重しとなる。日本当局は、既に為替介入の「スタンバイ」ができており、実施の有無は、市場で言われている「前日比1.2%の円安ドル高加速」といった「スピード感」次第と考える。
2022年10月21日と24日に政府・日銀が円買い介入を行った際、NZドルはいずれの日も2円超乱高下した過去がある。短期投資家からするとボラタイルな展開なので仕掛けたいところだが、「往復ビンタ」には気を付けてほしい。
NZドル円日足
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