トルコリラ円見通し ドル円の上昇を見て小幅ながら2連騰だが、ドル高リラ安基調は変わらず(23/10/13)

トルコリラ円の10月12日は概ね5.40円から5.35円の取引レンジ、13日早朝の終値は5.39円で前日終値の5.38円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の上昇を見て小幅ながら2連騰だが、ドル高リラ安基調は変わらず(23/10/13)

ドル円の上昇を見て小幅ながら2連騰だが、ドル高リラ安基調は変わらず

〇トルコリラ円、10/12未明5.39へ上昇し、午後に5.35へ反落するも買われ、10/13早朝5.40まで戻す
〇ドル円が上昇したため、トルコリラ円は終値ベースで小幅な2連騰
〇対ドル、10/12は概ね27.75から27.52の取引レンジ、史上最安値更新には至らないが下落基調変わらず
〇トルコ外貨準備高、純準備高はわずかに増加
〇5.35を上回るうちは上昇余地ありとし、5.40超えからは5.42前後への上昇を想定する
〇5.35割れからは下落期入りとみて、5.32、5.30を順次試す下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の10月12日は概ね5.40円から5.35円の取引レンジ、13日早朝の終値は5.39円で前日終値の5.38円からは0.01円の円安リラ高だった。
ドル/トルコリラにおけるリラの史上最安値更新が続いてきたが、12日は最安値更新を回避してやや落ち着く中でドル円が上昇したためにトルコリラ円は10月11日の前日比0.02円高から小幅な連騰となった。

ドル円は10月12日の米9月CPIにおいてコア指数の上昇率は予想と一致したものの全体の上昇率が予想を上回ったためにインフレの高止まりと米FRBによる利上げ状態の長期化への懸念が再認識されて米長期債利回りが反騰して全般ドル高となる中で10月6日夜高値149.50円を超えて13日未明には149.82円まで高値を伸ばした。10月3日夜に150.15円を付けたところから数分で147.41円へ急落してその後に149円台前半まで切り返す乱高下に見舞われた後は148円台序盤を買われる持ち合いで推移してきたが、149円台後半へ戻したことにより再び150円到達からの急落が発生するのか、逆に150円突破から円安ドル高が勢い付くのか試される。

トルコリラ円は8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げをきっかけとした急騰が一日で終わり、その後はジリ安で10月9日には飛び値で5.30円を付ける等軟調な推移を続けてきたが、11日午前安値5.32円から12日未明高値5.39円へ上昇し、12日午後に5.35円へ反落したところを買われて13日早朝には5.40円まで戻した。13日午前序盤は5.37円まで反落しているが、ドル円が150円突破から上昇をさらに加速させるのか、10月3日夜のような反落に見舞われるのかを見ながら、8月24日高値以降の右肩下がりの展開から抜け出せるのかどうか試す局面に来ていると思われる。

【対ドルでは最安値近辺の推移、8月25日以降の下落基調は変わらず】

ドル/トルコリラの10月12日は概ね27.75リラから27.52リラの取引レンジ、13日早朝の終値は27.70リラで前日と同値だった。
8月24日のトルコ中銀による超大幅利上げによるリラの急騰が1日で終わり、8月25日からドル高リラ安が再開して9月22日には史上最安値更新に入り、10月6日から10日まで3営業日連続で取引時間中の史上最安値を27.92リラへ更新、終値ベースでは9月28日から10月10日終値27.71リラまで9営業日連続で史上最安値を更新してきた。
10月11日と12日は史上最安値更新には至らずにいるものの、ドル高リラ安基調には変わりなく、13日午前序盤は27.85リラから27.58リラのレンジで推移しつつ史上最安値更新を伺う位置に付けている。

【外貨準備高はネットで微増】

10月12日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は10月6日時点のグロスで831.5億ドルとなり9月29日時点の 815.8億ドルから増加、ネットでは207.4億ドルとなり9月29日時点の206.4億ドルからわずかに増加した。
5月28日の大統領選挙でエルドアン大統領が再選された後にトルコ中銀ではエルカン総裁が就任し、前任のカブジュオール総裁時代の外貨準備高を取り崩してリラ防衛の市場介入を繰り返してきた手法を止めて外貨準備高の増加に取り組み、為替市場への干渉はせずにリラの水準は市場原理にゆだねるとの姿勢を示してきた。実際にネットの外貨準備高は6月初旬時点で2002年以来となる57億ドルのマイナス勘定まで悪化したところから大幅に改善してきた。

トルコ中銀は市場介入を行わないことに加え、2021年12月へのリラ暴落の際に導入されたリラ預金の為替差損を補填する保護預金制度の縮小を始めている。エルカン総裁は就任以降もリラ安が進行してきたことは中銀が市場介入を行っていないことの証明でもあると議会で述べている。
中銀が市場介入しないことはリラ安に対するブレーキ役にはならないことを意味しており、高インフレが続く中でトルコの国内企業家や外資は年末までに1ドル30リラ台へリラ安が進むと見込んでいる。リラ安に歯止めがかかるためには、トルコの経常収支や財政収支の改善、債務減少と外貨準備高の健全化に加えインフレ抑制と実質的なマイナス金利の解消が必要だ。
トルコのシムセク財務相は10月12日の国際金融協会のイベントで「トルコはインフレ期待が落ち着くことへ向けて大きな進展を遂げた」と述べたが、その一方で「過去の経済政策の巻き戻しには時間がかかる」、「リラ安定には実質金利が鍵となり、政策金利には(インフレ率に)もう少し追いつく必要がある」と述べている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、10月6日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、一時的な安値を除いて10月11日午前へ続落してから12日未明へ戻したために12日午後時点では11日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした。またサイクルトップ形成期を11日夜から13日夜にかけての間と想定し、5.35円を上回るうちは5.40円台への上昇余地ありとした。
10月13日未明に5.40円まで戻してから失速気味のため、5.35円を上回るうちは一段高余地ありとするが、5.35円割れからは弱気サイクル入りとして16日午前から18日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では10月13日未明高値からの反落で遅行スパンが悪化しやすい位置に来ているため、先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は10月12日未明と13日未明への上昇時に70ポイントに迫ったものの超えられずに失速しているため弱気逆行気配とし、55ポイント超えからは上昇再開とするが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.35円を下値支持線、5.40円を上値抵抗線とする。
(2)5.35円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.40円超えからは5.42円前後への上昇を想定する。5.42円以上は反落注意とするが、5.37円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.35円割れからは下落期入りとみて5.32円、5.30円を順次試す下落を想定する。

【当面の主な予定】

10月16日
 17:00 9月 財政収支 (8月 512.7億リラ)
10月19日
 20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 グロス (10月6日時点 831.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 10月13日時点 ネット (10月6日時点 207.4億ドル)
10月20日
 23:30 9月 中央政府債務残高 (8月 5兆8800億リラ)
10月23日
 16:00 10月 消費者信頼感指数 (9月 71.50)
10月25日
 16:00 10月 製造業信頼感指数 (9月 104.4)
10月26日 トルコ中銀 政策金利 (現行 30.0%)



注:ポイント要約は編集部

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