トルコリラ円見通し 4.70円台前半中心の持ち合いで方向感探るが、リラ安再燃の兆し
〇トルコ円、リラ安が再燃し始める中4/8夜4.69へ下げるも4.74まで戻す、4.70台前半中心での揉み合い
〇トルコリラ円はドル円の持ち合い放れ待ち、持ち合い放れに追従するスタンス
〇対ドル、4/8は概ね32.20から31.73の取引レンジ、4/9午前は32.26まで安値を切り下げる
〇昨日発表のトルコ2月鉱工業生産は前月比2.4%増、前月から改善するも低い伸びに留まる
〇4.75を超えないうちは一段安警戒とし、4.70割れからは4.67前後への下落を想定する
〇4.75手前は戻り売り有利とみるが、4.75超えからは4.77、4.78を順次試す上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の4月8日は概ね4.76円から4.69円の取引レンジ、9日早朝の終値は4.74円で先週末終値の4.73円からは0.01円の円安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選挙における与党大敗をきっかけとしたドル安リラ高とドル円の上昇局面を活かしてトルコリラ円は4月1日夜高値4.77円へ急騰し、リラ買い一巡で2日午前に4.69円まで反落したところから再び持ち直して3日夜と5日未明に4.76円まで戻したものの4月1日夜高値超えへ進めず、ドル円が5日午前に150.80円へ失速した局面で4.71円まで反落し、4月5日夜の米雇用統計発表後の円安により4.75円まで戻したものの6日早朝には4.73円へ失速していた。
4月8日は統一地方選後のリラ買いが一巡してリラ安が再燃し始める中で8日夜に4.69円まで下げたもののその後に4.74円まで戻すなど4.70円台前半中心での揉み合いとなった。
【ドル円の持ち合い放れ待ち】
ドル円は4月8日夜に151.93円を付けて3月27日に付けた昨年末以降の高値である151.96円に迫り、その後も151.70円台を維持している。152円手前での市場介入警戒感で151.90円台を繰り返し売られており、4月10日の米2月CPIの発表を控えているために上値が重くなりやすいところだが、米CPI次第では152円の壁を超える可能性もあるところと注目したい。
市場介入を警戒しつつも一段高へ進む可能性があるとの市場心理が4月5日の151円割れからの反騰に反映されており、152円到達時に実弾介入がなければ市場は政府・日銀の介入姿勢を挑発しながら急伸することも考えられる。逆に米CPIが予想より顕著に鈍化する場合、逆CPIショックによる円高へ進む可能性もあり、その際は2022年10月21日高値からの下落が同年11月10日の逆CPIショックをきっかけとして加速した展開の再現となることも考えられる。トルコリラ円及びクロス円全般としてはドル円の持ち合い放れ待ちであり、持ち合い放れに追従するスタンスで構えてゆきたい。
【ドル/トルコリラ 統一地方選後のリラ買い一巡、1ドル32リラ台へリラ安再開の兆し】
ドル/トルコリラの4月8日は概ね32.20リラから31.73リラの取引レンジ、9日早朝の終値は31.98リラで先週末終値の32.04リラからは0.06リラのドル安リラ高だった。しかし4月5日高値31.61リラからは高値切り下がりとなり、取引終盤の動きで前日比マイナスとなったものの4月9日午前は32.26リラまで安値を切り下げている。
3月19日に1ドル32.50リラを付けて史上最安値とした後、3月21日のトルコ中銀による予想外の5%利上げによるリラ買いで3月22日に31.53リラへ上昇し、リラ買い一巡で3月29日に32.49リラへ下落した後、3月31日のトルコ統一地方選での与党大敗をきっかけとしたリラ買いにより4月1日には31.36リラへ再びリラ高となったものの、その後は高値更新へ進めず、終値ベースでは4月1日から4月4日まで4営業日連続のドル安リラ高だったが、4月5日からは再びリラ売りが優勢となりつつある印象だ。
現状はドルから見ればダブル天井型、リラから見ればダブル底型を形成しつつあるところだが、リラ高が一段と進まないうちは32.50リラから32.36リラまでのレンジで持ち合い相場となり、持ち合い放れからリラ安が再加速する可能性も抱えているところだ。
【トルコ2月鉱工業生産、前月比は2.4%増】
4月8日にトルコ統計局が発表した2月鉱工業生産は前月比2.4%増となり1月の16.9%減から改善したが低い伸びに留まった。前年同月比は11.5%増で1月の1.3%増から大幅に改善したが、2023年2月がトルコ・シリア大地震の影響により8.8%減だったことに対するベース効果での上昇であり、力強い指標という印象には至らなかった。前年同月比は昨年10月から1.1%増、0.2%増、1.6%増、今年1月が1.1%増と低調さが続いてきた。3月で再び3%以下へ低下するようだとベース効果が消えて低成長差を再認識させられることにもなりかねない。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月30日早朝安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしてきたが、4月5日未明高値からの反落により5日午前時点では5日未明高値で直近のサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしたとし、ボトム形成期を5日午前から8日朝にかけての間とした。
4月5日午前安値から5日夜へ戻してから8日夜へ下落し、その後の反発時も5日夜高値超えへ進めずにいるので、5日午前安値を直近のサイクルボトム、5日夜高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして10日午前から12日午前にかけての間への下落を想定する。ただし、5日夜高値を上抜く場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改めて9日深夜から12日未明にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では4.70円台前半中心の揉み合いのため方向感に欠けるため、次に4.70円を割り込むところからは下落継続とみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、4.75円超えからは反騰継続として遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は4月8日夜の下落時に30ポイント近辺へ下げてから50ポイント台へ戻し、その後に40ポイントを割り込んでいるため、60ポイント手前では戻り売り有利とし、4.70円割れからは20ポイント台への低下へ向かいやすい状況と考える。ただし60ポイント超えからは上昇継続とみて70ポイント超えを目指すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.70円を下値支持線、4月5日夜高値4.75円を上値抵抗線とする。
(2)4.75円を超えないうちは一段安警戒とし、4.70円割れからは4.67円前後への下落を想定する。4.67円以下は反騰注意とするが、4.70円以下での推移なら10日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.75円手前は戻り売り有利とみるが、4.75円超えからは4.77円、4.78円を順次試す上昇を想定する。4.77円以上は反落注意とするが、4.75円を超えた後も4.73円を上回っての推移なら10日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
4月10日 休場(断食明け大祭)
4月11日 休場(断食明け大祭)
20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 グロス (3月29日時点 687.5億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 4月5日時点 ネット (3月29日時点 154.5億ドル)
4月12日 休場(断食明け大祭)
4月15日
16:00 2月 失業率 (1月 9.1%)
17:00 3月 財政収支 (2月 -1538億リラ)
4月16日
16:00 2月 小売売上高 前月比 (1月 2.6%)
16:00 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 13.3%)
4月17日
16:00 2月 経常収支 (1月 -25.56億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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