円安の加勢なく、5日連続のドル高リラ安に圧されて3営業日続落
〇先週のトルコリラ円、3/30早朝終値4.66、週間では3/22終値4.73から0.07の円高リラ安
〇対ドル、3/29は概ね32.49から32.08の取引レンジ。3/19の取引時間中史上最安値32.50へ迫る
〇5営業日連続のドル高リラ安、3/21のサプライズ的利上げによるリラ買い反応一巡し、リラ高解消
〇3/31トルコ統一地方選、イスタンブールやアンカラ等大都市で与党敗北。エルドアン政権への批判反映
〇4/3のトルコ3月CPI、予想以上にインフレ加速なら利上げ催促としてのリラ安進みやすくなると注意
〇4.68以下での推移中は一段安余地あり、4.63割れからは4.60前後への下落を想定
〇4.68超える場合は4.69から4.70手前にかけての水準を試す上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の3月29日は概ね4.68円から4.64円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.66円で前日終値の4.67円から0.01円の円高リラ安だった。
ドル円は3月27日高値で151.96円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新するとともに2022年10月21日高値151.94円を超えて33年8か月振り高値としたもののその後は伸びずに151円台での持ち合いに入りトルコリラ円に対しては円安による押し上げがみられない。一方でドル/トルコリラは3月21日にトルコ中銀が予想外に5.0%利上げを決定したことでいったんリラ高反応を見せたものの勢いは続かず3月25日から29日まで5営業日連続でドル高リラ安となり利上げ反応を解消して史上最安値に迫っている。
トルコリラ円は円安の加勢が途切れる中でドル高リラ安が再開したことで3月27日から3営業日続落となり3月21日高値4.77円以降の安値を更新し、週間では3月22日終値4.73円から0.07円の円高リラ安となった。
【米雇用統計へ向けてドル円はトルコリラ円を押し上げるか、逆風となるか】
今週は4月5日の米3月雇用統計へ向けて重要経済指標の発表が相次ぎ、米地区連銀総裁やパウエルFRB議長講演等もあるためドル円が151円台の持ち合いから上放れする可能性もあるが、それらを通過しながら151円を割り込み150円台序盤へ下げるようだと、3月11日からの上昇一巡でいったん仕切り直しの円高へ進む可能性もあるところだ。トルコリラ円としてはドル円が152円の壁を超えて一段高へ進めば他のクロス円に合わせて円安相場として上昇期に入ることもあり得るが、ドル高リラ安が再開している状況の中で円高へ風向きが変わるようだとリラ安と円高の両面から圧されて下げ足が速まることも警戒される。
トルコ経済指標としては4月3日の3月CPIに注目が集まるが、次の中銀金融政策決定会合(4月25日)までは間があるため、予想以上にインフレが加速する場合には利上げ催促としてのリラ安が進みやすくなると注意したい。
【ドル/トルコリラ、5日連続のリラ安で中銀利上げ反応をほぼ解消】
ドル/トルコリラの3月29日は概ね32.49リラから32.08リラの取引レンジ、30日早朝の終値は32.35リラで前日終値の32.30リラからは0.05リラのドル高リラ安だった。
3月21日にトルコ中銀が現状維持予想に反して5.0%利上げを決定したことをサプライズとして21日の当日は32.46リラから31.57リラへドル安リラ高となり、22日には31.53リラを付けたものの、リラ買い反応が一巡して3月25日からドル高リラ安が再開し、29日まで5営業日連続のドル高リラ安となり中銀利上げ後のリラ高を解消して3月19日に付けた取引中の史上最安値32.50リラへ迫った。
週間では3月22日終値32.01リラから0.34リラのドル高リラ安だったが、月間では2月末終値31.19リラから3月29日終値32.35リラまで1.16リラのドル高リラ安であり、2023年9月から7か月連続で史上最安値の更新を伴うドル高リラ安となった。
【トルコ統一地方選、大都市で与党敗北】
3月31日のトルコ統一地方選挙では野党の共和人民党=CPHがエルドアン大統領率いるイスラム系の公正発展党=AKPを上回る得票となり、12の大都市選では最大都市イスタンブールや首都アンカラ等の主要8大都市をCHPが制した。高インフレ・高金利・リラ安・低成長を改善できないエルドアン政権への批判を反映した。
開票率97.56%時点での得票率は与党AKPが35.61%、最大野党CHPが37.59%。AKPが地方議席を伸ばして獲得議席数で一位となっても野党連合が一院制議会で多数となればエルドアン大統領の政策運営も厳しくなる。
選挙の大勢を受けて4月1日午前のドル/トルコリラは高値で32.48リラを付けてドル高リラ安の様相だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月21日深夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日の日中から28日午前にかけての間への下落を想定してきたが、29日午前時点では26日夜安値を直近のサイクルボトム、27日午前高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りとして29日夜から4月2日夜にかけての間への下落を想定した。
3月30日早朝に安値を更新してから戻しているため、4.68円を超えないうちは一段安余地ありとするが、4.68円超えからはいったん強気サイクル入りしたとみて1日の日中から3日午前にかけての間への上昇を想定する。ただし強気サイクル入りした後に4.65円を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りを警戒し、30日早朝安値割れからは弱気サイクル入りとして4日早朝から6日早朝にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では3月27日夜の下落で先行スパンから転落して遅行スパンも悪化したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜くところからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、再び先行スパンから転落するところからは下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月29日午前から30日早朝へ安値を切り下げた際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられるので55ポイント超えからは60ポイント台への上昇を伴う反発を想定するが、55ポイント以下での推移中はまだ一段安余地ありとし、40ポイント以下での推移が続き始める場合は20ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.63円を下値支持線、4.68円を上値抵抗線とする。
(2)4.68円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.63円割れからは4.60円前後への下落を想定する。4.60円以下は反騰注意とするが、4.66円を下回っての推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.68円を超える場合は4.69円から4.70円手前にかけての水準を試す上昇を想定するが、4.70円手前では戻り売り有利とし、その後に4.65円を割り込むところから下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
4月1日
16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.2)
4月3日
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (2月 4.53%、予想 3.50%)
16:00 3月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (2月 67.07%、予想 69.10%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (2月 3.74%)
16:00 3月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (2月 47.29%)
4月4日
20:30 週次 外貨準備高 3月29日時点 グロス (3月22日時点 706.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月29日時点 ネット (3月22日時点 152.1億ドル)
4月8日
16:00 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.0%)
16:00 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 1.1%)
注:ポイント要約は編集部
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