トルコ円見通し 統一地方選の与党敗北でリラ安にブレーキ、4.70円割れを買われて確り(24/4/3)

トルコリラ円の4月2日は概ね4.74円から4.69円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.73円で前日終値の4.71円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコ円見通し 統一地方選の与党敗北でリラ安にブレーキ、4.70円割れを買われて確り(24/4/3)

統一地方選の与党敗北でリラ安にブレーキ、4.70円割れを買われて確り

〇トルコ円、与党大敗きっかけのリラ買い反応一巡後、4/3早朝にかけ再びリラ高へ進み4.70台前半維持
〇エルドアン政権がインフレ抑制へより積極的な姿勢示すのではとの見方が歴史的なリラ安にブレーキか
〇対ドル、4/2は概ね32.36から31.79の取引レンジ。4/3早朝終値32.04、前日から0.04のドル安リラ高
〇本日16時、3月トルコCPIが発表予定。予想レンジは68.20%から70.54%、70%超えの見方も
〇4.69上回るうちは上昇再開余地あり、4.75超えからは4.77、4.78順次試す上昇想定
〇4.69割れからは戻り一巡による下落期入りとみて4.65前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の4月2日は概ね4.74円から4.69円の取引レンジ、3日早朝の終値は4.73円で前日終値の4.71円からは0.02円の円安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選で与党AKPが大敗したことをきっかけにドル/トルコリラでドル安リラ高となり、ドル円も先週末の151円台序盤からジリ高の推移だったため、トルコリラ円は4月1日午後までは4.66円台で小動きだったものの夕刻のトルコ市場時間に入ってドル安リラ高が勢い付いたことと1日夜にかけてドル円が上昇したために4.77円へ上昇した。
当初のドル売りリラ買い反応が一巡してリラ安がぶり返したためにトルコリラ円は2日午前には4.69円まで反落したが、3日早朝にかけて再びリラ高へ進んだために2日夜には4.74円まで戻し、その後も4.70円台前半を維持している。

統一地方選でのエルドアン大統領率いる与党の大敗により金融・経済政策正常化を継続させるとしてトルコ経済への外資の投資意欲を拡大する可能性があること、敗北の背景が高インフレとリラの暴落的な下落によるトルコ経済の低成長とされているため、エルドアン政権がインフレ抑制へ向けてより積極的な姿勢を示すのではないかとの見方が歴史的なリラ安にブレーキをかけている印象だ。
しかし、今のところのリラ高反応は3月21日にトルコ中銀が予想外の利上げを決定した時と同レベルであり、将来の政治的混乱への不安感や現政権ではインフレを抑制できずにリラ安がまだ続くとの懸念も引きずっている。当面は中長期的なリラ安に歯止めがかかった可能性とそうでない可能性の両にらみで見てゆきたいところだが、今夜のパウエルFRB議長講演や今週末の米雇用統計次第ではドル円も大きく動く可能性があるためクロス円全般の動向にも注意したい。

【ドル/トルコリラ、統一地方選野党勝利でのリラ買い落ち着くがリラ売りも限定的】

ドル/トルコリラの4月2日は概ね32.36リラから31.79リラの取引レンジ、3日早朝の終値は32.04リラで前日終値の32.08リラからは0.04リラのドル安リラ高だった。
3月31日のトルコ統一地方選挙でエルドアン大統領率いる与党AKPが敗北し、最大都市イスタンブールや首都アンカラ等の大都市首長選で野党CHPが大勝したことで4月1日は当日安値32.48リラから高値31.36リラへドル安リラ高となり、リラ買い一巡後に32リラ台まで戻す展開だったが、4月2日は32.36リラまでドル高リラ安がぶり返し、その後に31.79リラまでドル安リラ高へ進むなど乱調な展開となった。

エルドアン政権は国政での優位を保っているものの今後の政策運営で苦戦してゆくこととなり、4年後の次回大統領選挙では与党AKPが敗北する政変となる可能性もあり、当面は民衆の政権批判に応えて金融・経済政策の正常化によるインフレとリラ安抑制に努めるとの期待があるものの、インフレ抑制のための高金利状態が生活を圧迫していることもあり難しい運営を強いられるため、リラの先行きに対しては不透明な状況となっている。
3月21日にトルコ中銀が予想外の5.0%利上げを決定したことによるリラ買いと今回の地方選挙での与党敗北によるリラ買いにより史上最安値を連日のように更新してきたリラ安にはブレーキがかかっており、3月19日の史上最安値32.50リラに対して3月29日の31.49リラと4月1日の32.48リラでは安値更新を回避している。

【4月3日、トルコ3月CPI発表】

4月3日16時に3月のトルコCPI等の発表がある。
全体のCPI上昇率についての事前予想は2月の67.0%から69.10%へ伸びが加速するとみられているが、予想レンジは68.20%から70.54%で70%を超えるとの見方もある。トルコ中銀や財務相は今年前半に70%台でインフレはピークを付けて年後半には40%以下へ低下してゆくとの楽観的な見通しを掲げてきたものの、実勢のインフレ率はトルコ統計局によるインフレ率を上回っているとされ、これまでの利上げではインフレ抑制には不十分だったとして3月21日に5.0%の追加利上げを決定したため、すでに中銀の楽観見通しが崩れ始めていることにより4月25日の次回会合と5月会合では追加利上げが続いて政策金利の週間レポレートが60%に到達するのではないかとの見方も出ている状況だ。

インフレに加えて高金利と昨年の増税が民衆の生活を抑圧しているのだが、インフレ率が70%前後の高水準なら政策金利が60%に達したとしてもまだ実質マイナス金利状態であり、地方選の大敗を踏まえて民衆の支持を集めるには早期の追加利上げでインフレを早く抑えるべきとの政策的圧力も高まるのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月30日早朝へ続落したところから戻し、統一地方選での与党敗北をきっかけに4月1日夜へ急伸したことにより、4月2日朝時点では3月30日早朝安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。
4月2日午前へいったん反落したものの4.70円割れを買われて戻しているためまだ上昇余地ありとするが、4.69円割れからは弱気サイクル入りとして4日早朝から6日早朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月1日夜への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後も概ね両スパンそろっての好転を続けているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りの可能性が高まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は4月1日夜の急伸時に80ポイントを超えてから50ポイント台まで急低下したが、50ポイント以上を維持しているので次に60ポイントを超えるところからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.69円を下値支持線、4.75円を上値抵抗線とする。
(2)4.69円を上回るうちは上昇再開余地ありとし、4.75円超えからは4.77円、4.78円を順次試す上昇を想定する。4.77円以上は反落警戒とするが、4.72円を上回っての推移なら4日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.69円割れからは戻り一巡による下落期入りとみて4.65円前後への下落を想定する。4.65円以下は反騰注意とするが、4.69円を下回っての推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

4月3日
 16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 4.53%、予想 3.50%)
 16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 67.07%、予想 69.10%)
 16:00 3月 コアCPI 前月比 (2月 3.6%)
 16:00 3月 コアCPI 前年同月比 (2月 72.9%)
 16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 3.74%)
 16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 47.29%)
4月4日
 20:30 週次 外貨準備高 3月29日時点 グロス (3月22日時点 706.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月29日時点 ネット (3月22日時点 152.1億ドル)
4月8日
 16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.0%)
 16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 1.1%)



注:ポイント要約は編集部

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