トルコリラ円見通し ドル円の急落で5.26円へ下落、その後は戻すも日銀会合結果待ち
〇トルコ円、10/30はドル円急落により5.26へ下落、8/24以降の最安値、下落基調長期化への懸念強まる
〇本日の日銀金融政策発表後、トルコリラ円も波乱含みの展開となる可能性も
〇対ドル、10/30は概ね28.27から27.91の取引レンジ、終値としてベースでは6営業日連続で最安値更新
〇今週はトルコ10月CPIやPPIの発表控える、高水準での上昇が続くと見込まれる
〇5.30を下回るうちは一段安余地あり、5.26を割り込むと5.24、5.22を順次試す下落を想定する
〇5.30超えからはいったん戻りを試す流れとみて、5.32、5.34を順次試す上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の10月30日は概ね5.31円から5.26円の取引レンジ、31日早朝の終値は5.27円で先週末終値5.31円からは0.04円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安基調が続いてリラの対ドルでの史上最安値更新が繰り返される中、9月後半まではドル円の上昇が支えとなってトルコリラ円は下げ渋りも見られた、しかし、ドル円が10月26日に150.77円へ急伸してから反落に転じたため、トルコリラ円はドル高リラ安に加えて円高による圧迫感も重なり始めている。
10月30日はドル円の急落により5.26円へ下落したが、ドル/トルコリラにおける一時的な安値を反映した飛び値を除き連続的な下落による安値としては8月24日高値5.77円以降の最安値となり、下落基調の長期化への懸念が強まる展開だった。
【日銀金融政策発表後の波乱に備える】
ドル円は10月26日に150.77円まで上昇して年初来高値としたところから下落に転じ、先週末の27日夜には149.50円を割り込んだ。週明けの30日は夕刻に149.28円を付けて10月24日安値149.30円を割り込み10月3日の乱高下以降の安値切り上げ基調からいったん転落したところは買い戻されたものの30日夜高値149.84円から急落に転じて31日未明には148.80円まで一段安となった。
一部メディアが日銀会合における長短金利操作の柔軟化が議論されると報じられたことがきっかけだったが、本日昼前後に発表される日銀金融政策内容次第では、金融緩和政策からの出口を意識した円高へ走るか、金融緩和の年内維持により反騰入りするのか、波乱含みとなりやすい。トルコリラ円としてはドル円に合わせて急落する可能性と、逆にいったん反騰入りする可能性の両面に注意し、臨機応変に対処したいところだ。
【対ドルでは終値ベースで史上最安値更新】
ドル/トルコリラの10月30日は概ね28.27リラから27.91リラの取引レンジ、31日早朝の終値は28.23リラで先週末終値の28.16リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
8月24日のトルコ中銀による7.5%上げをきっかけとした一時的なリラ買いで25.02リラへ上昇したものの、8月25日からドル高リラ安の再開に入り、9月22日に史上最安値を更新してからも連日のように最安値更新を続け、10月27日には取引時間中の最安値を28.31リラへ更新し、日足の終値ベースでは10月23日から27日まで5営業日連続で最安値を更新してきた。10月30日は取引時間中の最安値更新には至らなかったものの終値としては6営業日連続で最安値を更新した。
10月31日午前序盤は28.27リラから28.19リラのレンジで推移し、最安値更新を伺っている。
10月26日にトルコ中銀は政策金利を5.0%引き上げて35.0%としたが、市場予想通りであり、60%を超える物価上昇率の中では実質的に大幅なマイナス金利状態の解消には程遠く、市場は追加の大幅利上げを催促してリラ安を続けている。
【11月2日に中銀の四半期インフレ見通し、3日にトルコ10月CPIの発表】
ドル高リラ安が収まらない最大の理由はトルコの高インフレであり、エルカン総裁就任後にトルコ中銀は連続利上げで政策金利を8.5%から35.0%まで引き上げてきたが、それでも60%を超えるインフレ率に対しては大幅な実質マイナス金利状態にあるため、リラ高への転換を実現できずにいる。
11月2日にはトルコ中銀の四半期インフレ予測報告書の発表があり、11月3日にはトルコ10月CPIとPPIの発表がある。
9月のCPIは全体の上昇率が61.53%、コア指数では68.9%だったが、10月はさらに伸びが加速する可能性があり、市場の事前予想では全体の前月比が9月の4.75%から3.93%へ若干鈍化するものの高水準での上昇が続くと見込まれ、全体の前年同月比は62.12%へ伸びが加速すると見込まれている。
トルコ中銀の四半期インフレ予想については、7月27日に発表された前回報告書では2023年末で4月時点の22.3%から58.0%へ大幅に上方修正されている。エルカン総裁就任によりインフレ予測を低水準に抑える操作的姿勢が取りやめられたために実勢に合わせた水準へ切り上げられたと思われるが、中銀の予想インフレ率が今後の利上げペースを想定する上での材料となり、実際のインフレ率との乖離がリラの騰落にかかわってくると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月24日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日夜から26日夜にかけての間への上昇を想定してきたが、26日午後へ上昇してから軟調推移となったために27日午前時点では26日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、ボトム形成期を27日午前から31日午前にかけての間と想定した。
10月31日未明に一段安してからやや戻しているもののまだ下落余地ありとし、日銀金融政策から円高とともに下落する場合にはボトム形成期の延長入りや連続的な弱気サイクル入りにより下落期が長引く可能性もあるとみるが、5.30円超えからはいったん強気サイクル入りとみて31日午後から11月2日午後にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では28日未明への連続的な下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。ただし、一時的な高値を除いて連続的な上昇で先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は10月26日早朝に70ポイント到達へ急伸してから反落したが、28日早朝安値から31日未明安値への下落に対して指数のボトムがフラットとなる強気逆行がみられるので、50ポイント以下での推移中は一段安警戒とするが、50ポイント超えからは反騰入りとして60ポイント台を目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.26円を下値支持線、5.30円を上値抵抗線とする。
(2)5.30円を下回るうちは一段安余地ありとし、連続的な下げで5.26円を割り込むところからは5.24円、5.22円を順次試す下落を想定する。5.24円以下は反騰注意とするが、5.30円以下での推移なら11月1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.30円超えからはいったん戻りを試す流れとみて5.32円、5.34円を順次試す上昇を想定する。5.33円以上は反落警戒とするが、5.30円を上回っての推移なら1日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
10月31日
16:00 9月 貿易収支 (8月 -86.6億ドル)
16:00 7-9月期 観光収入 (4-6月 129.8億ドル)
17:00 9月 海外観光客数 前年同月比 (8月 5.65%)
11月1日
16:00 10月 イスタンブール製造業PMI (9月 49.6)
11月2日
16:30 トルコ中銀 四半期インフレ予測報告書
20:30 週次 外貨準備高 10月27日時点 グロス (10月20日時点 825.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 10月27日時点 ネット (10月20日時点 225.5億ドル)
11月3日
16:00 10月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (9月 4.75%、予想 3.93%)
16:00 10月 CPI消費者物価指数 前年同月比 (9月 61.53%、予想 62.12%)
16:00 10月 コアCPI 前月比 (9月 5.3%)
16:00 10月 コアCPI指数 前年同月比 (9月 68.9%)
16:00 10月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (9月 3.4%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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