トルコリラ週報:『エルドアン大統領再選を嫌気したリラ売りの流れ継続。史上最安値を大幅更新』(6/10朝)

トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、週末にかけて、史上最安値となる5.87円まで暴落しました。

トルコリラ週報:『エルドアン大統領再選を嫌気したリラ売りの流れ継続。史上最安値を大幅更新』(6/10朝)

『エルドアン大統領再選を嫌気したリラ売りの流れ継続。史上最安値を大幅更新』

〇トルコ円、週末にかけ史上最安値5.87まで急落
〇エルドアン大統領再選を嫌気したリラ売りの流れ継続、トルコCPIの上昇、中銀の介入停止が重石に
〇テクニカルには主要サポートポイントを全て下抜け、地合い「極めて弱い」
〇ファンダメンタルズもこれまでの金融政策の是正により、トルコ経済が混乱に陥るリスク高まる
〇一部ではトルコ中銀、6月に政策金利を現在の8.5%から25.0%に引き上げる可能性との見解も
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):5.50ー6.20

今週のレビュー(6/5−6/9)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初6.67円で寄り付いた後、(1)新内閣の財務相に金融市場から高い評価を受けているメフメト・シムシェキ氏が任命されたこと(経済政策の正常化期待)を好感する形で、早々に週間高値6.72円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(2)新内閣が経済政策正常化を進める過程で大きな代償を強いられるのではないかとの思惑や、(3)トルコ5月CPIおよびコアCPIの市場予想を上回る結果、(4)米金融大手ゴールドマン・サックス社による「トルコリラが1年後に1ドル=28リラまで急落する」との見通し発表、(5)外貨準備枯渇に伴う介入限界論の台頭(国営銀行がトルコリラ防衛のためのドル売りを停止)、

(6)市場参加者に注目されていた2021年12月安値を下抜けたことに伴う仕掛け的なリラ売り圧力が重石となり、週末にかけて、史上最安値5.87円まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6/10午前1時20分現在)では、5.94円前後で推移しております。尚、エルドアン大統領は6/9にトルコ中銀の新総裁として米ファースト・リパブリック・バンク元共同CEOやゴールドマン・サックスの元MDを歴任したハフィゼ・ゲイ・エルカン氏を指名しましたが、既に予想されていたこともあり、市場の反応は限定的となりました。

来週の見通し(6/12−6/16)

トルコリラの対円相場は、5/26に記録した高値7.06円をトップに反落に転じると、週末にかけて、史上最安値となる5.87円まで暴落しました。日足ローソク足が主要サポートポイントを全て下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「一目均衡表三役逆転」「弱気のパーフェクトオーダー」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」の全てが成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、エルドアン大統領の再選や、メフメト・シムシェキ氏の新財務相任命、ハフィゼ・ゲイ・エルカン氏の新中銀総裁任命を受けて、経済政策や金融政策が、正常化に向けた一歩を踏み出すとの思惑が広がっているため、例えば、これまでリラ安の抑制に寄与してきた為替介入や資本規制が取っ払われると共に(約1年半に亘って続けられてきた強引なリラ相場の安定化策が取っ払われることで、トルコリラが瞬く間に適正価値まで暴落するとの懸念が浮上していることに加えて)、政策金利の強烈な引き上げ(エルドアン氏がこれまで推奨してきたインフレを利下げで退治するという手法が是正されるとの思惑)を受けて、トルコ経済が混乱に陥るリスクが高まっています(経済政策・金融政策の正常化は本来正しい選択であるものの、これまでの取り組みが常識離れし過ぎていたため、正常化に転換する際に被る代償が甚大となる見通し)。

事実JPモルガンチェースのエコノミストは「トルコ中銀が6月に政策金利を現在の8.5%から25.0%に引き上げる可能性がある」との見解を示しています。外国人投資家によるリラ離れは来週以降も続く公算が大きく、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(TRYJPY):5.50ー6.20

注:ポイント要約は編集部

『エルドアン大統領再選を嫌気したリラ売りの流れ継続。史上最安値を大幅更新』

トルコリラ円日足

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