FOMC(9月19-20日開催)結果のポイント:ややタカ派を確認できたことで安心のドル買い
【今回のポイント】
〇 政策金利は下限5.25%、上限5.5%で据え置き
〇 米経済の底堅さを背景に金利をより高くより長く維持する必要があるとややタカ派姿勢
【FOMCの結果】
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場の想定通り、政策金利は下限5.25%、上限5.5%で据え置いた。一方、年内あと1回追加で金利を引き上げ、その後は、高い水準の金利をより長期に渡って維持する公算が大きい事を示唆した。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、これまでの記者会見で頻繁に用いてきた「注意深く進める」といった表現を10回ほど記者会見にて使用した。
同日に公表された四半期経済予測では、FOMC参加者19名中、12名が年内あと1回の追加利上げを引き続き予想していることが示された。そして、雇用の伸びはここ数か月鈍化してきたが、労働市場は力強さを維持していると示唆。強い労働市場を背景に2024年に予想する利下げ幅を従来の見通しよりも圧縮した。
当局者が予想する24年末時点のフェデラルファンド(FF)金利は中央値で5.1%と、6月の前回予測の4.6%よりも0.5ポイントも高くなった。25年末は3.9%、26年末は2.9%と段階的な低下を見込んでいる。
24年の失業率は6月時点の予測では4.5%だったが、今回の最新予測では4.1%まで低下するなど、失業率に対する楽観的な見方も確認できた。
一方、パウエルFRB議長は、「米国経済のソフトランディング」に関しては、米経済に関するFOMCの基本予想ではないが、インフレ抑制を目指すなかでの第一の目的であると説明した。
【市場の反応】
上記にある通り、市場の想定通りの内容だったことや、パウエルFRB議長がいつも通りの慎重な発言内容だったことなどが、安心材料につながり、米債券市場では10年債利回りが4.4%台まで上昇した。実に2007年以来の高い水準まで上昇したことから、ドルは148円台半ばまで買われた。既に、東京時間で148円台を付けていたことから、猛烈なドル買いは観測されなかった。
さすがに日銀金融政策決定会合の結果発表を22日に控えていることから、闇雲にドルを買うような展開とはならなかった。ドル・インデックスも105.6台と0.4ポイント上昇するに留まるなど、「ドル一人勝ち」という構図とはならなかった。
【今後、ドルはどう動く?】
ユーロは、スタグフレーションへの警戒感から買いにくくなった一方、ドルは米国経済の堅調見通しが確認できたことで買いやすい地合いとなっている。もっとも、米労働市場は足元、鈍化傾向が見られることから、足元のエネルギー価格上昇に関するインフレ加速がどの程度のレベルなのかなど確認する必要はある。
対円で考えた場合、22日15時30分の日銀会合後の植田日銀総裁の記者会見は注意したいところだ。「マイナス金利解除(廃止)」を早期に行う可能性が警戒されているものの、さすがに時期尚早とは考える。どちらにしても、日本の10年債利回りが0.1%上がるスピードよりも、米10年債利回りが上昇するスピードのほうが早いことから、日米金利差が縮まる可能性は今のところ低い。むしろ、もう少し拡大する可能性すらある。
となれば、昨年10月以来の150円というターゲットを意識した相場展開を想定しておいたほうがいい。こうした状況となれば、政府・日銀による為替介入が重しとなるが、まだ「レートチェック」が入っていなかったり、「三者会合(金融庁、日銀、財務省)」が開催されていない事を考慮すると、まだまだ口先介入止まりと考える。イエレン米財務長官が介入容認のコメントを出していることから「外堀」は大丈夫そうだが、実弾による為替介入実施への階段はまだ残っている。
こうした背景を考慮して、ドルは早い段階で150円台に乗せると考える。実弾による為替介入実施は少なくても、昨年10月に行った151円96銭辺りだろう。
【2023年スケジュール】
日銀金融政策決定会合(日銀会合)
9月21日(木)ー22日(金)・・・現状の金融緩和方針を維持する見込み
10月30日(月)ー31日(火)・・・?
12月18日(月)ー19日(火)・・・?
米連邦公開市場委員会(FOMC)
9月19日(火)ー 20日(水)・・・利上げ見送り、ややタカ派な姿勢が確認できたことで、市場はドル買いで反応
10月31日(火)ー11月1日(水)・・・?
12月12日(火)ー 13日(水)・・・?
欧州中央銀行理事会(ECB理事会)
9月14日(木)・・・0.25%引き上げで政策金利は4.5%、市場はユーロ売りで反応
10月26日(木)・・・?
12月14日(木)・・・?
オーダー/ポジション状況
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