トルコリラ円見通し 中東情勢深刻化によるドル高リラ安続きトルコリラ円は4営業日続落(23/10/19)

トルコリラ円の10月18日は概ね5.36円から5.29円の取引レンジ、10月13日からは4営業日続落した。

トルコリラ円見通し 中東情勢深刻化によるドル高リラ安続きトルコリラ円は4営業日続落(23/10/19)

中東情勢深刻化によるドル高リラ安続きトルコリラ円は4営業日続落

〇トルコ円、10/13から4営業日続落、10/18への下落により8/24の急騰幅解消される
〇ドル円が150円突破から勢いある上昇へ進めないうちは史上最安値5.08に迫る可能性も
〇対ドル、10/18は概ね28.20から27.75の取引レンジ、10/19午前序盤は史上最安値更新探る
〇中東情勢深刻化により、リラ売り圧力がかかる状況つづく
〇5.37を下回るうちは一段安余地ありとし、5.30割れからは5.28、5.26を順次試す下落を想定
〇5.36から5.37にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の10月18日は概ね5.36円から5.29円の取引レンジ、19日早朝の終値は5.35円で前日終値の5.35円と変わらずだったが、小数点下三桁では5.353円で17日終値5.354円から0.001円の円高リラ安となり10月13日からは4営業日続落した。
ドル円は10月17日夜の小波乱で一時148.81円まで下げたところから持ち直し、18日夜から19日未明にかけては米長期債利回りの連騰によるドル高で149.93円へ上昇して10月3日夜高値150.15円以来の高値水準としたが、日銀の金融政策変更へ向けた動きが報じられていることと10月3日に乱高下したことにより150円到達には躊躇している。
一方でドル/トルコリラは1ドル28リラ台に突入して史上最安値を連日更新しており、中東情勢の緊迫化によるトルコへの地政学的リスク拡大によるリラ安が収まらず、トルコリラ円は緩い円安では支え切れずにいる。

【トルコリラ円は8月24日の急騰幅を解消】

トルコリラ円は10月9日午後に一時的な安値5.29円をつけ、その後は一時的な下落を挟みながら10月16日午前高値5.41円まで戻り高値を切り上げてきた。しかしリラ安が収まらない中で再び失速しており、18日午後には一時的な安値で5.29円をつけ、19日未明に5.36円まで戻したものの19日午前序盤には5.31円まで反落するなど右肩下がりの展開に入っている。
8月24日にトルコ中銀が政策金利を7.5%引き上げて30.0%としたところで直前安値5.29円から5.77円へ急伸したものの買い一巡から再び下落基調に入ったが、18日への下落により8月24日の急騰幅は解消されている。
すでにドル/トルコリラが史上最安値更新へ進んでいることを踏まえれば、ドル円が150円突破から勢いある上昇へ進めないうちはリラ安に圧迫されて徐々に安値を切り下げてゆき、7月18日に付けた史上最安値5.08円へ迫ってゆくことも懸念される。

【対ドルで史上最安値を連日更新中】

ドル/トルコリラの10月18日は概ね28.20リラから27.75リラの取引レンジ、19日早朝の終値は28.00リラで前日終値の27.92リラからは0.08リラのドル高リラ安だった。
10月10日に27.92リラへ史上最安値を更新したが、10月17日に28.04リラを付けて初めて28リラ台に到達し、18日も28.20リラへ史上最安値を更新した。終値ベースでは10月13日から18日まで4営業日連続で史上最安値を更新した。
19日午前序盤は28.19リラから27.82リラのレンジで推移しつつ史上最安値更新を探っている。

【トルコの抱える中東情勢深刻化の影響】

10月18日夜から19日早朝にかけては米長期債利回りが上昇してユーロやポンド等が戻り一巡で急落したためにドル全面高の様相となった。FRB高官らが長期金利上昇を容認して利上げの替わりになるとの見方を繰り返していることで年内の追加利上げ確率はまだ5割を切っているものの、暫くは長期金利上昇が続く可能性が高まっていると市場は受け止めている。また地政学的リスクの高まりにより自国通貨安からハードカレンシーへ逃避しようとの動きもあるため、トルコリラには売り圧力がかかり続けている状況だ。
10月17日にガザ地区の病院が攻撃を受けて数百人が死亡したことでイスラム圏での反イスラエル抗議が激化しており、トルコでも反イスラエル・デモが発生している。イランはハマス支援を宣言し、軍事支援を行っているレバノンのヒズボラはイスラエルと交戦状態にあるが、イスラエルに対するイスラム圏産油国による禁輸を呼びかけたことで原油相場が高騰している。

トルコにとっては地政学的リスク全般が高まっている状況だが、(1)イスラエル支持の欧米との外交的関係悪化、(2)パレスチナ難民増大の影響、(3)国内の反政府勢力との対立構造が悪化する懸念、(4)リスク回避感の増大による観光収入への影響、(5)有事リスクによるハードカレンシーへの逃避によるリラ安、(6)原油高騰によるインフレ再加速の懸念など、中東情勢によるマイナス要因が多い。
イスラエルが大規模な地上戦へ向かう姿勢を崩していないため、当面は戦争終結シナリオを描けず、リラ安基調も続くと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月11日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして11日夜から13日夜にかけての間への上昇を想定していたが、16日午前時点では5.36円割れからは弱気サイクル入りとし、16日夜に5.36円割れへ反落したため、17日午前時点では16日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。ボトム形成期については17日午前から18日午前にかけての間と想定したが、14日未明安値を基準として19日未明から21日未明にかけての間へ伸びる可能性もあるとした。
10月19日午前へ続落しているので21日未明にかけてはまだ安値試しが続きやすい状況とし、強気転換は5.37円超えからとする。

60分足の一目均衡表では10月16日夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も概ね両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。連続的な上昇で先行スパンを上抜き返す場合は反騰入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後に先行スパンから転落状態に陥る場合は下落再開として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月18日午後に30ポイントを試してから50ポイント台へ戻したものの50ポイント以上を維持できずに失速しているので20ポイント前後への低下余地ありとみる。強気転換は55ポイント超えからとし、その際は60ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.29円を下値支持線、5.37円を上値抵抗線とする。
(2)5.37円を下回るうちは一段安余地ありとし、5.30円割れからは5.28円、5.26円を順次試す下落を想定する。5.26円以下は反騰注意とするが、5.35円以下での推移なら20日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.36円から5.37円にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいとみる。5.37円超えからは5.40円試しとするが、その後の反落注意とする。

【当面の主な予定】

10月19日
 20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 グロス (10月6日時点 831.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 ネット (10月6日時点 207.4億ドル)
10月20日
 23:30 9月 中央政府債務残高 (8月 5兆8800億リラ)
10月23日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 71.50)
10月25日
 16:00 10月 製造業信頼感指数 (9月 104.4)
10月26日 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)


注:ポイント要約は編集部

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