トルコリラ円見通し ドル円の一段安で5.15円を割り込む(23/11/21)

トルコリラ円の11月20日は概ね5.23円から5.14円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.14円で先週末終値の5.21円からは0.07円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段安で5.15円を割り込む(23/11/21)

トルコリラ円見通し ドル円の一段安で5.15円を割り込む

〇トルコ円、11/20はドル円の一段安を見て午後安値5.18をつけ、さらに円高継続で夜5.15まで下げる
〇ドル円の一段安を追いかけて、8/24高値5.77以降の安値を更新
〇対ドル、11/20は概ね28.79から28.45の取引レンジ、終値ベースでは最安値更新
〇昨日発表のトルコ中央政府債務残高、ハイペースで拡大
〇11/23のトルコ中銀MPCは2.5%利上げ予想、予想を上回ったとしてもリラ高反応は限定的か
〇5.18超えからは、5.20前後への上昇を想定する
〇5.13割れからは、5.10前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の11月20日は概ね5.23円から5.14円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.14円で先週末終値の5.21円からは0.07円の円高リラ安だった。
対ドルでリラ安基調が続く中、ドル円が11月13日夜から下落しているため、トルコリラ円はドル円の反発時に戻すもののドル円の一段安を追いかけて8月24日高値5.77円以降の安値を更新している。11月21日午前序盤も5.14円近辺で軟調推移が続いている。

ドル円は11月13日夜に151.90円を付けて年初来高値とし、昨年10月21日高値151.94円に迫ったところから下落に転じている。11月14日の米CPIと15日の米PPIが予想を下回ったことでインフレ鈍化が顕著となり米FRBの追加利上げ確率が大きく後退して来年春には利下げの議論も始まるのではないかと市場は受け止めており、米10年債利回りが低下するのを見ながらドル円も下落している。
11月20日午後には148.69円を付けて10月30日深夜安値148.80円を割り込んだが、20日夜には148円台序盤へ下落した。日足は3日連続陰線=黒三兵(三羽烏)となり、10月3日以降続いてきた底上げ基調から転落、26日移動平均割れに続いて52日移動平均も割り込んでさらに続落している。

トルコリラ円は11月6日午前安値5.21円から11月10日早朝高値5.32円まで上昇したものの、先週はドル円の反落により15日早朝安値で5.23円をつけ、16日にドル円とともに戻したものの17日夜安値5.19円へ一段安した。11月20日はドル円の一段安を見て午後安値で5.18円をつけ、夜に入ってからはさらに円高の継続で5.15円まで安値を切り下げた。
8月24日にトルコ中銀が予想を大きく超える7.5%利上げを決定したことで8月24日高値5.77円へ急伸したが、翌日から下落基調に入り、11月16日から20日まではドル円と同様に3日連続の陰線で下落しており、7月18日に付けた史上最安値5.08円へ徐々に迫っている印象だ。

ドル円の11月13日高値からの下落規模は、今年3月8日高値137.91円から3月24日安値129.63円への下落時(下げ幅8.28円)、6月30日高値145.06円から7月14日安値137.24円への下落時(下げ幅7.82円)を彷彿とさせる勢いだが、トルコリラ円は3月8日高値7.29円から4月6日安値6.72円へ下落(下げ幅0.57円)、6月30日からの下落時はその前の5月26日高値7.06円からの大幅下落途中だったが、7月18日の史上最安値5.08円までの下落を助長するきっかけとなっており、ドル円がそれらと同規模の下落に発展する場合にはトルコリラ円も史上最安値更新へ向かうことが懸念される。

【対ドルでは先週まで12週連続の下落、週明けも最安値近辺】

ドル/トルコリラの11月20日は概ね28.79リラから28.45リラの取引レンジ、21日早朝の終値は28.69リラで先週末終値の28.65リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
8月最終週から先週までは12週連続のドル高リラ安であり、9週連続で取引時間中の史上最安値及び週末値ベースでの史上最安値を更新してきた。
11月20日は取引時間中の新たな最安値更新へ進まなかったものの最安値近辺に付け、終値ベースでは最安値を更新した。11月21日午前序盤は28.78リラから28.67リラのレンジで推移して最安値更新を伺っている。

【トルコ中央政府債務残高は過去最大】

11月20日深夜に発表されたトルコの10月中央政府債務残は6兆2770億リラとなり9月の6兆0700億リラから拡大した。債務の内訳は対外債務が3兆3101億リラ、対内債務が2兆9668億リラでほぼ半々となっている。
2000年以降拡大基調にあるが、リラ安を反映しているため2019年以降は拡大ペースが急激に上がっており、2021年1月の1兆8377億リラから倍増している。リラ安が収まれば計算上は債務残もドル換算では減ることになるが、異常なハイペースで拡大していることは深刻だ。

【11月23日のトルコ中銀MPC、2.5%利上げ予想】

11月23日にトルコ中銀のMPC(金融政策委員会)がある。11月20日にロイター社が発表した事前予想集計では政策金利の週間レポレートは現行の35.0%から2.5%引き上げられて37.5%となると見込まれた。予想レンジは37.5%から40.0%となっている。
トルコ中銀はエルカン新総裁就任後の6月22日会合で政策金利をそれまでの8.5%から15.0%へ引き上げ、7月20日には17.5%へ、8月24日には25.0%へ、9月21日には30.0%へ、10月26日には35.0%へと5会合連続で利上げしてきた。このうち8月24日は市場予想の2.5%利上げに対して7.5%の大幅利上げを決定したことがサプライズとなり、ドル/トルコリラは当日に27.27リラから25.02リラへ急伸したが、市場の反応は一時的で8月25日からはドル高リラ安が再開している。トルコリラ円も当日安値5.28円から5.77円へ急伸したが、翌日から下落に転じている。

今回の会合で予想を大幅に超える利上げ幅ならば市場もリラへの強気サプライズと受け止めるだろうが、予想通りか、予想を上回ったとしても5.0%利上げで40%としてもリラ高反応は限定的なものに留まるのではないかと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、11月15日夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日午後から20日午後にかけての間への上昇を想定し、5.23円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、17日に5.23円を割り込んでから続落したために、20日朝時点では16日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして20日夜から22日夜にかけての間への下落を想定した。
20日夜へ一段安してからも反騰しきれずにいるのでまだ下落余地ありとみるが、前回ボトムから3日を経過したので5.18円超えを強気転換注意とし、5.20円超えからは強気サイクル入りとして21日未明から23日未明にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月16日夜の下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが好転するところからは戻りをさらに試すとみるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は11月17日夜に20ポイントを割り込んでから戻したものの50ポイントに届かず失速しているのでまだ一段安余地ありとするが、20日夜への一段安では指数のボトムが切り上がる強気逆行の気配も見られるので50ポイント超えからは上昇再開として60ポイント台を試すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.13円を下値支持線、5.18円を上値抵抗線とする。
(2)5.18円手前では戻り売り有利とみる。5.18円超えからは5.20円前後への上昇を想定するが、5.20円以上は反落警戒とし、その後に5.17円を割り込むところからは下げ再開とみる。
(3)5.13円割れからは5.10円前後への下落を想定する。5.10円以下は反騰注意とするが、5.18円を下回っての推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

11月22日
 16:00 11月 消費者信頼感指数 (10月 74.6)
11月23日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 35.0%、予想 37.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 11月17日時点 グロス (11月10日時点 846.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 11月17日時点 ネット (11月10日時点 254.5億ドル)
11月24日
 16:00 11月 製造業景況観 (10月 103.3)
 16:00 11月 設備稼働率 (10月 77.4%)
 17:00 10月 海外観光客数 前年同月比 (9月 5.67%)



注:ポイント要約は編集部

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