トルコリラ円見通し 12日朝にドル/トルコリラが史上最安値を更新してトルコリラ円も反落(24/4/12)

トルコリラ円の4月11日は概ね4.76円から4.73円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.74円で前日終値と同じだった。

トルコリラ円見通し 12日朝にドル/トルコリラが史上最安値を更新してトルコリラ円も反落(24/4/12)

12日朝にドル/トルコリラが史上最安値を更新してトルコリラ円も反落

〇トルコリラ円、ドル円の上昇を見て、4/12早朝4.76まで高値を切り上げる
〇しかし4/12朝には対ドルでリラが下落し史上最安値更新により、一時4.70を割り込むところまで反落
〇対ドル、4/11は概ね32.37から32.12の取引レンジ、4/12朝には一時32.56を付けて史上最安値更新
〇トルコ中銀の利上げのサプライズと統一地方選での与党敗北を好感したリラ買い一巡、最安値更新に至る
〇4.72を下回るうちは一段安警戒とし、4.70割れからは4.68、4.67を順次試す下落を想定する
〇4.73から4.74手前にかけては戻り売り有利とし、4.74を超える場合は4.76前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の4月11日は概ね4.76円から4.73円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.74円で前日終値と同じだった。
4月10日の米2月CPI上昇率が予想を上回る上ブレとなったことで米長期債利回りが急伸してドル全面高となり、ドル円はそれまで超えられなかった152円の壁を突破して11日早朝に153.22円へ上昇、11日午前に152.73円まで小反落したところも買われて11日夕刻に153.28円、12日未明に153.31円と高値を伸ばしてきた。

トルコリラ円はドル円の急伸を見て米CPI発表前の4.71円弱の水準から11日早朝に4.74円へ上昇し、12日早朝には4.76円まで高値を切り上げていた。しかし、12日朝にはドル/トルコリラでリラが下落して史上最安値を更新したために一時4.70円を割り込むところまで反落している。
ドル円は上昇を継続して徐々に高値を切り上げているものの政府・日銀による市場介入への警戒感もあり153円台前半ではやや慎重な動きとなっており、円安によるトルコリラ円への押し上げ効果は薄れている。一方でドル/トルコリラは3月31日のトルコ統一地方選における与党大敗をきっかけとしたリラ買いが一巡してリラ安再開の動きに入り12日朝には史上最安値を更新したため歴史的なリラ安継続となり、トルコリラ円もドル高リラ安に大きく圧迫され始めた印象だ。

【ドル/トルコリラ 4月12日早朝に史上最安値更新】

ドル/トルコリラの4月11日は概ね32.37リラから32.12リラの取引レンジ、12日早朝の終値は32.30リラで前日終値の32.28リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いにより4月1日に32.48リラから31.36リラへドル安リラ高となり、その後は安値更新を回避したものの日足終値ベースでは4月1日から4日まで4営業日連続でドル安リラ高となった。しかし統一地方選結果に対する反応が一巡するとリラの先安感は変わらないとしてリラ売りが再開に入り、4月5日から徐々に安値切り下げを続け、4月12日朝には一時32.56リラを付けて3月19日安値32.50リラを超えて史上最安値を更新した。

統一地方選での与党敗北により、エルドアン政権は民衆の不満である高インフレ・リラ安・低成長を改善するために昨年6月からの金融・経済政策正常化を続けるとの見方が強まったことが当初のリラ買い要因だったが、高インフレは収まらず、構造的な貿易赤字と経常赤字から抜け出すのは難しく、インフレ抑制のためにさらに追加利上げを行えば高金利による生活への圧迫感も高まる。最近では大手格付け機関や外資の高評価要因だった外貨準備高の増加が止まり減少に転じていることもあり、外資からの投資意欲が後退する懸念も増してきている。
昨年8月の7.5%利上げをサプライズとしたリラ高も一時的に終わりその後にドル/トルコリラが史上最安値を毎月更新する流れへ進んだように、3月21日のトルコ中銀による5.0%利上げのサプライズと3月31日の統一地方選での与党敗北を好感したリラ買いも一巡して最安値更新に至ったことで、市場はリラ安が継続して1ドル30リラ台後半へ向かうとの見方を徐々に強めてゆくのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月5日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして10日午前から12日午前にかけての間への下落を想定していたが、10日午前時点では4.72円超えから強気転換注意とし、10日夜の急伸で4.72円を超えて4月5日夜高値に迫ったために11日午前時点では10日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。トップ形成期を11日早朝から12日夜にかけての間としたが、4.72円割れから続落する場合は弱気転換注意として4.70円前後への下落を想定するとした。
4月12日早朝へ続伸してから一時4.70円割れへ急落したため、12日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして13日未明から17日未明にかけての間への下落を想定する。強気転換には4.74円を超えて4月12日早朝高値4.76円へ迫る反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では4月12日朝への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも一時転落したため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返してからも上回る状況を続ける場合は反騰入りの可能性ありとして遅行スパン好転から高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは下落継続の可能性を優先する。

60分足の相対力指数は4月11日早朝から12日早朝への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行を見せてから40ポイント割れへ急落しているため、50ポイント以下での推移中は下向きとして20ポイント前後への低下を想定する。強気転換には連続的な上昇で50ポイント超えから60ポイントに迫る必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.70円を下値支持線、4.74円を上値抵抗線とする。
(2)4.72円を下回るうちは一段安警戒とし、4.70円割れからは4.68円、4.67円を順次試す下落を想定する。4.67円以下は反騰注意とするが、4.72円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.73円から4.74円手前にかけては戻り売り有利とし、その後に4.72円を割り込むところから下げ再開とみるが、4.74円を超える場合は4.76円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

4月12日 休場(断食明け大祭)
4月15日
 16:00 2月 失業率 (1月 9.1%)
 17:00 3月 財政収支 (2月 -1538億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 グロス (3月29日時点 687.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 ネット (3月29日時点 154.5億ドル)
4月16日
 16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.6%)
 16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 13.3%)
4月17日
 16:00 2月 経常収支 (1月 -25.56億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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