米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について
NY時間6月14日14時(水曜日)にFOMC会合後の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。
今回の市場予想は以下の通りになっています。
(1)政策金利(6月14日 7時30分現在の予想)
現在のFFレート「5.00〜5.25%」⇒据え置き予想
(レンジは下限4.75〜5.25%{上限5.00〜5.50%}で、大半が据え置き、ごく一部で利下げ、一部で0.25%の利上げ予想)
エコノミスト予想は中央値で据え置きですが、レンジは▼0.25〜+0.25%まで分かれています。
@ FOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、委員の半数近くがインフレは依然として高過ぎるとして今回会合でも利上げに傾き、残りの半数は今後のデータを検証し、これまでの利上げ効果をみるとしています。利下げ発言は見られません。
A 市場の見方は今回の利上げ見送り観測が多数を占め、注目はパウエル議長の記者会見の内容が重要視されるとみています。
B その記者会見では、据え置きした場合、議長がまだインフレ沈静化には程遠く、引き締め効果のラグをみるためとの内容が主流となっています。今後の引き締めはデータ次第の文言に収まるか、あるいは先行きの景気鈍化懸念を示唆する内容まで出てくるかが注目されます。サプライズはインフレ高止まりで次回以降も引き締め中心の内容になることです。
C 下記(3)のCME Fedwatchを見ると、昨日のCPIの結果を受け、93%が据え置き予想になっています。僅か1日前には80%割れであり、この1ヶ月間を見ても、途中では利上げ派が40%を越える場面もありましたが、その割合を大きく減らしています。また利下げ予想はありません。
D 今回も、投票権を持つ委員の全員一致になるかをみます。これは据え置きにしても、利上げにしても意見の分かれ目になるかを確認したいと思います。
以上が予想される項目と思われます。
(2)5月2・3日FOMC会合後の記者発表要旨
議事要旨では3月時点と比べ「今後も利上げが適切になるかもしれない」との表現がなくなりました。
FOMC議事記者会見要旨
.
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。
(3)CME Fedwatch
CME Fedwatchは今回の利上げ予想を見ると、前回5月時に比べて大きく引き締めに傾いています。5月時の先々緩和(赤の部分)が6月には無くなり、逆に5月時には無かった青の利上げ部分が増えています。
今後は7月26日のFOMCまでにどの様に変化していくかをみます。
5月2日 9:00時点:前回
赤色は6月に無くなった部分
6月14日 7:40時点:今回
青色は5月予想には無かった部分、12月分は新規
(4)最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)
6月2日
ブラード・セントルイス連銀総裁「政策金利は景気抑制的な水準の下限にある」
6月1日
ハーカー・フラデルフィア連銀総裁「次回の会合で、利上げはスキップできるが、一時停止ではない」
6月1日
コリンズ・ボストン連銀総裁「インフレ率は高過ぎる」
6月1日
ジェファーソンFRB理事「利上げ見送りは金利のピークを意味しない」
5月31日
メスター・クリーブランド連銀総裁 「利上げを待つ必要はない」
5月31日
バーキン・リッチモンド連銀総裁「金利がどこに向かう必要があるかについては不確実性がある」
5月31日
メスター・クリーブランド連銀総裁「PCEデータはインフレが依然として高過ぎることを裏付けている」
5月25日
コリンズ・ボストン連銀総裁「利上げを一時停止できる時期、ないしはそれに近い段階にある可能性」
5月25日
ウォラーFRB理事「今後のデータは6月利上げを裏付ける可能性がある」「インフレが明らかに抑制されるまで利上げ停止しない」
5月23日
カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁「もしインフレが高止まりした場合は追加利が必要」「金利は現在より高くしなければならないかもしれない」
5月23日
ボスティック・アトランタ連銀総裁「追加利上げを決定する前に少し待つことに抵抗感はない」
5月23日
デイリー・SF連銀総裁「6月FOMCまでにデータを収集する時間はまだ多くある」
5月22日
ブラード・セントルイス連銀総裁「今年はあと2回利上げを予想」
5月20日
パウエルFRB議長「さらなる引き締めについては現時点では何も決まっていない」
5月18日
ローガン・ダラス連銀総裁「現在のデータは利上げ停止を正当化しない」
5月17日
グールビー・シカゴ連銀総裁「ソフトランディングの可能性はまだある」
下記はドル円の週足チャートです。
まずは大きなサポートが2022年1月24日週底値からのA(=132円50銭)にあります。今年1月16日底値からサポートB(=133円20銭)があり、ほぼAと平行に走っています。このBから平行に上げた目安の抵抗線C(=141円95銭)があり、ドル高トレンドを形成しています。
このBとC間で、5月8日底値からのサポートだったD(=141円85銭)を先週足で下抜き抵抗線になっているので、ややドルの下押しリスクが生じています。また、昨年11月21日週高値のE(=142円25銭)があり、ここでも上値抵抗線になっており、D、C、E間の141円85銭〜142円25銭で上値が重くなっています。もしこのD割れが有効なら、今年3月20日週底値からのサポートF(=136円10銭)方向への押しがあってもおかしくないことになります。
尚、目先は昨日のCPIの予想時に添付した日足チャートでは140円の抵抗線を抜けたことで上値トライ先行になっています。日足では140円50銭、140円90銭〜141円00銭、目安の141円50銭の順に抵抗線が控えています。
(2023年6月14日8:15、1ドル=140円17銭)
オーダー/ポジション状況
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