日銀会合控えドル円急落で失速、トルコ中銀利上げによるリラ買いは鈍い
〇トルコ円、9/21未明の5.45までの下げからFOMC後のドル円急伸により9/21朝に一時的に5.58へ上昇
〇その後はドル円とともに上昇が頭打ちとなり、深夜にかけてドル円が急落したために5.43まで失速
〇対ドル、9/21は概ね27.16から26.63の取引レンジ、安値27.16は8/24以降の最安値
〇トルコ中銀、予想通り政策金利の5.0%利上げを決定、4会合連続の利上げ
〇外貨準備高、エルカン新総裁体制に入ってから増加傾向を維持
〇5.48を下回るうちは一段安警戒とし、5.42割れからは5.40、5.37を順次試す下落を想定する
〇5.48超えからは、5.50試しとする
【概況】
トルコリラ円の9月21日は概ね5.55円から5.43円の取引レンジ、22日早朝の終値は5.44円で前日終値の5.48円からは0.04円の円高リラ安だった。
ドル円は9月21日未明の米FOMCを挟んで乱高下となり、20日夕高値148.16円から21日未明安値147.46円まで下げたところからFOMC後の急伸で21日午前には148.45円を付けて年初来高値を更新した。しかし当局の円安けん制発言と22日の日銀金融政策決定会合での政策修正への警戒感から下落に転じ、21日深夜には147.31円を付けて21日未明のFOMC前安値を割り込んだ。その後は147.50円を挟んで揉み合いながら昼頃の日銀会合結果待ちとなっている。
トルコリラ円はドル円が21日未明へ反落したところで5.45円まで下げてからFOMC後のドル円急伸により上昇し、21日朝にはドル/トルコリラの乱調により一時的に5.58円へ上昇したものの、その後はドル円とともに上昇が頭打ちとなり、深夜にかけてドル円が急落したために5.43円まで失速した。その後は下げ渋っているものの日銀会合の内容次第では上下に大きく変動する可能性があると注意する。
【トルコ中銀の追加利上げではリラ高へ向かえず8月24日以降のドル高リラ安続く】
ドル/トルコリラの9月21日は概ね27.16リラから26.63リラの取引レンジ、22日早朝の終値は27.11リラで前日終値の26.98リラからは0.13リラのドル高リラ安だった。
トルコ中銀は市場予想通りに5.0%の追加利上げを決定したが、市場のリラ買い反応は一時的なものにとどまり早々に利上げ発表前の水準を割り込んだ。
8月24日の前回会合でトルコ中銀が7.5%の超大幅利上げを決定したことをサプライズとして当日安値27.27リラから高値25.02リラへ急騰したが、その後はリラ安基調は変わらないとの見方がぶり返してドル高リラ安が徐々に進行しており、9月21日は安値27.16リラで8月24日以降の最安値とし、終値ベースでも27.11リラでこの間の最安値とした。
トルコの高インフレは一層加速しており、7月増税ラッシュによるコストアップに加えて原油相場の高騰もあり、中銀の大幅利上げによってもなお実質金利は大幅なマイナス状態にあるため、市場は追加利上げを催促しながらリラ安を試して行く状況と思われる。
【トルコ中銀、予想通りの5.0%利上げを決定】
9月21日にトルコ中銀は政策金利の週間レポレートを現行の25.0%から市場予想通りに5.0%引き上げて30.0%とした。
エルドアン大統領が再選された後、トルコ中銀の新総裁にウォール街銀行家だったエルカン氏が採用され、エルカン新総裁体制となった6月から中銀はインフレ抑制のための利上げに入り、6月会合で8.5%から15.0%へ、7月会合で17.5%へ、8月会合では市場予想の3倍となる7.5%の利上げで25.0%とし、今回は4会合連続の利上げとなった。
7月会合で2.5%利上げにとどめたことがリラ暴落を招いたために8月は予想を大幅に超える超大幅利上げで市場の期待に応えたことで8月24日のリラ急伸反応を呼んだが、それではリラ安基調は止まらないとしてリラ安が再開してきた。今回は5%の追加利上げとしたことで今後も5%利上げを継続してゆく可能性が高まったと思われる。
トルコ中銀は声明において「7月と8月のCPIが想定を上回ったため、インフレ見通しにはっきりとした抑制傾向が見られるまでは金融引き締めを段階的で必要に応じて強化していく」と表明している。
8月のトルコCPIは前年比58.94%、コア指数では64.8%の上昇であり、政策金利が30%となっても実質的なマイナス金利状態は変わらない。
【外貨準備高は増加傾向を維持】
9月21日に発表されたトルコ中銀による週次の外貨準備高は9月15日時点のグロスで800.6億ドルとなり9月8日時点の792.7億ドルから増加し、ネットでは175.9億ドルとなり9月8日時点の162.8億ドルから増加した。
ネットの外貨準備高は6月序盤にマイナス57億ドルまで減少していたが、エルカン新総裁体制に入ってからは外貨準備高を取り崩してのリラ買い市場介入を止めて増加を目指す姿勢に展開しており、順調に回復しているところだ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、9月21日未明へ反落したところからFOMC後のドル円急伸により上昇したため、21日午前時点では21日未明安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして21日の日中から25日午前にかけての間への上昇を想定し、5.45円割れからは弱気サイクル入りとした。
9月21日深夜にかけてドル円の急落とともに5.43円まで失速したため21日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日未明から28日未明にかけての間への下落を想定する。ただし、日銀金融政策決定会合の内容次第では波乱もあるため、5.48ドル超えを強気転換注意とし、5.50円超えからは強気サイクル入りとして26日午前から28日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では21日深夜への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下落再開とするが、連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は21日深夜の下落時に20ポイント台へ低下してから30ポイントだへ戻しているが、40での推移中は一段安余地ありとみる。相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、強気転換は50ポイントを超えからとするが、その際は60ポイント台後半への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.42円を下値支持線、5.48円を上値抵抗線とする。
(2)5.48円を下回るうちは一段安警戒とし、5.42円割れからは5.40円、5.37円を順次試す下落を想定する。5.40円以下は反騰注意圏とみるが、5.45絵にかでの推移が続く場合は週明けも安値試しを続けやすいとみる。
(3)5.48円超えからは5.50円試しとする。5.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、ドル円が急伸する場合は5.55円を目指す上昇を想定し、5.48円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
9月22日
17:00 8月 海外観光客数 前年同月比 (7月 7.25%)
9月25日
16:00 9月 製造業信頼感指数 (8月 105)
16:00 9月 設備稼働率 (8月 76.1%)
9月28日
16:00 9月 経済信頼感指数 (8月 94.1)
20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 グロス (9月15日時点 800.6億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 9月22日時点 ネット (9月15日時点 175.9億ドル)
9月29日
16:00 8月 貿易収支 (7月 -122.2億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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