ドル円見通し FOMCのタカ派姿勢継続で148円台前半へ一段高(23/9/21)

ドル円、米長期債利回りが急伸、為替市場はドル全面高の様相となり、NY時間終盤には148.35円へ上昇して1月16日安値127.22円以降の最高値を更新した。

ドル円見通し FOMCのタカ派姿勢継続で148円台前半へ一段高(23/9/21)

FOMCのタカ派姿勢継続で148円台前半へ一段高

〇ドル円、FOMC発表前(9/21未明)147.46へ下落、パウエル議長のタカ派的会見受け148.35へ上昇
〇FOMC、今回は金利据え置きの一方、参加者の多数が年内あと1回の利上げを支持
〇米2年債利回りは2006年7月以来高水準へ上昇、ダウ、ナスダックは続落
〇147.70以上で推移するうちは上昇余地ありとし、148.50超えからは149円台を目指す上昇を想定
〇147.70割れからは147.50前後を試す下落を想定

【概況】

ドル円は9月15日夜高値147.94円へ上昇した後は147.50円前後を買われる持ち合いで推移していたが、20日午後の英CPIが予想外に低下したことによるポンド安ドル高に触発されて148円の壁を突破、夕刻に148.16円へ高値を伸ばしたが、21日未明のFOMCを控えた状況のために148円台を維持せずに戻り売り優勢となり、FOMC発表前には147.46円へ下落した。FOMCは市場予想通りに利上げを見送ったものの年内あと1回の追加利上げ見通しを強調し、パウエル議長の会見もタカ派的だったことから米長期債利回りが急伸、為替市場はドル全面高の様相となり、NY時間終盤には148.35円へ上昇して1月16日安値127.22円以降の最高値を更新した。

【FOMC、年内あと1回の利上げ、利上げ期間長期化の様相】

米FRB(連邦準備制度理事会)は9月19-20日開催のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果を発表、政策金利は市場予想通りに現行の年5.25〜5.50%で据え置いたが、メンバーによる政策金利見通しでは年内あと1回の0.25%追加利上げが見込まれた。FOMC声明文で「インフレ率は依然として高い」とし、経済活動は「堅調なペースで拡大している」として景況判断は7月会合の「緩やかな拡大」から引き上げられた。
参加メンバーによる政策金利見通しの中央値は、2024年末が年5.00〜5.25%となり、6月会合時点から0.50%上方修正されており、しばらくは5%を超える状況が続くとの見通しが示された。また2023年10-12月期のGDPは前年同期比2.1%増として6月時点の1.0%増から大幅に上方修正された。

インフレ指標のコアPCEデフレーターについての予想中央値は、2023年末が3.7%で6月時点の3.9%から下方修正されたが2024年は2.6%で据え置かれ、2025年は6月時点の2.2%から2.3%へ上方修正され、今回初めてとなる2026年については2.0%とされた。2026年まではFRBの目標とする2%を上回る状況が続くとの認識だ。
パウエルFRB議長は会見で政策金利はまだ十分に景気抑制的ではないとして「十分に景気抑制的な水準に達することに取り組む」とし、「FOMC参加者の多数が年内にあと1回の利上げを行うのが適切と考えている」と述べた。また中立的な政策金利水準についても「成長が予想より強くより高い金利が求められている」とした。
参加者による2023年の政策金利予想は、6月時点で2人いた5.75〜6.00%が消え、12人が5.50〜5.75%(6月は9人)、7人が5.25〜5.50%(6月は4人)、6月時点で2人いた5.00〜5.25%は消えた。

【米2年債利回りは2006年7月以来高水準へ上昇、ダウは続落】

FOMCのタカ派姿勢を受けて9月20日の米長期債利回りは総じて上昇した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.05%上昇の4.41%、30年債利回りは0.03%上昇の4.45%、2年債利回りは0.08%上昇の5.18%となり2006年7月以来17年ぶりの高水準となった。
金利先物市場で予想されている11月の利上げ確率は33%、12月の利上げ確率は47%となり、まだ市場としては年内の追加利上げの可能性は低いのではないかとみているようだが、徐々に確率予想は切り上がっている。
一方でNYダウは利上げ期間の長期化懸念から前日比76.85ドル安と下落、19日の前日比106.57ドル安からの続落となり、ナスダック総合指数も前日比209.06ポイント安で19日の32.05ポイント安から続落した。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は9月21日未明安値147.46円からの反騰で20日夕高値148.16円を超えてきたため、21日未明安値を起点として新たな上昇期に入ったと思われる。高値形成期を27日夕にかけて想定し、乱高下が続く可能性もあるため147.70円割れからは弱気転換注意とするが、147.70円以上での推移か、直前高値から1円を超える反落が発生しないうちは高値試しが続きやすいとみる。22日の日銀金融政策決定会合を通過して上昇する場合は来週前半も高値試しへ向かいやすくなるが、急落反応の場合はいったん下落期に入る可能性もあると注意する。

60分足の一目均衡表では9月21日未明安値からの一段高により遅行スパンが好転して先行スパンも上抜き、その後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする

60分足の相対力指数は21日未明に30ポイント台へ低下後に60ポイント台へ反騰した。50ポイントを上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは70ポイント台後半への上昇余地ありとみるが、45ポイント割れからは下落期入りを警戒して30ポイント前後を試す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.70円を下値支持線、148.50円を上値抵抗線とする。
(2)147.70円以上で推移するうちは上昇余地ありとし、148.50円超えからは149円台を目指す上昇を想定する。149円手前は反落警戒とするが、147.70円以上を維持するなら22日午前も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.70円割れからは147.50円前後を試す下落を想定するが、147.50円前後は買い戻しが入りやすいとみる。

【当面の予定】

9/21(木)
日銀・金融政策決定会合初日
政策金利発表 ブラジル、フィリピン、インドネシア、スウェーデン、台湾、南ア
16:30 (ス) SNB(スイス中銀) 政策金利 (現行 1.75%、予想 2.00%)
17:00 (ノ) NB(ノルウェー中銀) 政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)
20:00 (ト) TCMB(トルコ中銀) 政策金利 (現行 25.00%、予想 30.00%)
20:00 (英) BOE(英中銀) 政策金利 (現行 5.25%、予想 5.50%)
21:30 (米) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -2193億ドル、予想 -2210億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 22.0万件、予想 22.5万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 168.8万人、予想 169.5万人)
21:30 (米) 9月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (8月 12.0、予想 -1.0)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算 (7月 407万件、予想 410万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 -2.2%、予想 0.7%)

23:00 (米) 8月 コンファレンス・ボード景気先行指数 前月比 (7月 -0.4%、予想 -0.5%)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感・速報値 (8月 -16.0、予想 -16.5)
23:40 (欧) シュナーベルECB理事、講演
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札

9/22(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.1%)
07:45 (NZ) 8月 貿易収支 (7月 -11.07億NZドル)
07:45 (欧) レーンECB理事、講演
08:01 (英) 9月 GFK消費者信頼感 (8月 -25、予想 -26)
08:30 (日) 8月 CPI(消費者物価指数)・全国 前年同月比 (7月 3.3%、予想 3.0%)
08:30 (日) 8月 CPI・全国・生鮮食料品除く 前年同月比 (7月 3.1%、予想 3.0%)
08:30 (日) 8月 CPI・全国・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (7月 4.3%、予想 4.3%)

15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -3.2%、予想 -1.2%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 -1.4%、予想 0.7%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 -3.4%、予想 -1.3%)
15:30 (日) 植田日銀総裁 記者会見
16:30 (独) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 39.1、予想 39.5)
16:30 (独) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 47.3、予想 47.2)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 43.5、予想 44.0)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 47.9、予想 47.7)
17:30 (英) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 43.0、予想 43.4)
17:30 (英) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 49.5、予想 49.0)

20:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
21:50 (米) クックFRB理事、講演
22:45 (米) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 47.9、予想 48.3)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 50.5、予想 50.3)
22:45 (米) 9月 総合PMI・速報値 (8月 50.2、予想 50.0)
26:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演



注:ポイント要約は編集部

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