ドル円見通し 米10年債利回り上昇で2日午後に151.79円を付けた後は伸び悩み(24/4/3)

ドル円は、2日深夜や3日早朝には151.50円を割り込む等やや上値の重い展開となっている。

ドル円見通し 米10年債利回り上昇で2日午後に151.79円を付けた後は伸び悩み(24/4/3)

米10年債利回り上昇で2日午後に151.79円を付けた後は伸び悩み

〇ドル円、4/2午後151.79まで高値伸ばすも、介入警戒感とユーロやポンド等が戻したことでジリ安推移
〇4/2深夜や4/3早朝には、151.50割り込むやや上値の重い展開
〇今夜、3月ADP雇用報告とISM3月サービス業景況指数、ボウマンFRB理事とパウエル議長等の発言予定
〇6月利下げ期待度が増すか見極める局面。指標や高官発言内容次第で大きく動く可能性も
〇米10年債利回り、前日比0.04%上昇の4.35%で連騰。ダウは大幅続落
〇米国株安が日本株安へ波及すれば、ドル円にとっては円高圧力に
〇151.30上回るうちは上昇余地あり、151.79超えからは152円手前を試すとみる
〇151.30割れからは下落期入り151円前後への下落想定。下げ足速まれば150.80前後へ下値目途引き下げ

【概況】

ドル円は米国休場明けの米10年債利回り上昇と4月1日夜の米ISM景況指数が予想を上回ったことによるドル高で1日深夜に151.75円をつけ、2日午後には151.79円まで高値を若干伸ばしたものの、152円手前での市場介入警戒感と前夜のドル高が緩んでユーロやポンド等が戻したことでジリ安の推移となり、2日深夜や3日早朝には151.50円を割り込む等やや上値の重い展開となっている。
4月1日の米3月ISM製造業景況指数が1年5か月振りに強弱分岐点の50を超えたことでドル高が進んでいたが、昨夜はクリーブランド連銀総裁とサンフランシスコ連銀総裁がともに年内3回利下げの可能性ありとしたことでドル高が緩んだ。4月2日発表の2月JOLTS(雇用動態調査)求人数が予想を若干上回り、製造業受注も予想以上だったことに対する市場の反応は鈍かった。

今夜は3月ADP全米雇用報告とISMの3月サービス業景況指数の他、ボウマンFRB理事とパウエルFRB議長等の発言が相次ぐ。週末の米雇用統計も控えており、市場は6月利下げの期待度が増すのかどうかを見極める局面であり、指標や高官発言内容次第では大きく動く可能性のあるところだ。ドル円としては152円手前の壁と市場介入警戒感を突破して一段高へ進むか、いったん仕切り直しの円高へ風向きを変えるのか、週末にかけて試される。

【米国の年3回利下げ想定は継続か】

昨年12月のFOMCに続き今年3月FOMCでも参加者による金利予想では2024年3回利下げが想定されたが、参加者19人中10人が3回利下げ想定で、9人は2回以下の利下げ想定だった。最近のインフレ指標の低下傾向が鈍り経済指標もそこそこ堅調のため、年3回利下げ想定者が減るのではないかとの見方も出ているが、昨夜は2人の地区連銀総裁が3回利下げの可能性ありとしている。
クリーブランド連銀のメスター総裁は4月2日に次回5月のFOMCまでに十分な情報が集まらないとして5月利下げを否定したが、6月会合での利下げ可能性については「指標次第で排除したくない」とし、年3回利下げ想定は依然として妥当だが、ぎりぎりだとも述べた。
サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は2日に年内3回の利下げは妥当な予想だとし、インフレが高止
まりする場合には利下げ回数を減らし、労働市場の低迷やインフレが予想より急速に低下する場合は利下げ回数を増やす用意があると述べた。
今夜はパウエル議長の講演もあるため、6月利下げ開始への期待度が高まるのか注目される。

【米経済指標は堅調さを示す】

4月2日に米商務省が発表した2月製造業新規受注は前月比1.4%増で1月の3.8%減から改善して市場予想の1.0%増を上回り、前年同月比は1.0%増だった。企業の設備投資指標とされる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注は0.7%増だった。
米労働省による2月JOLTS(雇用動態調査)求人件数は前月から8000件増加して875万6000件となり市場予想の874万件を上まわった。1月分は速報の886万3000件から874万8000件に下方修正された。
前日のISM製造業景況指数が強かったこととともに、これらの指標はFRBに利下げを急がせなくてもかまわないという印象を与えたが、今週末の米雇用統計が低調なら利下げを急ぐべきとの声が高まると思われる。
米金利先物市場における6月利下げ開始への期待度は6割台前半となっている。

【米10年債利回りは連騰、ダウは大幅続落】

4月2日の米長期債利回りはまちまちの動きだったが、長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の4.35%となり4月1日の0.10%上昇から連騰した。一時4.41%まで急伸したあとは上昇幅を削ったが、昨年12月につけた3.78%以降の高値を更新している。
30年債利回りは前日比0.05%上昇の4.50%となり、4月1日の0.10%上昇からの連騰で一時は4.54%をつけて昨年12月の3.94%以降の最高値とした。
2年債利回りは前日比0.02%低下の4.69%で、一時4.73%をつけたものの3月18日に付けた4.75%超えには至らなかった。10年債利回り等の上昇と比較すれば2年債の上昇は落ち着いており、年内利下げ想定時期を巡って反応が分かれている印象だ。

一方で4月2日のNYダウは前日比396.61ドル安と下落して4月1日の240.52ドル安からの続落となり、一時は500ドル安を超えた。米医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループが急落したことの影響が大きかったようだが、3月21日に史上最高値を更新した後は上げ渋りであり、米国の利下げ開始と米経済のソフトランディングにやや楽観過ぎたことに対してブレーキがかかっている印象もある。ナスダック総合指数も前日比156.38ポイント安と下落しており、ダウと同じく3月21日に史上最高値を付けた後は上げ渋りからやや調整安が先行し始めている印象だ。
米国株安が日本株安へ波及すればドル円にとっては円高圧力となりやすい。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は151円台での持ち合いが続いているが、先週末の29日夜安値151.16円を起点として4月2日午後高値151.79円まで戻してから失速気味のため、目先は戻り一巡により持ち合い下限を試しやすい局面と思われる。4月3日の日中はまだ上昇余地を残しているとみるが、151.30円割れからは下落期入りとみて4月3日夜から5日夜にかけての間への下落を想定する。ただし、米経済指標次第では大きく上下に振れる可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では、4月2日午後高値からジリ安推移に入ったことで遅行スパンが悪化し、先行スパンからも転落しやすい位置にある。遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。4月2日午後高値を超えるところからは上昇が勢い付く可能性があるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は4月1日深夜高値から2日午後高値へ高値を切り上げた際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生して低下に転じたが、40ポイント台へ続落しているのでまだ下落途中とみて30ポイント前後への低下余地ありとみる。ただし、50ポイント台を回復・維持し始める場合は上昇再開の可能性ありとし、55ポイント超えからは60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、151.30円を下値支持線、4月2日午後高値151.79円を上値抵抗線とする。
(2)151.30円を上回るうちは上昇余地ありとし、151.79円超えからは152円手前を試すとみるが、152円手前は戻り売りにつかまりやすいと注意し、その後に151.50円を割り込むところからは下落期入りを疑う。
(3)151.30円割れからは下落期入りとみて3日夜にかけて151円前後への下落を想定する。151円前後は買い戻されやすいとみるが、151.30円以下での推移なら4日も安値試しへ向かいやすいとみる。株安ドル安が勢い付いて下げ足が速まる場合は150.80円前後へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

4/3(水)
10:45 (中) 3月 財新サービス業PMI (2月 52.5、予想 52.5)
18:00 (欧) 3月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (2月 2.6%、予想 2.6%)
18:00 (欧) 3月 コアHICP・速報値 前年同月比 (2月 3.1%、予想 3.0%)
18:00 (欧) 2月 失業率 (1月 6.4%、予想 6.4%)
21:15 (米) 3月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (2月 14.0万人、予想 14.8万人)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI・改定値 (速報 51.7、予想 51.7)
23:00 (米) 3月 ISM非製造業景況指数 (2月 52.6、予想 52.7)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベント挨拶
25:10 (米) パウエルFRB議長、講演

4/4(木)
休場 中国、香港
06:45 (NZ) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -8.8%)
09:30 (豪) 2月 住宅建設許可件数 前月比 (1月 -1.0%、予想 3.0%)
14:00 (日) 日銀支店長会議、地域経済報告(さくらリポート)
16:55 (独) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 49.8、予想 49.8)
17:00 (欧) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 51.1、予想 51.1)
17:30 (英) 3月 サービス業PMI・改定値 (2月 53.4、予想 53.4)
18:00 (欧) 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 -0.9%、予想 -0.7%)
18:00 (欧) 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 -8.6%、予想 -8.6%)
20:30 (欧) 欧州中銀理事会議事要旨

21:30 (米) 2月 貿易収支 (1月 -674億ドル、予想 -662億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.0万件、予想 21.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 181.9万人)
23:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、討論会
25:15 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
25:45 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
27:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演



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