FOMC後のドル円急伸で持ち直す、今夜のトルコ中銀利上げに注目
〇トルコ円、FOMC前後のドル/トルコリラの動きを受け乱調、9/21はドル円の反騰に合わせて持ち直し
〇対ドル、9/20は概ね27.07から26.62の取引レンジ、9/21早朝終値は26.98
〇8/24のトルコ中銀超大幅利上げによる急騰後の揺れ返しでリラ安続く
〇今夜のトルコ中銀政策金利、市場の期待に応える利上げ幅となるか注目(予想レンジ27.5%−31.0%)
〇5.45を上回るうちは上昇余地ありとし、5.53超えからは5.55、5.57、5.60を順次試す上昇を想定
〇5.45割れからは5.42、5.40を順次試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の9月20日は概ね5.50円から5.45円の取引レンジ、21日早朝の終値は5.48円で前日終値の5.46円からは0.02円の円安リラ高だった。
9月21日未明の米FOMCのが市場予想通りに利上げを見送ったものの景気判断を上方修正し、年内あと1回の利上げが必要と強調したために米長期債利回りが大幅続伸して為替市場はドル全面高となり、FOMC前に下げていたドル円は21日未明安値147.46円から21日早朝高値148.35円へ急伸した。
トルコリラ円はドル円が20日夕刻に148円台へ乗せた局面で5.48円までジリ高で推移し、ドル円が21日未明へ反落したところで5.45円まで下げた。FOMC前にドル/トルコリラの乱高下を反映して5.50円へ上昇して5.46円まで反落する乱調さを見せ、FOMC後のドル円急伸により5.49円へ上昇した。
9月21日午前序盤にはドル/トルコリラの乱調により一時的に5.58円へ上昇してから5.48円まで反落しているが、流れとしてはドル円の反騰に合わせて持ち直しを試している状況だ。
FOMCが予想よりもタカ派的だったことでドル全面高の様相だが、21日夜にはトルコ中銀のほかにも英中銀やスイス、ノルウェー、南ア等の政策金利発表が相次ぎ、22日には日銀金融政策決定会合もある。ドル円とともにトルコリラ円も波乱しやすい状況が続くが、トルコ中銀の追加利上げに関してサプライズがなければトルコリラ円は一時的なドル/トルコリラの乱調による高安提示を入れながらもドル円の流れに合わせた展開で推移しやすいと思われる。
【8月24日急騰後の揺れ返しでリラ安続く】
ドル/トルコリラの9月20日は概ね27.07リラから26.62リラの取引レンジ、21日早朝の終値は26.98リラで前日終値の26.94リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
9月21日未明の米FOMCに注目が集まり、市場予想よりもタカ派的内容だったことでドル全面高の様相となったが、ドル/トルコリラへの影響はさほど見られなかった。
トルコ中銀による超大幅利上げにより8月24日に安値27.27リラから高値25.02リラへ急騰したが、高インフレや高金利と増税による成長鈍化への懸念、貿易収支や経常収支および財政収支の悪化等によるリラの先安感がぬぐえないとして8月25日からはドル高リラ安が再燃して9月14日と19日には安値で27.14リラを付けて8月24日安値に迫り、終値ベースでは9月18日終値で27.01リラを付けて8月24日以降の安値を更新してきた。
9月20日は19日のレンジ内に収まった推移だったが、21日午前序盤には27.17リラを付けてこの間の安値を更新している。
今夜はトルコ中銀金融政策委員会があり、市場の期待に沿う大幅利上げを決定できるか、市場を失望させる利上げ幅に留まるのか注目される。
【トルコ中銀は大幅利上げで市場を納得させられるか?】
9月21日はブラジル、フィリピン、インドネシア、スウェーデン、台湾、南ア、スイス、ノルウェーの政策金利発表が相次ぐ。
米FOMCは政策金利を据え置いたがインフレの高止まりにより年内あと1回の利上げが必要とし、景気に対する中立的な政策金利水準が従来よりも引き上げられる可能性を示した。また2026年まではインフレ指標のコアPCEデフレーターが2%を下回らないとの見方を示し、利上げ状態の長期化感が優勢となりつつある。
今夜も南ア中銀は据え置きとみられているが、スイス中銀が0.25%利上げ、ノルウェー中銀が0.25%利上げと予想されており、主要国の政策金利高止まりと追加利上げ余地の残る状況が続いている。
今夜のトルコ中銀MPC(金融政策委員会)では政策金利の週間レポレートが現行の25.0%から30.0%へ引き上げられると予想されている。予想レンジは27.5%から31.0%であり、市場の期待に応える利上げ幅となるのか、予想を下回る利上げにとどまって市場を失望させるのか試される。8月会合では予想の3倍となる7.5%利上げを決定したことでリラが急伸したが、効果は1日だけだった。
主要政策金利の現行は、翌日物貸出金利が26.50%、翌日物借入金利が23.50%、後期流動性貸出金利が29.50%となっている。
9月4日に発表された8月のトルコCPI(消費者物価指数)は全体の前年比が58.94%で7月の47.83%を上回り、コア指数の前年比は64.8%で7月の56.1%から加速した。トルコ中銀が30%へ利上げを行ったとしてもまだ大幅な実質マイナス金利状態であり、7月の増税ラッシュや原油価格の高騰を踏まえれば9月や10月のトルコCPI上昇率がさらに加速する可能性もあるため、今回の利上げで消極姿勢を見せるようだとリラ売りが勢いを増しかねないと思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月14日午後安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、9月18日午前に一時的に急伸してから反落したために19日午前時点では弱気サイクル入りとして19日午後から21日午後にかけての間への下落を想定した。
9月21日未明へ反落したところからFOMC後のドル円急伸により上昇しているため、21日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして21日の日中から25日午前にかけての間への上昇を想定する。
弱気転換は21日未明安値5.45円割れからとし、その際は26日未明から28日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では21日未明からの反騰により遅行スパンが好転し、先行スパンへ潜り込んで一時的な高値では突破してきているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。9月21日未明安値を割り込まないうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とする。また一時的な高値を除いて連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは上昇が勢い付く可能性もあるとみる。ただし、今夜のトルコ中銀利上げ度合いによる波乱も警戒されるので、21日未明安値割れからは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は21日未明安値からの反騰で一時70ポイントを付けるなど上昇しているので、50ポイント以上を維持するうちは上昇継続とするが、50ポイント割れからは下落再開を警戒して30ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.45円を下値支持線、5.53円を上値抵抗線とする。
(2)5.45円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.53円超えからは5.55円、5.57円、5.60円を順次試す上昇を想定する。一時的な高値提示に終わる可能性があるとみて5.55円以上は反落注意とするが、5.45円以上を維持するなら22日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)5.45円割れからは5.42円、5.40円を順次試す下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、5.45円以下での推移なら22日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月21日
16:00 9月 消費者信頼感指数 (8月 68)
20:00 トルコ中銀金融政策委員会 政策金利 (現行 25.00%、予想 30.0%)
20:30 週次 外貨準備高 9月15日時点 グロス (9月8日時点 792.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月15日時点 ネット (9月8日時点 162.8億ドル)
9月22日
17:00 8月 海外観光客数 前年同月比 (7月 7.25%)
9月25日
16:00 9月 製造業信頼感指数 (8月 105)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 76.1%)
注:ポイント要約は編集部
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