ドル円見通し FOMC通過と日銀金融政策決定会合控え乱高下(23/9/22)

ドル円は9月21日未明安値147.46円からの反騰で21日午前高値148.45円へ一段高した後、21日未明安値を割り込む反落で147.31円を付けた。

ドル円見通し FOMC通過と日銀金融政策決定会合控え乱高下(23/9/22)

ドル円見通し FOMC通過と日銀金融政策決定会合控え乱高下

〇ドル円、9/21未明安値147.46から米FOMCを挟み午前高値148.45へ急伸、年初来高値更新
〇しかし日銀金融政策決定会合を控える中で円安けん制発言相次ぎ、NY市場序盤に147.31まで反落
〇本日結果公表の日銀金融政策決定会合、マイナス金利解除へ向けた具体的なプロセスを示す可能性
〇米10年債・30年債利回りは上昇し高水準、NYダウは3日続落、ナスダックも下落
〇147.70以下で推移するうちは一段安警戒とし、147.31割れからは146円台後半への下落を想定する
〇147.70超えからは強気転換注意とし、148円超えからは9/21午前高値148.45試しとする

【概況】

ドル円は米FOMCを挟んで直前安値147.46円から21日午前高値148.45円へ急伸して年初来高値を更新したが、22日の日銀金融政策決定会合を控える中で当局の円安けん制発言も相次いだことでNY市場序盤には147.31円まで反落。その後は147.50円を挟んだ揉み合いからややジリ高の推移となっている。
FOMCは市場予想通りに利上げを見送ったものの年内あと1回の追加利上げと利上げ状態の長期化を示唆し、2024年の利下げ回数予想も減るタカ派的内容だったため、米長期債利回りが上昇してドル全面高となりドル円も急伸したが、松野官房長官や岸田首相の円安けん制発言が相次いだこともあり、いったん仕切り直しで下落した。9月20日夕高値148.16円から21日未明安値147.46円へ下落してから急伸し、その後のNY市場への下げ進行となる乱高下であり、変動幅も大きくなっているため、本日の日銀金融政策決定会合の内容次第では急伸も一段安もあり得るところと注意したい。

【日銀金融政策決定会合 正常化プロセスを具体的に示すか注目】

日銀の金融政策決定会合が21日から始まった。本日昼頃には結果が公表されるが、大きな修正がある場合は議論が長引いて昼を過ぎることも多い。
植田総裁が一部メディアにおけるインタビューでマイナス金利の解除等に言及したことで9月9日早朝高値147.86円から11日夕安値145.89円まで2円近い急落が発生し、その後に市場の解釈とずれがあるとの報道もあり円安基調が再開して年初来高値更新に至っている。
日銀は前回の7月会合で長期金利の変動許容上限を従来の0.5%から1.0%へ事実上の引上げを決定したばかりであり、今回は変動許容上限についての変更はないと思われるが、マイナス金利解除へ向けた具体的なプロセスを示す可能性がある。

国内新発10年債利回りは21日に一時0.745%まで上昇しておよそ10年ぶりの高水準に達しているため、日銀が異次元金融緩和政策からの出口について具体的に示唆する場合には長期金利上昇とともに円高反応となる可能性もある。金融政策の正常化は必要だろうが、低成長下で円安依存体質もあり、日銀が出口戦略をにおわせるとすかさず与党が金融緩和維持を主張してきた経緯もあるため、過度の円安をけん制しつつも金融緩和政策が年末まで継続する姿勢を示すのではないかとの見方もある。

9月21日は円安けん制発言も相次いだ。松野房長官は21日に「市場の動向を高い緊張感を持って注視し、過度な変動に対し、あらゆる選択肢を排除せず、適切な対応を取りたい」と述べたが、岸田首相も「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に動くことが重要」「過度な変動に対処するために政府はいかなる選択肢も排除しない」とし、「実際、当局は国際的に緊密なコミュニケーションをとっており、過度な変動は望ましくないという認識を共有している」と強調している。

【米経済指標はまちまち】

米商務省による4-6月期経常収支は季節調整済で2121億ドルの赤字となり赤字額は前期比1.1%縮小して5期連続縮小となった。
米フィラデルフィア連銀による9月製造業景況指数はマイナス13.5となり、8月のプラス12.0から低下して市場予想のマイナス0.7を下回った。3か月振りの低下だったが、内訳では新規受注が8月の16.0からマイナス10.2へ悪化し、支払価格は8月の20.8から25.7へ上昇、受取価格は14.1から14.8へ上昇した。

米労働省による新規失業保険申請件数は9月16日までの週間で前週比2万件減少の20万1000件となり、2週ぶりの改善だったが、今年1月以来の低水準となり、4週移動平均は21万7000件で今年2月以来の低水準だった。また失業保険受給者総数は9月9日までの週間で166万2000人となり、前週比2万1000人減少して年初来最低となった。
米不動産業者協会(NAR)による8月中古住宅販売件数(年換算)は前月比0.7%減の404万戸で市場予想の410万戸を下回って3か月連続のマイナスとなり、前年同月比は15.3%減となった。
米コンファレンス・ボードによる8月景気先行指数は、前月比-0.4%となったが市場予想の-0.5%は上回った。

【米10年債利回りは2007年11月以来高水準へ上昇、ダウは3日続落】

9月21日の米長期債利回りは10年債と30年債が上昇したが2年債利回りは低下した。長期金利指標の10年債利回りは前日比0.09%高の4.50%となり、2007年11月以来の高水準に達した。9月14日から5連騰している。30年債利回りは前日比0.13%高の4.58%となり、10年債利回りと同様に5連騰で2011年4月以来の高水準に達した。利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.03%低下の5.15%で終了したが、一時は5.20%をつけて9月20日に続いて2006年7月以来17年ぶりの高水準となった。
年内あと1回の利上げと利上げ状態の長期化への懸念が長期債利回りを押し上げているが、まだ長期債利回りはピークを付けていないとの見方が優勢のようだ。
一方でNYダウは前日比370.46ドル安で3営業日続落、ナスダック総合指数も245.15ポイント安と続落した。21日のアジア市場では上海総合株価指数や日経平均が大幅下落しており、世界連鎖株安への懸念も生じるところだ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は9月21日未明安値147.46円からの反騰で21日午前高値148.45円へ一段高した後、21日未明安値を割り込む反落で147.31円を付けた。本日は日銀金融政策決定会合があり、内容次第ではドル円の急伸も急落もあり得るところだが、148円以下での推移中は一段安警戒とし、下落基調が続く場合は21日午前高値を起点とした下落期とみて28日未明にかけての下落を想定する。日銀金融政策決定会合から反騰に転じる場合は148円超えから21日午前高値148.45円試しとし、高値更新からは新たな上昇期入りとして28日午前にかけての上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では9月21日深夜への急落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とするが、先行スパンを上抜き返す場合は上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は21日深夜の下落で30ポイントへ低下し、その後も40ポイント近辺にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみる。20ポイント以下は反騰注意とし、50ポイント超えから続伸に入る場合は上昇再開とみて60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、9月21日安値147.31円を下値支持線、148.00円を上値抵抗線とする。
(2)147.70円以下で推移するうちは一段安警戒とし、147.31円割れからは146円台後半への下落を想定する。146.50円以下は反騰注意とするが、147.31円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147.70円超えからは強気転換注意とし、148円超えからは9月21日午前高値148.45円試しとする。高値更新からは149円台を目指す上昇期と考え、148円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

9/22(金)
未 定 (日) 日銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.1%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前月比 (7月 -1.2%、予想 0.5%)
15:00 (英) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -3.2%、予想 -1.2%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前月比 (7月 -1.4%、予想 0.6%)
15:00 (英) 8月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (7月 -3.4%、予想 -1.3%)
15:30 (日) 植田日銀総裁 記者会見
16:30 (独) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 39.1、予想 39.5)
16:30 (独) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 47.3、予想 47.2)
17:00 (欧) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 43.5、予想 44.0)
17:00 (欧) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 47.9、予想 47.7)

17:30 (英) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 43.0、予想 43.0)
17:30 (英) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 49.5、予想 49.2)
20:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
21:50 (米) クックFRB理事、講演
22:45 (米) 9月 製造業PMI・速報値 (8月 47.9、予想 48.0)
22:45 (米) 9月 サービス業PMI・速報値 (8月 50.5、予想 50.6)
22:45 (米) 9月 総合PMI・速報値 (8月 50.2、予想 50.4)
26:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演


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