トルコリラ円見通し 米CPI通過後にドル円とともに下落、対ドルでは30リラ台へ下落(24/1/12)

トルコリラ円の1月11日は概ね4.89円から4.82円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.83円で前日終値の4.86円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 米CPI通過後にドル円とともに下落、対ドルでは30リラ台へ下落(24/1/12)

トルコリラ円見通し 米CPI通過後にドル円とともに下落、対ドルでは30リラ台へ下落

〇トルコ円、1/11夜の米CPI発表前の4.82から発表後に4.88まで戻すも、ドル円の反落を見て4.83へ失速
〇1/12午前にドル円が145円を割り込んだところで一時4.78まで下げる、下落再開感を強める動き
〇対ドル、1/11は概ね30.01から29.62の取引レンジ、1ドル30リラの大台に到達
〇取引時間中の史上最安値を30.01へ伸ばす、終値ベースでも史上最安値を更新
〇JPモルガンは2024年末見通しを1ドル36リラに下方修正
〇4.86を下回るうちは一段安余地ありとし、4.81割れからは4.78、4.75順次試して行く下落を想定する
〇4.86超えからは、4.88前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月11日は概ね4.89円から4.82円の取引レンジ、12日早朝の終値は4.83円で前日終値の4.86円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル高リラ安が続く中、トルコリラ円は年明けからのドル円の上昇を追いかけてきたが、11日夜の米CPI発表後にドル円が146円台へ上昇したところから下落に転じたため、トルコリラ円も失速している。
ドル円は1月11日夜の米CPI発表直後に146.40円へ上昇して1月5日の米雇用統計発表後に付けた高値145.96円を超えて昨年12月29日未明安値140.24円以降の高値を更新したが12日午前序盤には145円割れへ反落した。米12月CPIは全体の前年比が11月の3.1%から3.4%へと予想以上に上昇したもののコア指数では11月の4.0%から3.9%へと低下したため、年内3回ないしそれ以上の利下げ期待は変わらないとして米長期債利回りの上昇とドル高反応は一時的なものに留まった。

トルコリラ円は12月29日未明安値4.70円から1月5日夜高値4.89円へ上昇し、9日午前に4.79円まで反落したところから上昇を再開して11日未明には4.88円まで切り返して1月5日夜高値に迫っていた。米CPI発表前に4.82円まで下げてから発表後に4.88円まで戻したものの1月5日夜高値には届かず、ドル円の反落を見て4.83円へ失速した。12日午前にドル円が145円を割り込んだところでは一時4.78円まで下げるなど戻り一巡による下落再開感を強める動きを見せている。

【1ドル30リラ台に到達】

ドル/トルコリラの1月11日は概ね30.01リラから29.62リラの取引レンジ、12日早朝の終値は29.96リラで前日終値の29.95リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
12月21日のトルコ中銀による2.5%利上げを不十分としてドル高リラ安が勢いを増してきたが、1月11日夕刻に1ドル30リラ台に初めて到達、取引時間中の史上最安値を30.01リラへ伸ばし、終値ベースでも史上最安値を更新した。
JPモルガンによるリラの安値予想が下方修正されたとの報道もあり、1月12日午前序盤には1ドル30.34リラへ急落している。1ドル30リラというのはエルドアン大統領が昨年5月末に再選された時に大手金融機関などがリラ安の最悪シナリオとし、その後はトルコ中銀の月次サーベイや通信社による予想集計などでも2023年末に1ドル30リラへ向かうとの見通しがコンセンサスとなっていたが、年をまたいだものの1ドル30リラの大台にとうとう到達した。

コンセンサス水準にひとまず達したことでリラの底打ち期待も出やすいところではあろうが、JPモルガンが2024年の見通しを従来の1ドル34リラから36リラへと下方修正したため、1ドル30リラ到達ではまだ底打ちには浅いとの見方が強まっているようだ。

【JPモルガン、2024年末見通しを1ドル36リラに】

JPモルガンは1月10日の顧客向けリポートにおいてトルコリラの2024年末見通しを従来の1ドル34リラから36リラへ下方修正し、ドルの強気(リラの弱気)見通しを堅持するとした。同社は「実質利回りがプラスとなり割安感があるため、リラは実質的に上昇する可能性がある」としたが、今後は「ディスインフレ・プロセスへのコミットメントと外貨準備の増加ペースに大きく左右されるだろう」と指摘した。またトルコ国債については「チャンスの到来を待つ」とし、現状では「低インフレ予測に対する信頼が欠けており、トルコ国債利回りが上昇するかインフレリスクが低下するか見極めたい」とした。
トルコ中銀のエルカン総裁は1月11日にニューヨークで海外投資家向けの説明会に出席して金融政策やインフレ見通し及びトルコ資産への投資についてのプレゼンを行うと予定されている。リラ安が勢い付いていることで世界的なインフレが鈍化したとしても通貨インフレによりトルコの高インフレが収まらない可能性もあり、その際に利上げサイクルの終了が近いとしてきたトルコ中銀が積極的な追加利上げへ踏み込めるのかどうか試されてゆくと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月10日未明への反騰により10日午前時点では9日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期は10日未明から12日夜にかけての間とした。
1月11日未明高値から小反落して11日夜へ戻したものの高値更新には至らずに12日午前へ下落しているため、11日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして12日の日中から16日午前にかけての間への下落を想定する。4.86円超えからは強気転換注意とするが、強気サイクル入りには4.88円を超える上昇が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では1月12日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りの可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月11日朝に80ポイントに迫ったもののその後の反落で50ポイントを割り込んでいる。50ポイント以下での推移か一時的に50ポイントを超えても維持できないうちは一段安余地ありとし、20ポイント台への低下を想定する。強気転換は60ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.78円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.81円割れからは4.78円、4.75円を順次試して行く下落を想定する。4.82円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.84円から4.86円手前にかけての水準は戻り売り有利とするが、4.86円超えからは4.88円前後への上昇を想定し、週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月12日
 16:00 11月 経常収支 (10月 1.86億ドル、予想 -17.0億ドル)
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 2.0%)
 16:00 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 13.7%)
1月15日
 16:00  1月 トルコ中銀ビジネス・サーベイ(日時未定、1/15の週中)
 17:00 12月 財政収支 (11月 756.3億リラ)
1月18日
 20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 グロス (1月5日時点 919.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1月12日時点 ネット (1月5日時点 322.6億ドル)

トルコ中銀金融政策委員会予定
 1月25日、2月22日、3月21日


注:ポイント要約は編集部

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