ポジション調整主導で年初来高値更新後に急反落。本日は日銀金融政策決定会合に注目
〇ドル円、FOMC受けアジア時間に148.46まで上昇後、米国時間に一時147.32まで急落
〇松野官房長官による円安牽制発言、日銀金融政策決定会合を前にしたポジション調整等が重石
〇ユーロドル、1.0617まで下落後ECB関係者のタカ派発言に1.06台後半まで反発
〇ドル円は年初来高値更新後に急落するも、テクニカルの地合い崩れていない
〇ファンダメンタルズもFRBによる金融引き締め長期化観測強まり、ドル円をサポート
〇本日は日銀金融政策決定会合や植田日銀総裁記者会見に注目集まる
〇本日の予想レンジ:146.50ー148.50
海外時間のレビュー
21日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。(1)日本時間早朝に発表された米FOMCのタカ派的な結果(ドットチャートで19人中12人が年内あと1回の追加利上げを予想した他、2024年末時点の中央値が前回の4.6%から5.1%へ大幅上方修正)や、(2)パウエルFRB議長による「年内2回の会合であと1回の利上げの見込み」「米国経済が予想より強ければさらに行動する必要がある」とのタカ派的な発言、(3)上記1、2を背景とした米長期金利の急上昇が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、年初来高値148.46(昨年11/3以来の高値圏)まで急伸しました。
しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)松野官房長官による「為替の過度な変動にはあらゆる選択肢を排除しない」との円安牽制発言や、(5)上記4を背景とした政府・当局による介入警戒感、(6)株式市場の冴えない動き(リスク回避の円買い圧力)、(7)日銀金融政策決定会合を翌日に控えたポジション調整(短期筋の利食い売り誘発)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値147.32まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間9/22午前5時40分現在)では、147.54前後で推移しております。尚、昨日発表された米経済指標では、米新規失業保険申請件数(結果166.2万件、予想169.4万件)や米8月景気先行指数(結果▲0.4%、予想▲0.5%)が予想比良好な結果を示す一方、米9月フィラデルフィア連銀景況指数(結果▲13.5、予想▲0.4)や米8月中古住宅販売件数(結果404万件、予想412万件)が市場予想を下回るなど、強弱入り混じる結果となりました。
21日(木)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。(1)米FOMCのタカ派的な結果や、(2)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となる中、アジア時間朝方にかけて、約半年ぶり安値となる1.0617(3/17以来の安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(3)ラトビア中銀カザークス総裁による「現在の見通しを踏まえると、2024年半ばの利下げ予想は早すぎる」とのタカ派的な発言や、(4)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「ECBの政策金利のピーク宣言は時期尚早」とのタカ派的な発言、(5)ベルギー中銀ウンシュ総裁による「もう限界に達したと結論づけることはできない」とのタカ派的な発言、(6)オランダ中銀クノット総裁による「ECBはインフレ率が高すぎることを示すシグナルに引き続き警戒」とのタカ派的な発言が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0673まで反発しました。
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(7)米長期金利の急上昇や、(8)欧州株の冴えない動き、(9)ユーロ圏9月消費者信頼感指数(結果▲17.8、予想▲15.0)の市場予想を下回る結果が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/22午前5時40分現在)では、1.0661前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は年初来高値更新後に急落する動き(148.46→147.32)となりましたが、日足ローソク足が全ての主要テクニカルポイントの上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(昨日の急落はあくまで上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整)と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米FRBによる金融引き締め長期化観測(タカ派な米FOMCを受けて、米10年債利回りは2007年11月以来の高水準となる4.49%まで急上昇)や、(2)日銀による金融緩和の継続観測、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性違いとそれに伴う円キャリートレードの継続期待(日米金利差拡大を見越したドル買い・円売り)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。
こうした中、本日は上記2を確認する目的で、日銀金融政策決定会合や植田日銀総裁記者会見に注目が集まります。政策変更は見込まれていないものの、先般読売新聞で報じられた「マイナス金利政策の解除を含めいろいろなオプションがある」とのインタビュー記事についての真意を記者に問われる可能性が高いため、仮に植田総裁より弱めのトーン(どちらとも受け止められる内容)での返しが出てくる場合には、日銀によるマイナス金利脱却後ずれ観測→海外勢による失望感→円金利低下→円売り再開の流れが強まるものと推察されます(仮に強めの返しが出てくる場合には、一時的に円買い圧力が強まる可能性があるものの、下がったところでは日米金利差に着目した押し目買いに下支えされると見られることから、これまで幾度となく見てきた通り、急落後に急反発に繋がる公算大)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:146.50ー148.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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