NZドルに連れ安もそろそろ下げ止まりを試す展開か
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、ニュージーランド準備銀行(NZ中銀)が政策金利5.5%を据え置き、「タカ派」姿勢を明確に後退したことが影響して利益確定売り優勢の地合いとなった。
28日、NZ中銀は金融政策決定会合で政策金利を5.5%に据え置いた。2023年12月にNZ議会が中銀の任務から「雇用の最大化」を削除する法案を可決していたことから、インフレに対応するために追加利上げに動くとの見方が浮上していた。
一方、声明文では「インフレ率は依然として目標を上回っている」として、金融引き締めを続ける姿勢は崩していない。高いインフレを考慮すると早期の利下げは考えにくい状況だが、この結果を受けて、NZドルは利益確定売りが優勢となった。豪ドルもこの流れを受けて下落した。
29日、オーストラリア統計局が発表した1月小売売上高は前月比1.1%増と増加に転じた。ただ、市場予想(同1.5%増)に届かなかったほか、高金利や生活費高騰を受けて購買力が低下する中、前年比の伸びは低迷が継続した。
豪ドルは99円手前水準から下落し、20日移動平均線が位置する97円60銭水準も下回り2月15日水準まで売られた。
豪ドル・円(東京時間:2月26日―3月1日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:98円71銭
高値:98円91銭
安値:97円35銭
終値:97円67銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
2月29日
9時30分、1月小売売上高、前回:−2.7%、市場予想:1.5%、結果:1.1%
9時30分、第4四半期民間設備投資、前回:0.6%、市場予想:0.5%、結果:0.8%
9時30分、1月民間部門信用(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.4%、結果:0.4%
9時30分、1月民間部門信用(前年比)、前回:4.8%、結果:4.9%
3月4日
9時00分、2月インフレ(前年比)、0.3%
9時00分、2月インフレ(前年比)、前回:4.6%
9時30分、1月住宅建設許可件数(前月比)、前回:−9.5%、市場予想:5.6%
3月6日
9時30分、第4四半期GDP(前期比)、前回:0.2%、市場予想:0.2%
9時30分、第4四半期GDP(前年比)、前回:2.1%、市場予想:1.4%
3月7日
9時30分、1月貿易収支、前回:109.59億豪ドル、市場予想:110.00億豪ドル
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週の豪ドルは、NZ中銀発表後、追加の利上げを期待するムードは消え去ったことで、調整色を強めそうだが、日足の一目均衡表の雲上限が位置する97円00銭水準が下値メドと考える。
市場では早ければ8月ごろに利下げ実施を見込んでおり、オーストラリア準備銀行(RBA)の「タカ派」期待はほぼ無くなっている。足元強まっていたキャリートレードは解消が進んでいるが、97円水準からキャリートレードが積み上がっていたと思われるため、この水準で売りは一巡すると考える。
ちょうど日足の一目均衡表の雲上限も位置していることから下値メドとしても意識されやすいだろう。売り一巡後は、基準線や50日移動平均線が97円20銭水準で位置していることから、この水準でのもみ合いを想定する。日足の一目均衡表の雲下限が位置する96円20銭水準を下回れない限り、短期的なトレンドは強気のままと考える。
一方、長期的なトレンドもさほど崩れていない。一目均衡表では「三役好転」で強い地合い継続のなか、2020年3月の安値59円87銭を起点とした下値支持線が意識されている。心理的な節目である100円をターゲットとした展開は継続だ。
来週は6日に第4四半期GDPが発表される。市場予想は前年比1.4%増加と前回の同2.1%増加を下回っている。小売売上高同様、弱い数字となれば豪ドル軟調も視野に入るところだ。来週の豪ドルは明確な下げ止まりを確認したいところだ。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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