ドル円の急伸で反騰するもリラ安が重石で一段高へは進めず
〇トルコ円、ドル円急伸により4/11早朝4.74まで反騰するも、対ドルでのリラ安再燃が上値抑える
〇ドル円がさらに一段高しリラ安限定的の場合、トルコ円も4.77を超え5円を目指す可能性も
〇ドル円が153円を当面のピークとして下落の場合、右肩下がりの展開継続で4/1以降の安値更新か
〇対ドル、4/10は概ね32.34から32.02の取引レンジ、4/11早朝終値は32.28
〇4/1 トルコ統一地方選直後のリラ買い一巡でリラ安再開の動き続く
〇既に4/1のリラ高幅大半を解消、32リラ台での推移続くうちは史上最安値更新へ進みかねない
〇4.72を上回るうちは4.74超えから4.76を目指す上昇を想定
〇4.72割れからは下向きとし、4.71割れからは4.70、4.69を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の4月10日は概ね4.74円から4.70円の取引レンジ、11日早朝の終値は4.74円で前日終値の4.68円からは0.06円の円安リラ高だった。
4月10日夜の米3月CPI(消費者物価指数)上昇率が全体及びコア指数で予想を上回ったため、米国の6月利下げ開始期待が大幅に後退して9月以降へずれ込むとの懸念から米長期債利回りが急伸して為替市場はドル全面高となった。ドル円は152円の壁を超えて4月11日早朝には153円台序盤へ急騰したが、ユーロドルやポンドドルの急落によりユーロ円は円高よりもユーロ安が勝ったことで下落し、ポンド円や豪ドル円、南アランド円等も下げており、円の独歩安とはならずにクロス円全般は概ね下落した。
トルコリラ円はドル円の急伸により上昇したが、ドル/トルコリラにおけるリラ安の再燃が上値を抑えたため、米CPI発表前の4.71円から11日早朝に4.74円まで反騰したが、トルコ統一地方選での与党大敗によるリラ買いで急伸した4月1日夜高値4.77円や4月6日早朝の戻り高値4.76円、4月8日高値4.75円への右肩下がりの展開範囲にとどまっている。
ドル円は152円手前での市場介入警戒感から151円台中心の持ち合いで推移していたが、日米金利差拡大とドル全面高による根拠を得たことで152円を超えた。ファンダメンタルズを反映したドル高によるものであり、投機的な円の独歩安とは言えないこと、岸田首相が訪米中だったこともあり実弾介入はなく、介入を示唆するレートチェック等の動きもみられていない。4月11日早朝に神田財務官は介入をちらつかせる発言を行ったものの、152円突破時に実弾介入がなかったことで154円、155円等を順次試して行くのではないかとの見方も強まってきている。
ドル円がさらに一段高へ進みドル高リラ安が限定的なものに留まるなら、トルコリラ円も4.77円を超えて5円を目指す一段高へ進む可能性が浮上すると思われるが、ドル円が153円到達を当面のピークとして下落に転じる場合は円高のぶり返しとリラ安が重なってトルコリラ円は右肩下がりの展開を続けて4月1日以降の安値更新へ向かうこともあり得るところだ。
【ドル/トルコリラ トルコ統一地方選直後のリラ買い一巡でリラ安再開の動き続く】
ドル/トルコリラの4月10日は概ね32.34リラから32.02リラの取引レンジ、11日早朝の終値は32.28リラで前日終値の32.27リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いにより4月1日に32.48リラから31.36リラへドル安リラ高となり、日足終値ベースでは4月1日から4日まで4営業日連続でドル安リラ高となったが、リラ買い落ち着いた後はリラの先安感が再燃して4月5日は終値ベースで1ドル32リラ台へ下落し、8日安値32.20リラ、9日に32.30リラ、10日に32.34リラと4月5日から10日まで4営業日連続で安値切り下げを続けている。
統一地方選でのエルドアン大統領率いる与党の大敗は政権が民衆支持回復のために金融・経済政策の正常化を継続してインフレ抑制に努め、トルコ経済にもプラスとなり海外からの投資を呼び込むとの期待感を強めたが、現実の高インフレ抑制は難しく、トルコの外貨準備高もトルコ中銀のエルカン前総裁時代の増加傾向から減少傾向へ転じていることや経済指標も冴えない数字が続いていることで市場の楽観的なリラ買いも一巡している印象だ。すでに4月1日のリラ高幅の大半を解消しており、32リラ台での推移が続くうちは史上最安値更新へと進みかねないところと思われる。
米国のCPI上昇率が上ブレしたことによるドル全面高もトルコリラにとってはドル高リラ安要因であり、米国のインフレ高止まり感はトルコの高インフレ継続を連想させる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、4月5日午前安値から5日夜へ戻した後に8日夜へ下落したため、9日午前時点では5日午前安値を直近のサイクルボトム、5日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして10日午前から12日午前にかけての間への下落を想定した。
4月10日未明にかけて下落したため10日午前時点では4.72円を超えないうちは一段安余地ありとし、4.72円超えからは強気転換注意としたが、10日夜の急伸で4.72円を超えて4月5日夜高値に迫ったため、10日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は11日早朝から12日夜にかけての間とし、4.72円をを上回るうちは上昇余地ありとするが、4.72円割れから続落する場合は弱気転換注意として4.70円前後への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では4月10日夜からの急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込む場合は弱気転換注意とし、連続的な下落で先行スパンから転落する場合は下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月10日深夜から11日早朝べの高値更新に際して指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行がみられるため、50ポイントを上回るうちは上昇余地ありとするが、50ポイント割れから続落の場合は下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.72円を下値支持線、4.74円を上値抵抗線とする。
(2)4.72円を上回るうちは4.74円超えから4.76円を目指す上昇を想定する。4.76円前後は反落注意とするが、4.72円を上回っての推移なら12日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.72円割れからは下向きとし、4.71円割れからは4.70円、4.69円を順次試す下落を想定する。4.69円以下は反騰注意とするが、4.72円以下での推移なら12日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.72円手前は戻り売り有利とみるが、4.72円超えからは4.74円前後への上昇を想定する。4.74円前後は反落警戒とするが、ドル円が急伸する場合には4.75円台へ上値目途を引き上げる。
【当面の主な予定】
4月10日 休場(断食明け大祭)
4月11日 休場(断食明け大祭)
20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 グロス (3月29日時点 687.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 ネット (3月29日時点 154.5億ドル)
4月12日 休場(断食明け大祭)
4月15日
16:00 2月 失業率 (1月 9.1%)
17:00 3月 財政収支 (2月 -1538億リラ)
4月16日
16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.6%)
16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 13.3%)
4月17日
16:00 2月 経常収支 (1月 -25.56億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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