ドル円見通し 10月30日深夜安値を割り込み底上げ基調崩れて148円を試す(23/11/21)

13時台には148.69円を付けて10月30日深夜安値148.80円も割り込み、20時台には148.09円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 10月30日深夜安値を割り込み底上げ基調崩れて148円を試す(23/11/21)

ドル円見通し 10月30日深夜安値を割り込み底上げ基調崩れて148円を試す

〇ドル円、11/20早朝149.98へ上昇するも150円届かず、13時台に148.69を付け10/30深夜安値割り込む
〇20時台には148.09まで安値を切り下げる、148円割れはひとまず回避するも148円台前半にとどまる
〇11/20はドル全面安の様相、ユーロやポンドが高値をつける
〇ドル円は10/3夜安値以降の底上げ基調から転落
〇テクニカルには二重のダブルトップ型を形成している可能性、152円突破への機運は低下しているか
〇米10年債と30年債利回りは低下傾向継続、2年債は上昇、ダウとナスダックは続伸
〇149円以下での推移中は一段安余地ありとし、147.85割れからは147円台前半を試す下落を想定する
〇149円超えからは戻りを続けるとみて、149.50前後への上昇を想定する

【概況】

ドル円は11月13日深夜に151.90円を付けて年初来高値を更新して昨年10月21日高値151.94円に迫ったところから下落に転じ、米CPIやPPIが予想以上に鈍化したことによる米長期債利回り低下を見て11月17日夜には安値で149.19円を付けて11月3日夜の米雇用統計発表後に付けた安値149.20円をわずかに割り込んだ。
週明けの11月20日は早朝に149.98円まで買い戻されたものの、150円に届かずに失速すると13時台には148.69円を付けて10月30日深夜安値148.80円も割り込み、20時台には148.09円まで安値を切り下げた。148円割れをひとまず回避しているものの148.68円まで戻した後は伸びずに148円台前半にとどまっている。

11月20日はドル全面安の様相となり、ユーロドルは20日夜に1.0951ドルを付けて10月3日安値1.0447ドル以降の高値を更新、ポンドドルも21日未明に1.2516ドルを付けて10月4日以降の高値を更新したが、中国人民銀行による対ドル基準値の元高誘導もありドル/人民元は7.20元を割り込んで9月9日高値7.368元以降の安値(元の高値)を更新した。しかしクロス円全般は夕刻からドル円が一段安すると円高が勝って下落反応を見せており、円買い戻しへの動きが強まってきた印象だ。
米コンファレンス・ボード(CB)が11月20日に発表した10月の米景気先行指数は103.9となり9月から0.8%低下して市場予想の0.7%低下を下回った。一致指数は9月と変わらずの110.8、遅行指数は9月から0.1%上昇の118.6だったが市場の反応は鈍かった。

【三羽烏、10月3日以降の底上げ基調が崩れる】

ドル円は10月3日夜に150.15円を付けた直後に147.41円まで反落して早々に切り替える乱高下となったが、その後は徐々に安値を切り上げて高値を伸ばして来た。10月31日の日銀金融政策決定会合を控えて政策修正への警戒感で付けた10月30日深夜安値148.80円から、11月3日深夜の米用統計後に付けた安値149.20円においても底上げ基調を維持した。しかし11月13日深夜高値151.90円からの下落が続いたことで11月3日深夜及び10月30日深夜の両安値を割り込んでさらに続落したため、底上げをして高値を切り上げてゆく上昇基調から転落した。
日足チャートでは、11月16日、17日、20日と3営業日連続の陰線=三羽烏(黒三兵)であり、10月30日深夜や11月3日深夜等の下落時では26日移動平均を割り込んでも翌日には切り返していたところ、今回は同線割れからさらに続落して52日移動平均を割り込んでさらに続落している。

【二重のダブル天井感】

11月13日高値は151.90円にとどまり昨年10月21日高値151.94円に届かなかったため、両高値でダブルトップ形成となる可能性も考えられる。11月1日未明の10月31日付け日足における高値151.71円と11月13日高値がミニ・ダブルトップ型となっている側面もある。二重の意味でダブルトップ型を形成していることで、ひとまず152円突破へ挑戦するという市場心理面での機運は大幅に低下していると思われる。
中長期的な円安時代はまだ続く可能性が残るが、今年1月16日安値127.22円を起点とした上昇が3月8日高値137.91円までを一段目とし、6月30日高値145.06円までを二段目とすれば、11月13日高値151.90円で三段目の上昇が終了して三段上げの完成となり、3月8日から3月24日にかけての下落時(下げ幅8.28円)や、6月30日から7月14日にかけての下落時(下げ幅7.82円)と同レベルの修正安局面に入っている可能性も警戒される。因みに6月30日からの下落時は6営業日連続陰線が発生している。

【米10年債利回りは低下傾向続き、ダウは続伸】

11月20日の米長期債利回りは2年債が上昇したものの10年債と30年債の利回りは低下傾向を続けた。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.02%低下の4.42%で終了した。11月14日に米CPI鈍化をきっかけに前日比0.19%低下、15日は反動高で0.08%上昇だったが、16日は0.09%低下の4.44%、17日は一時4.38%まで低下してから変わらずまで戻したが、20日の低下により10月23日の5.02%をピークとした低下傾向が続く印象を強めた。
30年債利回りは前日比0.02%低下の4.57%で終了した。20日は一時4.56%をつけて10月23日につけた5.18%のピーク以降の最低とした。
利上げ問題に敏感な2年債利回りは前日比0.02%上昇の4.91%で終了した。11月14日に0.20%の大幅低下、15日に0.08%上昇と戻して16日は0.08%低下、17日は4.80%まで低下してから反発して0.05%上昇となり、20日も続伸して下げ渋り感を示している。

リッチモンド連銀のバーキン総裁は11月20日に「頑固なインフレが続く公算が大きく、投資家の予想以上に長期間にわたり高水準の金利を維持することが正当化される可能性がある」、インフレは落ち着きつつあるようにみえるものの「仕事は終わっていない」と述べており、先週からFRB高官らによる利下げ期待へ釘を刺す発言が続いていることも踏まえて2年債利回りの低下にブレーキがかかっているようだが、10年債等は先行きの利下げを意識して下げているというところか。

一方で11月20日のNYダウは前日比203.76ドル高と上昇、高値では35227.48ドルを付けており、8月1日の年初来高値35679.13ドルから10月27日安値32327.20ドルまでの下げ幅解消へ進んでいる。米長期債利回り低下傾向と米国景気の底固さへの楽観的期待を優先している。ナスダック総合指数も前日比159.05ポイント高と上昇して5連騰となり、高値では14309.80を付けて7月19日の年初来高値14446.55から10月26日安値12543.86までの下げ幅解消を試している。
株高ならリスクオン有利として円安要因になりやすいものだが、現状のドル円は152円未踏での下落期にあるために円安反応には至らず。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は11月13日深夜高値151.90円を起点とした下落基調を続けている。11月15日夜安値でいったん目先の底を付けて戻したものの11月17日夜への下落で一段安となり、20日夜も148円を試すところまでさらに一段安している。目先の安値形成期は20日夜から22日夜にかけての間と想定されるので反騰注意期に入っているがまだ下落余地が残っている印象だ。
ただし、3営業日続落後の修正高にも注意がいるところのため、149円台を回復するところいからは反騰継続として21日午後から23日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では11月16日夜からの下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは戻りを試すとみるが、先行スパンからの転落が続くうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とする。11月13日夜高値からの下落基調を抜け出すには両スパンそろっての好転が必要と考える。

60分足の相対力指数は11月16日夜の下落時に20ポイントを割り込んだが、20日夜の一段安では指数のボトムが切り上がって強気逆行の気配がみられる。50ポイントを超えないうちは強気逆行も未完となり20ポイント前後を再び試す可能性があると注意し、50ポイント超えからはいったん戻しに入るとみて60ポイント前後への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.85円を下値支持線、149.00円を上値抵抗線とする。
(2)149円以下での推移中は一段安余地ありとし、147.85円割れからは147円台前半(147.50円から147.00円)を試す下落を想定する。147台序盤は反騰注意とするが、149円以下での推移が続く場合や直前安値から1円を超える反騰とならないうちは22日も安値試しを続けやすいとみる。
(3)11月23日深夜高値148.68円超えからは強気転換注意とし、149円超えからは戻りを続けるとみて149.50円前後への上昇を想定する。149.50円以上は反落警戒とするが、148.68円を上回っての推移なら22日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

11/21(火)
09:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
19:15 (英) ベイリー英中銀総裁、議会証言
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数・年率換算 (9月 396万件、予想 390万件)
24:00 (米) 10月 中古住宅販売件数 前月比 (9月 -2.0%、予想 -1.5%)
25:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省変動利付2年債、インフレ指数連動10年債入札
28:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

11/22(水)
17:35 (豪) ブロック豪中銀総裁、講演
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.1万件、予想 22.6万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 186.5万人、予想 187.5万人)
22:30 (米) 10月 耐久財受注 前月比 (9月 4.6%、予想 -3.2%)
22:30 (米) 10月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (9月 0.4%、予想 0.2%)
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 60.4、予想 61.0)
24:00 (欧) 11月 消費者信頼感・速報値 (10月 -17.9、予想 -17.7)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計



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