弱い雇用統計でも97円台でしっかり、上値抵抗の98円台を試す展開は継続
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、1月高値を上回る場面が見られたものの、弱い雇用統計を受けて、やや上値の重い展開となった。
13日に発表された2月ウェストパック消費者信頼感が前月比+6.2%と前回の−1.3%を大幅に上回ったことで、早期の利下げ観測が後退し、1月22日高値97円90銭を上回る97円93銭まで上昇。
ただ、15日に豪連邦統計局が発表した1月の雇用統計は、前月比5000人増加と市場予想(25000人増加)を下回ったほか、失業率は4.1%と市場予想(4.0%)を上回り2年ぶりの高水準となった。景気減速や低調な消費者需要を背景に労働需給が緩んでいることが改めて示された。
この発表を受けて、金利先物市場は今年8月に最初の利下げが実施される可能性を80%と予想するなど、利下げタイミングの前倒し観測が強まった。豪ドルは97円台を割り込む場面は見られなかったが、やや上値の重い展開となった。
豪ドル・円(東京時間:2月12日―16日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:97円32銭
高値:97円93銭
安値:97円04銭
終値:97円78銭
【今週と来週の重要指標】
※時間は東京時間
2月13日
8時30分、2月ウェストパック消費者信頼感(前月比)、前回:−1.3%、結果:6.2%
2月15日
9時30分、1月雇用統計、前回:62700人減少、市場予想:25000人増加、結果:5000人増加
9時30分、1月失業率、前回:3.9%、市場予想:4.0%、結果:4.1%
2月21日
9時30分、1月景気先行指数(前月比)、前回:−0.04%
9時30分、第4四半期賃金指数(前年比)、前回:4.0%、市場予想:4.1%
9時30分、第4四半期賃金指数(前期比)、前回:1.3%、市場予想:0.9%
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週の豪ドルは、弱い雇用統計が重しとなりながらも、先週のRBA会合の「タカ派」声明を背景にしっかりの展開となろう。
オーストラリア準備銀行(豪中銀)は、失業率が今年6月までに4.2%に上昇すると予測している。今回の雇用統計の結果を受けて、チャーマーズ財務相は、「金利上昇、インフレの持続、世界経済の不確実性に伴う避けられない結果である」と述べた。
また、統計局の労働統計責任者は「1月は夏の休暇シーズンを終えて仕事を始める時期」と季節的な要因に言及。「1月は失業者が増える一方、向こう4週間内に仕事を始める見通しの失業者も多かった」と述べた。
こうした指摘なども考慮されて、豪ドルは97円台でしっかりの展開となったと想定する。昨年12月4日以来の98円台回復はいったんお預けとなったが、RBA会合での「タカ派」声明を材料に、豪ドルのモメンタムは引き続き良好と考える。
短期的なテクニカル面では、一目均衡表では、1日に長い下影(下ヒゲ)を残し、雲下限の下振れを回避。遅行スパンも実線を上向いているほか、転換線が基準線を上回っていることから「三役好転」が示現。短期的なトレンドは強いと言えよう。
中期的にも、昨年10月、12月と雲下限では下影(下ヒゲ)を残し、下値を切り上げていることから、下値は底堅いと想定する。昨年11月高値の98.65円を起点とした上値抵抗線が98円水準に控えていることから、98円台回復、そして、この水準を明確に突破するかが目先の大きなポイントとなろう。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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