3月CPIも注目だが、統一地方選挙の結果次第では一段のリラ安の可能性も
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、積極的な買いが入らないなか、4.7円台後半での戻り待ちの売りに押され、4.6円台半ばまで押し戻された。トルコ中央銀行によるサプライズ利上げ効果はいったんはく落した様子。
3月29日に発表された2月貿易収支は、67.7億ドルの赤字と市場予想(70.0億ドル赤字)よりも赤字幅が縮小したが、リラへの影響は限定的。トルコ中銀の利上げによって21日に4.7849円まで上昇していたリラは、その後じり安推移となり、目先の上値抵抗ラインとして意識されていた50日移動平均線手前で失速した。
3月31日に実施される統一地方選挙の結果や、4月3日の3月消費者物価指数(CPI)発表を見極めたいとするムードが強まっており、積極的な買いは手控えられた。
トルコ・円(東京時間:3月25日―3月29日)※Investing.comの日足を参照
始値:4.7337円
高値:4.7575円
安値:4.6355円
終値:4.6620円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
3月29日
16時00分、2月貿易収支、前回:−61.8億ドル、市場予想:−70.0億ドル、結果:−67.7億ドル
3月31日
未定、統一地方選挙(結果は東京時間4月1日もしくは2日)
4月1日
16時00分、3月製造業PMI、前回:50.2
4月3日
16時00分、3月CPI(前月比)、前回:4.53%、市場予想:3.50%
16時00分、3月CPI(前年比)、前回:67.07%、市場予想:69.05%
16時00分、3月CPI(コア)(前年比)、前回:72.89%、市場予想:75.19%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、3月31日の統一地方選挙の結果と、4月3日に発表される3月CPIの結果に振らされそうな地合いだが、短期リバウンドは一巡したと考える。
3月31日の統一地方選挙では、最大都市イスタンブールの市長選挙で、野党の次期大統領候補と言われるイマモール市長が再選できるかがポイントとなっている。与党のクルム候補とは接戦となっており、エルドアン大統領も頻繁に現地入りし応援演説を行っている。結果は早ければ日本時間4月1日午後に判明する見通しだが、接戦が予想されることで大勢が判明するのは4月2日頃となりそうだ。
財政政策の引き締めによって国民の生活は厳しさが増すこととなるため、統一地方選挙の結果次第では、エルドアン大統領の求心力が衰える可能性はある。仮に、与党が負けるという結果となれば、エルドアン政権は、支持母体である建設・不動産業界を中心に景気刺激策を打ち出す可能性はあろう。
つまり、エルドアン政権が昨年の大統領選挙まで繰り返していた持論である「利下げがインフレ抑制」を主張する可能性があると考えている。可能性は非常に低いと思っているが、エルドアン大統領の考えは読めないことで注意したい。
エルドアン政権が、型破りな金融政策に再度転換するリスクが残っている以上、積極的なリラ買いは難しいだろう。いったんは選挙結果を見極めたいところだが、選挙結果次第では、一段のリラ安を警戒となろう。
なお、3日に発表される3月CPIは、市場予想を上振れた場合、トルコ中銀による追加の利上げ期待は高まるが、金融引き締め長期化に伴う経済の先行き不透明感がリラの上値を抑えると考える。市場予想と同じくらいの程よい結果が望ましいところだが、上下に大きく振れがあるケースが多いため「程よい」水準のハードルは高い。
日足ベースでは、50日移動平均線が位置する4.80円水準突破を意識したリバウンド局面と考えていたが、上影(上ヒゲ)連発で失速したことで反発は一巡したと見る。経済と政治の先行き不透明な状況下、腰の入った本格的なリラ買いは難しい。
トルコリラ円日足
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