政治リスクも意識されて、狭いレンジ売買継続か
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、心理的な節目である8.0円台直前で売り優勢の地合いとなり、週末にかけて陰線連続の展開となった。
20日に発表された第4四半期失業率が32.1%と前回(31.9%)、市場予想(31.6%)比では悪化したほか、1月消費者物価上昇率はコアがやや伸び率加速となったものの、財務省による債務増加を止める内容が盛り込まれた新予算案が材料視されて、21日には7.9939円と8.0円台目前の水準まで上昇した。
ただ、心理的な節目に乗せられなかったことで上値の重さが嫌気されて、利益確定売りが優勢となりランドは下げ足を速める展開に。日足の一目均衡表の雲上限にも跳ね返される格好となり、50日移動平均線も割り込んだ。
ランド・円(東京時間:2月19日―2月23日)
※Investing.comの日足を参照
始値:7.9454円
高値:7.9939円
安値:7.7601円
終値:7.7927円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
2月20日
18時30分、第4四半期失業率、前回:31.9%、市場予想:31.6%、結果:32.1%
2月21日
17時00分、1月消費者物価指数(前年比)、前回:5.1%、市場予想:5.4%、結果:5.3%
17時00分、1月消費者物価指数(前月比)、前回:0.0%、市場予想:0.2%、結果:0.1%
17時00分、1月消費者物価指数(コア)(前月比)、前回:0.2%、市場予想:0.2%、結果:0.3%
17時00分、1月消費者物価指数(コア)(前年比)、前回:4.5%、市場予想:4.5%、結果:4.6%
2月29日
15時00分、1月マネーサプライ(前年比)、前回:7.63%、市場予想:7.30%
18時30分、1月PPI(前年比)、前回:4.0%、市場予想:4.7%
21時00分、1月貿易収支、前回:141億ランド、市場予想:−55億ランド
3月1日
18時00分、2月製造業PMI、前回:43.6、市場予想:46.5
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、50日移動平均線も割り込んでいることから、日足の一目均衡表の雲下限7.75円水準が下値支持線として機能するかに注目だ。
先週の下落は、心理的な節目である8.0円台手前でもたついたことや、日足の一目均衡表の雲上限7.9499円を終値ベースでクリアできなかったことなど、テクニカル的な要因と考える。
3月1日に予定されている2月製造業PMIの市場予想は46.5と、好不況の境目である50を下回っているが、前回の43.6からは大幅に回復している。こうした経済指標の回復が確認できた場合、雲下限水準からの反発は期待できよう。慢性的な電力不足を考慮すると、南アフリカ経済の弱さを改めて嫌気する動きは無いと考える。
一方、今年5月29日の実施が決まった次期総選挙では、ラマポーザ大統領が党首を務める与党アフリカ民族会議(ANC)が、下院で過半数割れするとの予測も出ている。ANCは、かつてマンデラ元大統領が率いた南アフリカでは最も歴史を持った政党である。アパルトヘイト(人種隔離)政策終了後、全人種選挙が行われた1994年以降、下院での過半数を維持してきた。
一方、高失業率や相次ぐ汚職疑惑などで政治不信が高まり、前回2019年の総選挙では、下院の獲得議席数が過去最低の230にとどまった。仮に過半数割り込むといった結果となった際、政治的な混乱が発生するのは必至だ。
こうした政治リスクを3か月後に抱えていることから、ランドの売買は、「トレンド型」ではなく「逆張り型」のサヤ取りがメインと考えておいた方が良さそうだ。日足の一目均衡表の雲下限と雲上限を強く意識した狭いレンジでの売買が続くと想定する。
南アランド円日足
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