長期的な上昇トレンド継続、円キャリー活発化も要因か
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、2023年11月15日高値98円65銭を上抜き、2014年12月以来となる99円台に突入する場面が見られた。
目立った経済指標は発表されていないが、最大の貿易取引国である中国では旧正月中に旅行や消費関連の支出が拡大したとみられるうえ、中国政府や中国人民銀行による株価対策が奏功し中国株が持ち直していることなどが材料視されて豪ドルは上昇した。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げ開始は早くて6月頃と見られているほか、欧州中央銀行(ECB)による利下げ開始は夏頃との見方だ。欧米中銀による利下げ開始時期より、「タカ派」なオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)の利下げ開始時期の方がやや遅いとの見方が強いことも、豪ドルが主要通貨に対してしっかりの背景となっている。
豪ドルは20日、11月高値にあと1銭という水準まで上昇した後、22日についに突破し99円02銭まで買われた。やや上影(上ヒゲ)を残してはいるが、日足ベースでは14日から陽線が並んでおり、2023年6月に記録した7日連続と並んでいる。23日も陽線となれば、2019年9月3日から13日に記録した9連続以来の記録となる。なお、ドルに対しても14日以降、7日連続で陽線となっている。
豪ドル・円(東京時間:2月19日―23日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:98円06銭
高値:99円02銭
安値:97円97銭
終値:98円65銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
2月21日
9時30分、1月景気先行指数(前月比)、前回:−0.04%、結果:−0.08%
9時30分、第4四半期賃金指数(前年比)、前回:4.0%、市場予想:4.1%、結果:4.2%
9時30分、第4四半期賃金指数(前期比)、前回:1.3%、市場予想:0.9%、結果:0.9%
2月29日
9時30分、1月小売売上高、前回:−2.7%、市場予想:1.7%
9時30分、第4四半期民間設備投資、前回:0.6%、市場予想:0.6%
9時30分、1月民間部門信用(前月比)、前回:0.4%、市場予想:0.4%
9時30分、1月民間部門信用(前年比)、前回:4.8%
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週の豪ドルは、主要国に対して相対的に「タカ派」なRBAを材料に、強い地合いは続くと想定する。足元の上昇ピッチが強い(7日連続陽線)ことから、売りが入る展開は当然あるだろう。ただ、短期的な過熱感よりも足元の高値を上抜いているという長期的なトレンドの強さが意識されると考える。
短期的なテクニカル面では、一目均衡表では、1日に長い下影(下ヒゲ)を残し、雲下限の下振れを回避。遅行スパンも実線を上向いているほか、転換線が基準線を上回っていることから「三役好転」が示現。短期的なトレンドは非常に強いと言えよう。
中期的には、昨年10月、12月と雲下限では下影(下ヒゲ)を残し、下値を切り上げていることから、下値は底堅い。昨年11月高値の98.65円を上抜いたことで中期的にも強い形状となっている。
長期的には、一目均衡表では「三役好転」で強い地合い継続のなか、2020年3月の安値59円87銭を起点とした下値支持線が意識されている。心理的な節目である100円が目先のターゲットとして意識されやすいが、次の節目は2014年12月の101円40銭、そして、同年11月の102円89銭である。
一部市場関係者からは、「足元のオセアニア通貨の強さは円キャリートレードによるものが多い」といった指摘がある。ドル円相場は150円でこう着感が強まっていることからIV(予想変動率)は低下傾向にある。ドル円の3カ月物IVは20日時点では年率8%前半と昨年11月の水準まで下がっている。昨年11月はちょうど円キャリートレードが盛り上がっていた時期と符合することから、豪ドル上昇の背景に円キャリートレードがあるとのロジックだ。
こうした需給要因も考慮すると、来週の豪ドルはいったん利益確定売りが入ったとしても、押し目買いが入り100円突破をターゲットとした豪ドル買いは続くと想定する。
豪ドル円月足
オーダー/ポジション状況
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