ユーロドル テクニカルには下げ止まりだが、上値は重い(週報8月第4週)

先週のユーロドルは週初こそユーロ買いが先行したものの、金曜には1.0766レベルと6月13日以来の安値圏へと下げる動きを見せました。

ユーロドル テクニカルには下げ止まりだが、上値は重い(週報8月第4週)

テクニカルには下げ止まりだが、上値は重い

〇先週のユーロドル、週初はユーロ買い先行、週末に向け上値重く8/25には1.0766レベル
〇米金利上昇の動きが続く間はユーロドルの上値も重くなる状況
〇JホールでのECB総裁発言、金利は現行水準維持でインフレを抑制の方向性か
〇今週は米国雇用統計と同等に欧州主要国のCPI速報値に注目
〇CPI鈍化のペースが弱いと判断されると、改めて利上げ思惑も出てくる可能性も
〇今週は1.0750レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする流れを見る

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロドルは週初こそユーロ買いが先行したものの、その後は上下はあったものの週末に向けて上値が重くなり、金曜には1.0766レベルと6月13日以来の安値圏へと下げる動きを見せました。またユーロ円がドル円と歩調を揃えやすい流れは続いているため、値幅はドル円に比べると狭いという動きにも変化はありません。日米金利差ほどでは無いものの、米金利上昇の動きが続いている間はユーロドルの上値も重くなるという状況です。

先週の最大の材料は水曜の欧州主要国PMI速報値が軒並み弱かったということが、ユーロドルの売りに繋がりましたが、同日に米国PMI速報値も弱かったことでその日に関しては行って来いとなりました。しかし、以前から欧州の景気は弱く、最近では中国の景気後退懸念が強まっていることも懸念材料となっています。

またジャクソンホールではラガルドECB総裁も講演し、インフレ懸念がある限り高金利の水準を維持すると発言しましたが、9月以降年内の利上げの可能性には触れず、おそらくは現行水準を維持することでインフレを抑えていくという方向性ではないかと見られます。今後の数字次第ということもありますが、更なる利上げは景気後退につながるリスクが高いと見ていると言えそうです。

今週はドイツ、フランス、ユーロ圏のCPI速報値が発表されます。CPI自体は下がると見られますが、絶対的な水準がまだ高いことから、CPI鈍化のペースが弱いと判断されると改めて利上げ思惑も出てくる可能性もあり、今週は米国雇用統計と同等に欧州主要国のCPI速報値は注目されるでしょう。

テクニカルにはいつもの日足チャートをご覧ください。

今週の週間見通しと予想レンジ

ユーロドルは7月高値から着実に下げていますが、5月安値と7月高値の78.6%(61.8%の平方根)押し1.0771に近い1.0765レベルが安値となりました。ターゲット的には7月高値から逆N波動を考えた場合の78.6%(61.8%の平方根)エクスパンション1.0777とも重なり、次の材料待ちというところです。

しかし、現状では積極的にユーロを買う材料が見当たりませんので、いったん下げ止まったとしても戻りは弱いでしょうし、その後再び下げに回帰していくという動きが最もあり得る展開です。戻りの目途としては1.09水準、下値の目途は先週安値を若干下回る1.07台半ばを考えておくとよさそうです。

今週は1.0750レベルをサポートに1.0900レベルをレジスタンスとする流れを見ておくこととします。

今週のコラム

先週は米金利だけでなくドイツ国債や円債の利回りも市場で話題になることがありましたので、今週は米独金利差とユーロドルの日足チャートを見てみます。

今週のコラム

青のラインが米独10年債金利差(EURUSDと合わせるためドイツ金利から米金利をひいてあります)で右軸、ローソク足がEURUSDで左軸です。サブチャートにはそれぞれの相関係数を示してあります。

金利差は拡大するいっぽうですが、EURUSDが6月から7月半ばまでは金利差とは異なる動きだったため、その時は相関係数も低いですが、基本的には高い相関係数であることが多く、現在も0.85とかなり相関が高いことが確認できます。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。

8月28日(月)
**:** LDN市場休場
21:00 ドイツ連銀総裁 ☆、スペイン中銀総裁、オーストリア中銀総裁講演

8月29日(火)
15:00 ドイツ9月消費者信頼感
15:45 フランス8月消費者信頼感

8月30日(水)
15:00 ドイツ7月輸入物価
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感
21:00 ドイツ8月CPI速報値 ☆

8月31日(木)
15:45 フランス8月CPI速報値 ☆、7月PPI
15:45 フランス4〜6月期GDP改定値
16:55 ドイツ8月失業率
18:00 ユーロ圏8月CPI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏7月失業率
20:30 ECB理事会議事要旨公表 ☆
20:30 シュナーベルECB理事講演
25:00 デギンドスECB副総裁講演 ☆

9月1日(金)
15:00 英国8月住宅価格
16:50 フランス8月製造業PMI
16:55 ドイツ8月製造業PMI
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI
17:30 英国8月製造業PMI
21:30 米国8月雇用統計 ☆

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート
為替の高値・安値は東京午前9時−NY午後5時のインターバンクレート

先週の概況

8月21日(月)
ユーロドルはユーロ円がドル円と同じ動きとなったことで、ドル円とともに上昇する動きがNY市場が始まるまで続きました。NY市場では急速な米金利上昇によりドル買い・ユーロ売りの動きとなりましたが、引けにかけては改めて買い戻される流れとなりました。

8月22日(火)
ユーロドルは欧州市場序盤まではドル円と歩調を揃えてドル売り(ユーロ買い)となっていましたが、1.09台前半では戻り売りが見られたことと、ユーロ円の売りにも押されてNY市場では1.0833レベルまで下落後に安値圏での引けとなりました。ドイツ国債の金利が低下したこともユーロ売りの材料とされていました。

8月23日(水)
ユーロドルは東京市場では前日の下げに対して買い戻しが先行していましたが1.0872レベルまで、その後の軒並み弱かった欧州主要国のPMIを受け一気に水準を下げNY市場朝方には1.0802レベルの安値をつけました。NY市場では米国PMIも弱かったことでユーロドルは買い戻され、高値圏に戻しての引けとなりました。

8月24日(木)
ドルが全般に強い一日となりユーロドルでもドル買い(ユーロ売り)の動きが続き、NY市場では1.0805レベルと前日安値に迫る水準へと下げ、そのまま安値圏での引けとなりました。

8月25日(金)
ユーロドルは前日の流れを継続し東京市場ではユーロ売り、欧州市場序盤に1.0766レベルの安値をつけました。その後、NY市場までイベント前の買い戻しを挟み、講演前後の動きはドル円同様にユーロ買い後のユーロ売りとなりましたが、ユーロ円の買いも見られたことでユーロドルはNY寄り付き水準での引けとなりました。

注:ポイント要約は編集部

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