トルコリラ円見通し インフレ率は予想を上回る大幅加速(23/9/5)

トルコリラ円の9月4日は概ね5.50円から5.46円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.47円で先週末終値の5.46円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し インフレ率は予想を上回る大幅加速(23/9/5)

トルコリラ円見通し インフレ率は予想を上回る大幅加速

〇トルコ円、9/4午前5.51へ上昇するもその後上げ渋り、夕刻のCPI発表後に下落したが5.46以上へ戻す
〇9/5早朝にかけては5.47を中心とした揉み合いで推移
〇対ドル、9/4は概ね26.92から26.40の取引レンジ、利上げ後の急伸一巡による下落継続
〇8月のトルコ貿易速報は88.8億ドルの赤字、7月からは減少したが高水準の赤字続く
〇昨日発表のトルコ8月CPI、前年比58.94%へ加速
〇5.45を上回るうちは上昇余地ありとし、5.50超えからは5.55前後への上昇を想定する
〇5.45割れからは、5.42円、5.40円を順次試して行く下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の9月4日は概ね5.50円から5.46円の取引レンジ、5日早朝の終値は5.47円で先週末終値の5.46円からは0.01円の円安リラ高だった。
トルコ中銀が8月24日に市場予想の3倍となる7.5%の超大幅利上げを決定して政策金利を17.5%から25.0%へ引き上げたことをサプライズとしてトルコリラ円は直前の5.34円近辺から5.77円へ急伸したが、買い一巡後は揺れ返しのリラ安で徐々に安値を切り下げてきた。
9月1日夜の米雇用統計発表直後にはドル円が急落した局面で5.41円へ下落したが、ドル円がその後に急反騰したことで2日未明には5.48円まで切り返した。
9月4日の日中は午前に5.51円へ高値を切り上げたがその後は上げ渋り、夕刻のトルコCPI発表後に5.42円まで下げる場面も見られたが5.46円以上へ戻し、5日早朝にかけては5.47円を中心とした揉み合いで推移した。ベンダーによっては4日午前の上昇時に一時的な高値で5.59円を付けるものもあったが早々に元の水準へ押し返されている。

【対ドルでは利上げ後の急伸一巡による下落継続】

ドル/トルコリラの9月4日は概ね26.92リラから26.40リラの取引レンジ、5日早朝の終値は26.74リラで先週末終値の26.63リラからは0.11リラのドル高リラ安だった。
5日午前は26.80リラから26.58リラのレンジで推移している。
トルコ中銀が8月24日に市場予想の3倍となる超大幅利上げを決定したことをサプライズとして直前の27リラ近辺から25.02リラへ急伸したが、リラ買いが一巡後は徐々に水準を切り下げており、9月4日も安値で26.92リラを付けて8月24日以降の安値を更新している。
9月4日早朝にリラ買いが入ったところからの揺れ返しでリラ安が進行する中で夕刻にトルコ8月CPIの発表があったが、発表を通過してリラ安が続いたものの影響は限定的だった。

【8月のトルコ貿易速報は88.8億ドルの赤字】

トルコ貿易省による8月貿易統計速報では、貿易赤字が88.8億ドルとなり7月の123.8億ドルからは減少したが高水準の赤字が続いていることを示した。
輸出は216.2億ドルで7月の200.8億ドルから拡大し、輸入は304.9億ドルで7月の324.8億ドルから減少したために貿易赤字も縮小したわけだが、高水準の輸入が続いていることによる構造的な貿易赤字からの脱却は難しいという印象だ。

【トルコ8月CPIは前年比58.94%へ加速】

9月4日にトルコ統計局が発表した8月CPI(消費者物価指数)上昇率は前月比9.09%となり7月の9.49%から鈍化したが市場予想の7%を大幅に上回った。前年比は58.94%で7月の47.83%から大幅に加速して市場予想の55.9%を上回った。
エネルギーと食料品等を除いたコアCPIの上昇率は前月比8.9%となり7月の9.6%から若干低下したが高水準にとどまり、前年比は64.8%で7月の56.1%から大幅に加速した。
8月のPPI(生産者物価指数)上昇率は前月比5.89%で7月の8.23%から大幅に低下したが、前年比は49.41%で7月の44.5%から伸びが加速した。

トルコリラ円見通し インフレ率は予想を上回る大幅加速

シムシェキ財務相はCPI発表後に「インフレとの戦いには時間がかかる。インフレ抑制のために金融引き締めなどあらゆる措置を講じる」と投稿したが、まだしばらくはインフレ抑制のための追加利上げを余儀なくされ、財政改革のための増税も重なってトルコ国民にとっては高インフレ、リラ安、増税の苦難が続きそうだ。
金融大手のJPモルガンはCPI発表後に2023年末のCPI前年比を従来の62%から65%へ上方修正し、2024年5月に73%まで上昇してピークを付けるとの見方を示した。またトルコ中銀の政策金利については2023年末時点での予想を35%で据え置いたが、2024年の予想については従来の40%から45%へ引き上げた。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、8月31日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとし、31日夜高値を上抜く場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとしていたが、9月1日夜の米雇用統計発表後に一段安してから31日夜高値に迫る急伸となったため、9月4日午前時点では1日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして4日の日中から6日午後にかけての間への上昇を想定した。
9月4日午前の上昇一巡から反落したものの5.45円以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、5.45円割れからは戻り一巡による弱気サイクル入りとして6日夜から8日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では9月4日午前高値から反落した後を横ばい推移を続けたために先行スパンから転落している。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンからの転落中は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は9月1日夜の急落時に30ポイントまで低下してから4日午前に70ポイントをつけたが、その後に50ポイントを割り込んだところからジリ高で戻しているのでまだ上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント前後をを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5.45円を下値支持線、5.50円を上値抵抗線とする。
(2)5.45円を上回るうちは上昇余地ありとし、5.50円超えからは5.55円前後への上昇を想定する。5.55円以上は反落注意とするが、5.50円を上回っての推移なら6日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)5.45円割れからは5.42円、5.40円を順次試して行く下落を想定する。5.40円以下は反騰注意とするが、5.45円以下での推移なら6日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

9月7日
 20:00 週次 外貨準備高 9月1日時点 グロス (8月25日時点 759.6億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 9月1日時点 ネット (8月25日時点 143.4億ドル)
 23:30 8月 財務省現金残 7月 (192.96億リラ)
9月11日
 16:00 7月 鉱工業生産 前月比 (6月 1.6%)
 16:00 7月 鉱工業生産 前年同月比 (6月 0.6%)
 16:00 7月 失業率 (6月 9.6%) 
 16:00 7月 経常収支 (6月 6.74億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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