『約2カ月ぶり高値圏へ上昇するも上値余地は限定的か。反落リスクに要警戒』
〇今週の南ア円、週前半7.79まで下落するも週末にかけて7.92まで上昇、週末は7.89レベルで推移
〇テクニカルには約2ヵ月ぶり高値を更新、主要テクニカルポイント上抜け地合い好転
〇ファンダメンタルズは南ア経済・政局の先行き不透明感、金・プラチナの価格低迷等が重石
〇引き続き、南アランド円相場の一巡後の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.70ー7.9
今週のレビュー(1/29−2/2)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.88円で寄り付いた後、(1)株式市場の冴えない動き(ドル円・クロス円下落→南アランド円連れ安)や、(2)南ア12月財政収支(結果195億ZAR黒字、予想292億ZAR黒字)の市場予想を下回る結果が重石となり、翌1/30にかけて、週間安値7.79円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)米FOMCを控えたポジション調整(米金利低下に伴うドル売り圧力→新興国通貨上昇)や、(4)南ア12月貿易収支(結果141億ZAR黒字、予想100億ZAR黒字)の市場予想を上回る結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.92円(12/1以来、約2カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(5)米FOMCのタカ派的な結果(声明文への「2%の物価目標達成に向けてより確かな自信を得るまで利下げは適切ではない」との文言追加や、パウエル議長による「3月利下げの可能性が高いとは考えていない」との慎重発言)や、(6)南ア1月製造業PMI(結果43.6、予想50.0)の大幅低下、(7)南ア1月Naamsa自動車販売(結果▲3.8%、前回▲3.3%)の冴えない結果、(8)米長期金利の急上昇(米雇用統計の力強い動き→米金利上昇→新興国通貨下落)、(9)金・プラチナ価格の急反落(交易条件悪化懸念)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/3午前2時00分現在)では、7.84円前後まで値を崩す動きとなっております。
来週の見通し(2/5−2/9)
南アランドの対円相場は昨年12/28に記録した安値7.55円をボトムに切り返すと、週央にかけて、約2ヵ月ぶり高値7.92円まで上昇しました。
この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイントを上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を期待させるチャート形状となりつつあります。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)南ア経済の先行き不透明感(今週発表された南ア1月製造業PMIは好不況の分岐点50を大幅に下回る冴えない結果。国営電力会社エスコムによる計画停電も南ア経済の構造的な下押し要因)や、(2)南ア中銀の早期利下げ観測(南ア中銀は先週開催された金融政策決定会合で早期利下げに慎重な姿勢を崩さなかったが、市場では南ア中銀の早期利下げを予測する動きが根強く残存。冴えない南ア経済に加えて、足元で鈍化する南アフリカのインフレ事情も早期利下げ期待を後押し)、(3)南アフリカの政局不透明感(南ア総選挙で下院が過半数割れに陥るリスク)、(4)米国の利下げ開始時期の後ずれ観測(米FOMCのタカ的な結果+米雇用統計の力強い結果→米金利急上昇→南アフリカから米国への資金流出圧力再燃)など、南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は南ア12月製造業生産以外に目立った南ア経済イベントが予定されていないため、米長期金利の動向睨みながらの神経質な動きとなりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.70ー7.95
注:ポイント要約は編集部
南アフリカランド円日足
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