円高に振れやすい地合い、雲上限の96円台を意識か
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、やや弱い経済指標発表を受けて、99円水準からの下落に対する反発も一服。上下の値幅の狭い推移となった。
6日の第4四半期の豪実質国内総生産(GDP)は前期比0.2%増と小幅な伸びにとどまり、市場予想の0.3%増を下回った。また、7日に、オーストラリア統計局が発表した1月の貿易黒字は110億3000万豪ドルと、農産品と金の輸出が自動車の輸入増を上回る伸びを示し、前月の107億4000万豪ドルから拡大したが、市場予想の115億豪ドルには届かなかった。
やや弱い経済指標を受けて、豪ドルは97円から98円台でのもみ合いとなった。日足の一目均衡表の転換線が位置する98円10銭水準と基準線が位置する97円20銭水準の狭いレンジで推移した。
豪ドル・円(東京時間:3月4日―3月8日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:97円97銭
高値:98円25銭
安値:97円36銭
終値:97円88銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
3月4日
9時00分、2月インフレ(前年比)、前回:0.3%、結果:−0.1%
9時00分、2月インフレ(前年比)、前回:4.6%、結果:4.0%
9時30分、1月住宅建設許可件数(前月比)、前回:−10.1%、市場予想:4.0%、結果:−1.0%
3月6日
9時30分、第4四半期GDP(前期比)、前回:0.3%、市場予想:0.3%、結果:0.2%
9時30分、第4四半期GDP(前年比)、前回:2.1%、市場予想:1.5%、結果:1.5%
3月7日
9時30分、1月貿易収支、前回:107.43億豪ドル、市場予想:115.00億豪ドル、結果:110.27億豪ドル
3月12日
9時30分、2月のNAB企業信頼感、前回:1
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週の豪ドルは、目立った経済指標の発表が予定されていないことから、円やドルの動向に注目となろう。日足の一目均衡表では、雲上限が位置する97円00銭水準までの調整があるかと想定したが、その手前の基準線水準で下げ止まっていることから、いったんは落ち着きを取り戻した格好と言えよう。
ドルインデックスは102.7台と2月上旬の1月米雇用統計発表前の水準を割り込み、1月上旬以来の水準まで下落している。3月6日頃から、ドルが主要通貨に対して弱い動きを示し始めている背景として、5日の米国スーパーチューズデー(11月の米大統領選挙に向けて、共和党、民主党の候補者選挙が集中する日)にて、共和党大統領候補者にトランプ前大統領が指名されることがほぼ確実視される結果となったことが考えられる。
トランプ前大統領は、基本的に「ドル安を良しとする」考えを持っているため、米連邦準備制度理事会(FRB)に金融緩和を要求する可能性もあるだろう。こうした懸念事項を挙げたらきりがないものの、市場は徐々に「トランプドル安」を織り込みに行くと考える。実際、6日から豪ドルは0.65ドルから0.66ドルに上昇しており、「もしトラ」ではなく「ほぼトラ」もしくは「本トラ(本当にトランプ前大統領がカムバックする)」の思惑が強まっているようだ。
では、円はどうだろうか。7日朝方に3月18-19日の日銀金融政策決定会合にて、一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通しと報じられており、円は買われやすい状況にある。私は3月期末のこのタイミングで市場を動かす要因である金融政策の正常化に踏み出すことは、慎重な植田日銀総裁などは選択しないと考えるが、4月会合での正常化に向けた「地ならし」が3月会合で行われる可能性は十分にある。
ということは、足元昨年11月水準まで積み上がっていた円売りポジションを解消する公算が大きいことから、豪ドルは対円では売られやすい状況と言えよう。今晩の米雇用統計通過後は、ドルの動向よりも円の動向を重要視した方が良さそうな雰囲気である。
月足チャートで見れば、20年3月の59.87円を起点とした下値支持線が機能しており、長期的なトレンドは強気のままだ。心理的な節目である100円をターゲットとした展開は継続と考えるが、短期的には日足の一目均衡表の雲上限が96円台まで切り下がることからこの水準を警戒したいところだ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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